「仮想マシン単位で管理できるストレージができる」は大きな誤解
2015年、仮想化技術で話題になったのが、VMwareのVVOL(VMware vSphere Virtual Volumes)です。VVOLは、VMware vSphere 6.0から搭載されたストレージ管理のためのAPI(Application Programming Interface)で、「SANストレージでも仮想マシン単位でストレージを管理できる技術」として注目されています。
VVOLによって、レプリケーションやスナップショットなど、従来はLUNやボリューム単位でしか実行できなかった管理も、仮想マシンごとに実行できるようになります。では、従来型ストレージにVVOLを導入することで、仮想化環境に最適化することができるのでしょうか? VVOLはストレージの仮想化対応のために用意されたAPIです。そして、VVOL対応することで実現される機能はストレージベンダーの実装方法に依存します。例えば、サポートされる最大VVOL数や、仮想マシン単位の管理、性能の最適化といった機能は、ストレージベンダーがいかにVVOLを実装するか次第なのです。ここでは、VVOL導入時に考慮すべき重要なポイントを2つ紹介しましょう。
まずは1つの仮想マシンがどれだけVVOLの数を消費するかです。「VVOLは仮想マシン1台ごとに1つ用意される」というわけではありません。1つの仮想マシンに対してコンフィグ用、データ用、スワップ用と最低3つのVVOLが、また仮想ディスクごとに1つのVVOLが必要になります。さらにスナップショットを実行すれば、その世代数だけVVOLが必要になります。例えば、3つの仮想ディスクがある1つの仮想マシンに対して7世代のスナップショットを取得した場合は、仮想マシンは1つであっても33個のVVOLが必要となります。
従来型ストレージの場合、サポートされるLUNやボリュームなどのオブジェクトの最大数によって、サポートされるVVOLの数も異なります。前述のとおり、1つの仮想マシンで多くのVVOLが必要になることもあるため、1システムのストレージに収容できる仮想マシン数が期待するほど多くないという結果になりえます。
もう1つの考慮すべきポイントは、仮想マシンごとに性能を最適化できるかです。VVOLを導入しても、仮想マシンの性能をリアルタイムに最適化できるわけではありません。
一方、Tintri VMstoreは、仮想マシン単位で稼働状況を可視化できるので、システムの遅延が発生しても迅速に原因の特定と切り分けが可能です。また、仮想マシンの稼働状況をリアルタイムに把握し、利用できるストレージのリソースを自動的に割り当てる機能(QoS)も備えているため、仮想マシンごとにパフォーマンスの最適化ができるのです。
また、サポートするVVOL数は、例えば「VMstore T5000」でも20万以上ものVVOLをサポートします。
もともとTintri VMstoreは、仮想環境に特化して管理を目的に1から開発されたストレージです。ですから、VVOLにかかわらず、仮想マシン上のアプリケーションやワークロードを安定稼動させられます。仮想環境が大規模になり、仮想マシンの数が膨大になれば、その違いは明白になるでしょう。
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