ブラジルのポップアーティスト・ロメロ ブリット氏が2日、東京・伊勢丹新宿店で7日まで開催されるアート展「Be happy!ロメロ ブリット来日展」の記者発表会に出席した。

  • 28年ぶりに来日したロメロ ブリット氏

1963年にブラジルのレシフェで生まれ、幼い頃から新聞紙などをキャンバスに独学で絵を学んだロメロ氏。1989年にアンディ・ウォーホルやキース・へリングと並んで「Absolut Art」に選出された。ディズニーのオフィシャルアーティストを務め、「2010 FIFAワールドカップ」のポスターを手掛けるなど、世界から注目を集めるポップアーティストだ。

今回の個展では、ロメロ氏が描いた原画や版画の新作、合わせて総数100点以上を展示。タイトル「Be happy!」の通り、「カラフルで陽気な人々をハッピーにする作品」が並ぶ。また、日本ゼオンが開発し、革新的な視覚効果をもつ新素材を取り入れた5点が世界初披露された。

この新素材は「広帯域化コレステリック液晶素材」と呼ばれ、偏光グラスを通すことで肉眼で見えたり見えなかったり、表と裏で別の図柄が見えたりと、光の反射を利用した様々な視覚効果を実現している。偽造防止としても活用も可能で、鑑賞者が楽しみながら、作品が本物かどうか分かるところも特徴の一つだ。

28年ぶりの来日となったロメロ氏は、「今回、日本に来られて嬉しいです。日本はすごく大好きで、日本のファンの皆さんと会える機会を作ってくださったことに感謝しています」とあいさつ。アーティストとして新しい技術を取り入れることに興味を持ったといい、「将来的に自分がいなくなった後でも、誰でも簡単に本物と偽物を識別でき、コレクターの方に“Peace of mind”を与える技術は、作品を届けるアーティストにとって非常に安心感があり、嬉しいことです」と心境を語った。

また、今回の展示作品について、「私が大切にしているテーマ『Love(愛)』『Hope(希望)』『Happiness(幸福)』をユニークな新技術で表現しています」と説明。「この新素材は砕いて曲面に使うこともできるので、今後は平面作品だけでなくスカルプチャー(彫刻)などにも応用できる可能性があると思います」と分析し、「とても美しい作品を仕上げることができて、この新技術に感謝しています」と表現方法を再発見していた。