本連載の前々回の記事で、Mac用のアプリをMacの「App Store」アプリで入手できることをご紹介しました。今回は「App Store」アプリのある部分に注目してみましょう。

ただし、今回ご紹介する内容は、比較的古いMacでは状況が異なります。詳しくは本記事末尾の【今回の余談】をお読みください。

Macの「App Store」にiPhone用のアプリが表示される

以下の図は、「App Store」アプリの左上にある検索フィールドに「災害」と入力して検索した結果です。災害に関するアプリが検索されていますが、よく見ると上部の「Macアプリ」が自動で選択されています。

  • Macの「App Store」アプリで「災害」を検索した結果です。よく見ると「Macアプリ」が自動で選択されています

「Macアプリ」の右隣に「iPhoneおよびiPadアプリ」があります。クリックすると、iPhone、iPad用のアプリが表示されます。

  • 「iPhoneおよびiPadアプリ」をクリックすると、iPhone、iPad用のアプリが表示されます

iPhone用のアプリをMacにインストールして使ってみる

iPhoneもiPadもMacのハードウェアも、それぞれのデバイスに内蔵されプログラムやデータの処理の多くを実行しているチップも、それぞれのOS（基本ソフトウェア）も、Appleが開発しています。そのため、Appleはさまざまな技術や機能の共有や連係を図ることができます。

そのひとつとしてAppleは、開発者がiPhoneやiPad用のアプリを開発すると、そのアプリに手を加えることなくMacでも動作するように設計しています。このため、iPhone用のアプリをMacにインストールできるのです。インストールして使ってみましょう。

  • 大分県の「おおいた防災アプリ」はiPhone用のアプリです。Macの「App Store」からインストールしました

  • インストールした「おおいた防災アプリ」を起動しました。iPhoneでタップするのと同様に、各項目のボタンをクリックして利用できます

iPhoneとMacでは画面の大きさが違うので、Macで起動すると小さいウインドウで開きます。また、ボタンを押したりスクロールしたりする操作もiPhoneとMacでは異なるので違和感があるかもしれません。

iPhoneの操作方法を模してMacで操作したい場合は、画面左上にあるアプリ名のメニュー（このアプリの場合は「おおいた防災」）から「設定」を選択します。設定のウインドウが開いたら上部の「タッチ代替」をクリックし、この機能をオンにします。すると、Macのキーボードやトラックパッドで、iPhoneの操作に相当する動かし方をすることができます。

  • タッチ代替をオンにすると、例えばMacのキーボードで上下左右の矢印キーを押してiPhoneのスワイプの代わりにするなどの操作ができるようになります

さまざまな制限もある

このような仕組みは、iPhoneで使い慣れたアプリ、よく使うアプリをMacでも使いたい場合に便利です。

ただし、iPhone用のすべてのアプリをMacにインストールできるわけではなく、また正しく動作するとは限りません。

開発者がiPhone用のアプリをMac用としては公開したくないと考えている場合はMacの「App Store」では非公開と設定します。したがって、iPhone用のアプリがすべてMacの「App Store」に表示されるわけではなく、この場合はインストールできません。

開発者が、このアプリはMacでもだいたい動くけれど最適化やテストはしていない、もし動かなくてもサポートできない、などと考えている場合には「App Store」で公開した上で、「macOSでは検証されていません。」と書かれています。

実際に、先ほどの「おおいた防災アプリ」も、使っているうちに表示が崩れてしまうことがありました。これは、Mac用として最適化や検証がされていないためやむを得ないことで、アプリに問題があるわけではありません。

  • 「App Store」で「おおいた防災アプリ」を表示しています。「iPhoneに対応しています。macOSでは検証されていません。」と書かれています

Macにインストールしても動作しない例としては、iPhoneやiPadにだけあるセンサーを利用しているアプリなどがあります。例えば、iPhone、iPad用の「Barometer and Altimeter」アプリは、iPhoneやiPadに内蔵されている気圧計のセンサーから気圧のデータを取得して表示するアプリです。

  • iPhoneで動作している「Barometer and Altimeter」アプリです

このアプリをMacの「App Store」からインストールできます。

  • Macの「App Store」から「Barometer and Altimeter」アプリをインストールしました

しかしMacには気圧計のセンサーが内蔵されていませんので、このアプリを起動しても気圧は表示されません。なお、このアプリはiPadに対応しているので、先ほどの「おおいた防災アプリ」より大きいウインドウが開きます。

  • Macにインストールしたアプリは、起動はしますが気圧は表示されません

念のため補足しますが、本連載の前回記事で紹介した「辞書 by 物書堂」アプリのように、iPhone用はiPhone用、Mac用はMac用として、それぞれに最適化して開発し、公開されているアプリも、もちろんたくさんあります。

【今回の余談】
iPhone用のアプリが動作するのは、「Appleシリコン」と呼ばれるApple製チップを搭載しているMacの場合です。したがって、これから購入するMac、最近購入したMacでは、今回ご紹介したようにiPhone用のアプリを利用できます。しかし、Intel製チップが搭載されている比較的古いMacでは、iPhone用のアプリを利用することはできません。
本連載の年内の掲載は今回で終了です。7月の連載開始以降、お読みくださいましてありがとうございました。来年も、よろしくお願いします。