"データ活用とは難しく考えるものではなく、データを見て何かしらのアクションを起こせば、それは立派なデータ活用である"

本連載の第1回目で、ドーモ株式会社のシニアソリューションコンサルタント 後藤祥子氏はそう力強く語り、「データを見られるようにする」方法を紹介した。第2回目となる今回は、データ活用の次のステップ「アクション」にフォーカスし、具体的にどのようにアクションへとつなげていけばいいのかを後藤氏に聞いた。

  • Domoオリジナルティッシュボックスを手にする後藤祥子氏

    ドーモ株式会社 シニアソリューションコンサルタント 後藤 祥子氏

データを共通言語にすることで生まれる新たなアイディア

──前回は「データを見られるようにすること」がデータ活用の第一歩であることをお話しいただきました。今回は、そこからどのようにアクションにつなげていけばいいのかをお伺いできればと思います。

後藤氏: まず、社内のあらゆる人にデータを見る機会を与えることが重要ですね。多くの人が気軽にデータを見られるようになれば、同じ部署の人はもちろん他の部署の人とも「あのデータ見た?」といったデータを起点とした会話ができるようになります。人や立場によってデータの見方やそこから生まれるアイディアはさまざまですから、データを共通言語にすることで一人では思いつかなかったアイディアが浮かぶかもしれません。

また、データを見ることが習慣となると「あのデータも見たい」「このデータと突き合わせて見たい」などの欲が生まれてきます。そこから新たな気づきを得て、次のアクションにつながっていくでしょう。

──組織のあらゆるレベルの人にデータを見る機会を与えるには、どのような環境が求められるのでしょうか。

後藤氏: 誰もがストレスなく簡単にデータを見られることがもっとも重要です。たとえばスマホのアプリでダッシュボードが開いたり、ブラウザ上ですぐにアクセスできるようにお気に入り登録するのもいいでしょう。とにかくパソコンからでもスマートフォンからでも手軽にアクセスできる環境を用意することです。また、データの信頼性を保つために、データソースが明示されていることも重要ですね。

──そうした環境を実現できるのが、Domoなのですね。

後藤氏: そうです。環境は作ればそれで終わりではなく、データは時々刻々と変わっていくので、データを見る人たちから改修のリクエストも出てくると思いますし、ブラッシュアップしていく必要があります。何よりも環境をアジャイルに立ち上げられるということが重要で、Domoならそれが実現できます。

DomoはそもそもITスキルを持たない現場の人が使えるツールを目指して作られました。データベースの知識や開発言語のスキルがなくても、スピーディーにダッシュボードを作成できます。またデータ活用に向けた環境づくりにおいては、データウェアハウスを構築し、ETLでデータを加工して可視化するといういくつものステップが必要な場合が多くあり、それぞれ別のツールを使うことがしばしばですが、Domoならオールインワンで提供できるので、ハードルを大きく下げられると考えています。従来であれば半年ぐらいかけて構築し、そこからテストと検証を重ね、1年後にようやくリリース……というプロジェクトも多かったことでしょう。Domoであればキックオフから1カ月後にリリースといった事例もあり、スピード感を持ってデータ活用プロジェクトを推し進めることができます。

Domo活用の「成功体験」がデータを見る習慣づけを後押し

──社員がデータを見る習慣をつけるにはどうすればいいとお考えですか。

後藤氏: 誰もが簡単にデータを見られて、どんなに素敵なダッシュボードを作ったとしても、それだけではデータを見る習慣はつきません。運用面での工夫も必要になるでしょう。例えば任意のタイミングでデータ閲覧を促すアラートを送信するなど、データを見る習慣づけができる仕組みがあるといいですね。あるいは、会議の際に参照する紙やExcel・PowerPointなどの資料をダッシュボードに置き換えてみるのもいいと思います。

  • インタビューに応じる後藤祥子氏

──そうした仕組みはDomoに備わっているのでしょうか。

後藤氏: DomoはメールやSMS、Domoアプリにプッシュ通知するなど、データ閲覧を促す機能も充実しています。デバイスも、パソコンはもちろんスマートフォンからもアクセスできるので、気になったタイミングでどこからでもデータを見て、アクションを起こせます。

さらには、ユーザーの誰がどのデータにアクセスして、どんなことをしたのかログがとれるので、あまり見られていないダッシュボードは改修するなど、ユーザーが見たい形、必要な形に成長させていくことができます。このように工夫を続けることで、見たいデータを見たいときに見る世界観が社内に浸透していくでしょう。

Excelが習慣化していた企業で、Domoの活用が定着した例があります。Domo導入前は週次や月次でさまざまなレポートをExcelで作成していたためファイルが大量にありました。そのため管理が煩雑になり、どのファイルが最新で正しいデータなのかを把握できず、データを見るだけでも時間がかかるという課題を抱えていました。そこで複数のデータソースをDomoで直接つなぎ、ダッシュボード化させたことでデータを整理し、正しい数値をすぐに探し、見ることができるようになりました。これにより、現場・経営者がデータを見たいタイミングに見られるようになり、現状把握ができるので、問題があったときもすぐに対処できるようになったといいます。こうした「成功体験」が習慣化を後押しし、多くの従業員がDomoを活用してデータを見るようになったと言います。

Domoにはデータ活用を習慣づけ、アクションをさらに加速化する要素が整っていると思います。

「データから生まれるアクション」を起こすためのアプローチ

───データを可視化し、社員に閲覧もされているけれど、なかなかアクションが起きないという課題もあると思います。そうした課題に対してどのようにアドバイスしますか。

後藤氏: どういった形でデータを見たいかは人によって異なります。ダッシュボードの仕様を自分が見やすいように変更したいときに、IT部門にお願いしてからできあがるまでに時間がかかってしまうこともあるでしょう。またできあがったものが、自分が想像していたものと違う、ということはよくあるのではないでしょうか。

その点Domoは、ユーザーがビジュアライゼーションやデータ操作を独自にカスタマイズしたり、作成されたダッシュボードからオリジナルのマイページを作ることもできます。 その便利さを体感し、データを自分が見たい形で見られることを実感できれば、データに対する関心度は一気に上がり、アクションにつながるアイディアもどんどん生まれるようになるでしょう。

──Domoを使ってデータ活用が具体的に進展した事例を教えてください。

後藤氏: ある製造業で、財務や生産状況などさまざまな情報をDomoで見られるようになった事例があります。最初は品質保証部門にDomoを導入し、そこから購買部門、さらに物流部門へと広がっていきました。

Domo活用前の購買部門では、Excelで情報を管理していました。ある日、品質保証部門からクレームが多く寄せられた製品を構成する部品のメーカーを尋ねられたところ、情報が正しいのかどうかを確認したり、わかりやすいようにデータを加工したりなど、回答までに長い時間がかかってしまいました。それをきっかけに品質保証部門がDomoを紹介し、購買部門でもDomoを導入することになったといいます。そこからさらに物流に波及し、問題が発生した製品の行き先を抽出することも可能になりました。

──Domoを活用する部門が増えれば、そのぶん見られるデータも増えますし、アイディアも生まれやすくなりそうですね。具体的にどのようにアクションにつながっていくのでしょうか。

後藤氏: まず、アクションというと大きな影響力のあるものを想像する人も多いと思いますが、データを見てなにかに気づいたり、なにかを感じただけでも、それは立派なアクションです。常に鮮度の高いデータを見る習慣がつけば、成功につながる気づきがたくさん生まれ、自ずとアクションを起こすようになります。

──Domoという入り口さえ整えれば、あらゆる人がデータを見てアクションを起こすようになるのですね。

後藤氏: はい。Domoで鮮度の高いデータをいつでもどこでも見ることが習慣化されれば、それをもとに即座に行動を起こせるようになるでしょう。そして先ほどお話しした製造業の例のように、誰かがアクションを起こすと、そこから他の人へ、他の部門へとアクションの連鎖が起き、データもアクションもつながっていきます。こうした連鎖も、Domoによる「成功体験」によって起きやすくなると確信しています。

とはいえ、データを見る習慣を社員につけてもらうには、ある程度の産みの苦しみがあるのも事実です。アクションが連鎖的に起きるようデータ活用の啓発を行い、社内展開を牽引する人材「データアンバサダー」を登用することも効果的なので、次回はそのお話をしたいと思います。

  • インタビューに応じる後藤祥子氏

[PR]提供:ドーモ