DX推進やオフィスのデジタル化が強力に求められるなか、その支えとなるネットワークの重要性はさらに増している。そこで注目されているのが「ローカル5G」だ。数年前に話題を振りまき、バズワード的に流行したことから、現在では多くの企業が既に導入していると想像できるが、その現状はどうだろうか。

そこで今回、さまざまな業界の年商1,000億円以上の規模を持つ企業や官公庁に勤める方の400人を対象に、双日テックイノベーション株式会社が、「ネットワーク環境(Wi-Fi/ローカル5G)についての調査」と題したアンケート調査を実施。本記事では、会社員、会社役員などの様々な職位の方で、社内システムネットワーク関連、DX推進に関わっている回答者が答えた調査結果を紐解きながら、これからのビジネスに重要なインフラとして期待されるローカル5Gの実情と、そのソリューションに迫る。

アンケート実施概要

調査期間:2025年3月10日~16日
調査方法:インターネット調査
調査目的:「ネットワーク環境(Wi-Fi/ローカル5G)についての調査」
有効回答(N):400

言葉として浸透する「ローカル5G」、普及率の実態に迫る

デジタル活用による業務効率化・生産性向上のニーズが高まり、さらに働くスタイルが多様化している現在では、かつてのような有線LAN一辺倒ではなく、場所に縛られない無線通信の利便性が大きなメリットと捉えられている。調査結果を見ても回答者の80%が自社でWi-Fiを導入していると答えており、とりわけ規模の大きな企業ではWi-Fiがもはや標準的に採用されている状況が見て取れるだろう。

さらに、Wi-Fiの導入理由を尋ねた設問では、約39%が「DX推進の一環」、約32%が「(DX視点ではなく)既存オフィスネットワークの強化」と答え、以下、「ネットワークセキュリティ強化」、「ネットワークの安定性・信頼性向上」と続く。

その一方、ビジネスや公共サービスにおいて様々な課題解決に繋がると期待されているローカル5Gは、導入しているという回答者が約1割にとどまった。

ローカル5Gについて改めて簡単に振り返っておくと、すべての企業・組織が自らの敷地や建物内で専有的に利用できる5Gネットワークだ。高速・大容量、低遅延、多数同時接続といった特徴を有する専用ネットワークであるため、セキュリティの高いネットワークを様々な課題やニーズに合わせて柔軟に構築できる。総務省が2019年12月より申請受付を開始しており、運用自体には無線局の免許を必要とするが、多様な業界で実証実験が進められてきた。

ローカル5Gについて詳しくはこちら

ローカル5Gは結局Wi-Fiと何が違う?比較から利用シーンを考えてみる
| STech I Lab | 双日テックイノベーション

このローカル5Gは、登場前から期待度は高かったものの、先述したように現状の導入はまだそれほど進んでおらず、普及に時間が掛かっている。とはいえ、「これまでにローカル5Gの導入を検討したことはありますか」という設問では、“検討したことがある”との回答は43%近くに達しており、やはり関心は高いことがわかる。

また、導入検討をしたことがないと答えた回答者へ自由記述形式で理由を尋ねると、「必要性が無い業種である」や「担当ではない」といった回答に集約できる内容が多く、ローカル5Gという言葉自体は浸透していると言っても過言ではないだろう。

これらの結果から考えるに、ローカル5G自体は認知度が高く、実際に4割以上が検討しているということで、ユーザーの関心も高い印象を受ける。にもかかわらず、ほとんどの組織では実際の導入には至っていない。

実際に導入まで至らない背景を紐解く

ローカル5Gの検討はしても実際の導入にまで至らなかったということは、導入を妨げる何かしらの課題が存在していたからだろう。次はその課題について探っていく。

まずは「ローカル5Gの導入を検討したことがある」もしくは「ローカル5Gを導入している」と回答した方の、ローカル5Gの導入を検討した理由についての調査結果だ。

結果としてはWi-Fiを導入した理由と概ね同じ傾向となっており、「DX推進の一環」がトップ、「既存オフィスネットワークの強化」が次位となった。「ネットワークのセキュリティ強化を目的に検討」の回答が若干増えてはいるが、そこはローカル5Gの強みのひとつであり必然ともいえる。

DX推進の文脈で、Wi-Fi/ローカル5Gを問わず社内ネットワークに関して検討される目的としてよく挙げられるのは、例えば製造業ではIoTやAIの活用による生産ライン最適化、各生産拠点におけるネットワーク環境整備、進捗や設備稼働状況の可視化といったところだろう。また製造業にかかわらず全般的に、費用対効果の向上、社内のどこでも快適に働ける環境整備、セキュリティ強化といった点も見逃せない。一方のオフィスネットワーク強化の観点でも、DX文脈で出てきたコスト、働く環境、セキュリティなどのポイントが主流となってくると思われる。そのため、この結果は総じてDXやオフィス環境の充実が目指されている昨今のトレンドに合致した結果といえるだろう。

そこで、ローカル5G導入における進行度を尋ねてみると、「検証実施まで企画したが実際には実施できていない」が27.1%でトップ、「検証まで実施したものの本番導入の検討には至っていない」が19.2%で2位という結果になった。多くの企業が検証までを企画もしくは実施しているが、本番導入まで至っていなかった状況が見えてきた。

続けて、同じく「ローカル5G導入を検討したことがある」もしくは「ローカル5Gを導入している」と答えた回答者に対し、ローカル5Gの導入を阻害する課題・障壁を、「人材面」「モノ・システム面」「コスト面」「その他」の4つの観点から調査してみた。

「人材面」に由来する課題・障壁を尋ねた設問では、ローカル5Gの構築・運用に関するスキル不足が導入の障壁になったという選択肢の回答率が5割を超え、導入に向けた社内関係者の理解・合意形成を課題視する選択肢の回答率が4割近くで続いた。構築・運用に関わる人員数や、ベンダーの選定に関する課題も挙げられている。スキルや人員の不足はやはり多くの企業、担当者が課題と捉えており、また加えて社内の理解・合意形成が次いで多く挙げられた点は、ローカル5Gが複雑そうだというイメージが影響しているのかもしれない。

一方、「モノやシステム面」からローカル5G導入を阻害する課題・障壁としては、「従来のオフィスネットワークと比較して圧倒的な通信品質の獲得」という選択肢の回答がほぼ半数に達し、従来ネットワークより技術的難易度が高いという選択肢も36%を超えた。トップの回答に関しては、ローカル5G自体の用途が限定的な場面もあり得ることから「圧倒的な通信品質の獲得」をイメージできなかった可能性が考えられる。対して技術的難易度は、人材面での理由でスキル不足が挙げられていることにも通じ、「ローカル5Gは難しい」というイメージが影響しているのだろう。

その他、「コスト面」では構築・機器・検証・保守のいずれにおいても高額という答えが大多数を占め、さらに「その他」では検証・シミュレーションが可能なベンダーが少ない、ローカル5G無線局免許取得に手間や時間を要するといった懸念も多く示されていた。

これらの調査結果を俯瞰すると、
①人・スキルにおける運用管理の課題
②コストの課題
③免許取得や検証といった導入前の課題やベンダーに起因する課題
がローカル5G導入の阻害要因となるケースが多く、その背景には「ローカル5G=難しい」というイメージがあることも見えてきた。

アンケートで明らかとなった導入課題を解決!
専用設計されたローカル5Gソリューション「Celona」とベンダー選定のポイント

ここまで、ローカル5G自体にはメリットがあると多くの企業で考え、検討しているにもかかわらず、導入が進んでいない背景を見てきた。その一方、制度開始から5年という長い実証実験フェーズを経て、いよいよローカル5Gが2025年から本格普及のフェーズに入るとの予測もある。

では、見えてきた課題を解決し、ローカル5Gの導入・活用を後押しするには何が必要なのか。ここで注目したいのが、双日テックイノベーションが導入支援を行う、ローカル5Gソリューションの「Celona」だ。

Celona自体は、米国シリコンバレーに拠点を置くCelona社のローカル5Gプラットフォームであり、ローカル5Gで必要になるSIM、アクセスポイント、5Gコア、管理ソフトウェアをシングルベンダーで提供している。そのため、導入に関するハードルを下げることができるのが大きなポイントだろう。

管理ソフトウェア「Celona Orchestrator」の直感的なGUIとリモート管理できる利便性と、プラグ・アンド・プレイによるアクセスポイントの簡単かつ迅速な導入。さらに、ネットワーク機器の設定を自動化するゼロタッチプロビジョニング機能等により、前段の最後で整理した①の運用管理の課題をまずは解決できる。

しかも通信事業者のパブリック5Gをローカル5G向けに落とし込んで設計されたソリューションではなく、そもそもがローカル5Gに最適化して専用設計・開発したネットワーク及びハードウェアであり、シンプルなシステム構成を実現していることから、「ローカル5G=難しい」というイメージも払拭してくれる。

前段で示された②の課題は導入・運用におけるコストの問題だった。Celonaはこれについても総合的なコスト削減が可能となっている。例えば、屋外での信頼性の高い接続とWi-Fiに比べた場合のコストが課題となっていたある大型石油・ガス精製施設の事例では、デッドスポットのないカバー範囲の広さと、特許技術であるマイクロスライシングによる遅延低減を実現したうえ、アクセスポイント数もWi-Fi時の300台(試算)をはるかに下回る10台に抑えられ、トータルでのコスト低減に大きく寄与している。

また、あるスマート倉庫の事例でもCelonaで倉庫内全領域をカバーし、シームレスな接続を達成しつつ、アクセスポイント数を10分の1に削減して、同じくトータルコスト削減を実現した。

上述のように、ローカル5Gに特化したネットワークと専用ハードウェアをシングルベンダーで提供していることもコストメリットに反映される。その他にも、専用設計されているからこそ提供できる強みとして、5Gコア「Celona Edge」の省スペース性が挙げられる。一般的にローカル5Gでは大がかりなコアの展開が必須というイメージが定着しているが、実は「Celona Edge」では 、導入先や場所をある程度選ばずに設置が可能だ。これにより導入のハードルが下がる企業も多いだろう。

最後に③、導入前の課題とベンダーに起因する課題について解説する。こちらは、Celonaのソリューションを導入する際、適切なベンダーを選定することで解決する。

双日テックイノベーションは、Celona社と日本で初めて販売代理店契約を締結したベンダーだ。2024年6月からCelonaの5Gソリューションの提供を始め、Celona製品の品質管理から設計、構築・導入、保守・運用までトータルで支援している。またローカル5G導入検討時のCelonaを実際に使用できる検証環境を整えており、実証段階から同社に任せることができ、機器の準備はもちろん無線局免許取得もスムーズに行える。まさに作業の面でもコストの面でも、Celonaのシングルベンダーのメリットをフルに享受できるわけだ。

同社にはネットワークに深い知見とスキル、経験を有したエンジニアが多数在籍しており、構築はもちろん運用管理も安心して任せられる。言うまでもなく保守サポートは日本語対応で、ローカル5Gを活用したDX推進、オフィスネットワーク強化までエンドツーエンドでサポートが可能だ。

ローカル5Gに興味を持っていたものの導入まで踏み切れなかった、2025年こそローカル5Gを本格活用したい……そう考えるなら、一度同社に相談してみてはいかがだろうか。

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