神奈川県三浦市の京急油壺マリンパークでこのほど、キタイワトビペンギンの赤ちゃん3羽が誕生した。うち2羽については一般公開されており、ヒナの仕草に見惚れて長時間、観察を続ける人たちで賑わっているという。また、残りの1羽は人工保育中でゴールデンウィーク期間中にも不定期に公開する予定。

母親が衰弱したため、人工で保育することになった赤ちゃんペンギン

キタイワトビペンギンは南極大陸周辺の島に分布する希少動物。体長約40cmで、黄色い飾り羽が特徴。同水族館では1984~1985年にキタイワトビペンギンの野生個体9羽を導入し、1987年に初めての繁殖に成功。以来、減少傾向にある同種の保存と繁殖に力を入れてきたという。2007年3月現在では、同種を31羽飼育。4月に入って3羽が誕生し、計34羽となった。なお、同水族館では「まだ孵化前の卵が3個あり、ゴールデンウィーク中に産まれるかも」と話している。

うち1羽の赤ちゃんペンギンは父親が子育てをせずに、ヒナが誕生する頃には母親の疲労状況が確認されたことから、ヒナを巣から取り上げて人工保育を開始。現在は人工保育中のヒナに、アジのミンチを与えており、親代わりの飼育員に「ピヨピヨ」と鳴いて餌をねだっているという。この1羽については一般公開されていないが「このまま順調にいけば、5月3日ごろにもヒナの様子を公開できる。ただし、ヒナの体調が良い日のエサやりの時間に限る」(同水族館)としている。

公開されている2羽についてだが、本種は1羽しかヒナを育てないため、ペンギン夫婦が産んだ2個の卵のうち、1個をペンギン夫婦の祖父母に卵を移したところ、21日には祖父母の巣から孫のヒナが無事に誕生した。現在、ヒナは祖父母から餌を与えられ、順調に育っているという。

我が子のようにヒナの世話をする祖父母のペンギン

キタイワトビペンギンを飼育する「ペンギン島」 は昨年12月にリニューアル。敷地面積は153.2平方メートルで、ガラス越しからキタイワトビペンギン様子を見ることができる。また、3月~6月の繁殖期には、親ペンギンの足元で温めている卵やヒナを育てている様子を小さな窓から覗くことができるほか、人工で育てているヒナを観察できる保育室や、ペンギンにふれて身近に観察できるスペースを設置している。