DXの取り組みが加速し、データドリブン経営の実現がビジネスの競争力に直結するようになった現在、データの保存領域となる“ストレージ”の重要性は高まり続けている。なかでも、高速なアクセスと高い可用性を併せ持つブロックベースのSAN(Storage Area Network)ストレージは、ミッションクリティカルなシステム・アプリケーションを運用するうえで重要な役割を担っている。仮想化環境やデータベースなど、パフォーマンスと信頼性が求められる用途で、SANストレージの導入を検討する企業は少なくない。

こうした状況のなか、ストレージ専用OSである「ONTAP」を実装したファイルベースのNAS(Network Attached Storage)製品、及びSANとNASの両方に対応したユニファイドストレージ製品のパイオニアとして市場を牽引してきたNetAppは、SAN専用ストレージ製品のラインナップを拡充。ONTAPによる運用性とセキュリティを備えたオールフラッシュSANストレージ「NetApp ASA Series」を市場に投入している。本稿では、ネットアップ合同会社 ソリューション技術本部 パートナーSE部 部長の近藤 信一氏に、ストレージ市場の最新動向と、ASAシリーズの特徴について話を聞いた。

ユニファイドストレージのパイオニアがSANストレージ市場に本格参入

1992年に米国カリフォルニア州サンノゼで創業し、世界30カ国、96拠点でストレージ製品、及びデータ管理ソリューションを展開しているNetAppは、ストレージ専用OSのONTAPや、レプリケーションテクノロジー「SnapMirror」といった先進技術を取り入れた製品を提供してきた。2002年には、SAN/NAS統合アプライアンスとなるユニファイドストレージの提供を開始。NAS市場で高い実績を誇るONTAPの機能をSANストレージに適用することで、データストレージ市場での地位を確立した。さらに、パブリッククラウドでONTAPで管理するストレージを運用できる「Cloud Volumes ONTAP」や、オンプレミス・クラウドをまたいだ統合管理サービス「BlueXP」を提供するなど、多様化したデータインフラ環境のニーズに応えるソリューションを提供し続けている。

ストレージ市場を牽引するリーダー企業の1つである同社では、生成AI技術をはじめ、ビジネスにおけるデータ利活用の気運が高まっている現状を踏まえて、SAN専用ストレージ製品をアップデート。データベースや仮想基盤に最適なNetApp ASAシリーズを市場に投入した。パートナーSE部 部長の近藤氏は、SANストレージ市場の動向とトレンドについて、次のように捉えている。

  • (写真)近藤信一氏

    ネットアップ合同会社 ソリューション技術本部 パートナーSE部 部長 近藤 信一氏

「昨今ではAIというキーワードがビジネストレンドになり、企業が扱うデータ量は増加し続けています。この流れに伴いストレージ製品のニーズも高まりを見せており、仮想基盤やデータベースなどに使われるストレージには、パフォーマンスと可用性、堅牢性、さらに強固なセキュリティが求められています。近年、企業のITインフラは複雑化しており、シンプルかつ統合的に運用できることは不可欠です。用途ごと、システムごとに異なるベンダーのストレージ製品を導入していくと、IT管理者にかかる負荷も高くなってしまいます」(近藤氏)

NetAppでは、ストレージ専用OSであるONTAPを搭載したユニファイドストレージ製品で、ファイルストレージ、ブロックストレージを統合的に運用できる環境を提供してきた。NAS市場のリーダー企業という印象が強い同社だが、グローバルで約2万社の企業がブロックベースのストレージとして同社の製品を利用しているという。とはいえ、高性能・高可用性のSAN専用ストレージにこだわりを持つ企業は多いと近藤氏。NetApp=NASというイメージを払拭するためにも、SAN専用ストレージ製品のラインナップ拡充が必要だったと説明する。

「ビジネスにおけるデータ利活用の重要性が増している現在、パフォーマンスと可用性という要件を満たしたSAN専用オールフラッシュストレージの導入を検討する企業が増えるのは必然といえます。そこで弊社では、SAN専用の高性能オールフラッシュストレージ製品となるNetApp ASAシリーズをリリースしました。高いパフォーマンスが求められるミッションクリティカルな用途向けのASA Aシリーズに加え、コストパフォーマンスに優れたASA Cシリーズも展開し、コスト面でSAN専用オールフラッシュストレージの導入に踏み切れないでいた企業のニーズにも応えられるラインナップを揃えています」(近藤氏)

ストレージOS「ONTAP」の実装で運用性が向上、高度な重複排除・圧縮機能で実効容量もアップ

NetAppが提供するNetApp ASAシリーズは、性能と可用性というブロックストレージの必須要件に加え、運用性やセキュリティ、コスト効率性といった近年のストレージに求められる要件を網羅した製品となっている。同社が長年にわたり提供し続けてきたストレージOSの最新バージョン「ONTAP9」が実装されているのが大きな特徴。すでに同社のNAS製品を使っているという企業はもちろん、同社のストレージを初めて導入するという企業にもシンプルな運用性と柔軟な拡張性、データ保護機能など数多くのメリットを提供する。

高可用性を担保する機能としては、NetApp ASA専用に設計されたアクティブ・アクティブのマルチパス構成に加え、コントローラー障害時の高速パス切り替えを実現。ホストI/Oの停止を3秒以下に抑えることに成功している。これらの機能により、NetApp ASAシリーズは99.9999%のデータ可用性保証プログラムの対象となっており、システムダウンが許されないミッションクリティカルな用途でも安心して利用できる。ONTAP9の機能としては、Snapshot、SnapMirrorでデータ保護やレプリケーションに対応し、更に改ざん防止のSnapshotによりデータの改ざんや削除を抑止。ONTAP自体がサイバー攻撃に強いこともあり、昨今の企業にとって大きな脅威となっているランサムウェアにも対処可能なSANストレージに仕上がっている。

また、コスト効率性に優れていることも大きな特徴となる。一般的にオールフラッシュストレージは、HDD、またはHDD+SSDのハイブリッドストレージと比較して容量あたりのコストが高い傾向があるが、NetApp ASAシリーズでは、高度な重複排除・圧縮機能により実効容量を増大させている。

「NetApp ASAシリーズではコスト効率性を重視しており、4:1のストレージ効率化保証というプログラムを提供しています。たとえば実効容量が25TBのボリュームで構成されている場合、重複排除や圧縮などのストレージ効率化機能により100TBの実効容量を保証。達成できなかった場合は不足容量分のSSDドライブを無償提供します。これは他のオールフラッシュストレージ製品と比べて大きな強みといえます」(近藤氏)

  • (写真)近藤信一氏

さらに最新モデルとなるASA Cシリーズでは、低価格かつ高容量のQLC NAND型フラッシュ(SSD)を採用することで、非常に高いコストパフォーマンスを実現。オールフラッシュ=高価というイメージを払拭し、仮想基盤やデータベースなど、性能と容量が必要な用途において非常に有効な選択肢となっている。実際、レイテンシでは若干ASA Aシリーズに劣るものの、容量あたりのコストではかなりの優位性を持つASA Cシリーズへの注目度は高く、昨今問題化している仮想化製品のライセンス料増大を、ストレージコストの削減(しかも性能を犠牲にすることなく)でカバーしたいと導入を検討する企業も出てきていると近藤氏。「パフォーマンス的にもブロックストレージの用途の80%近くはASA Cシリーズでカバーできると思います」と、ASA Cシリーズの性能に太鼓判を押す。

サステナビリティの取り組みにも有効、NetApp ASAシリーズはデータドリブンな体制作りを支援する

前述したとおり、NetAppのSAN専用オールフラッシュストレージへの注目度は高まっており、導入した、もしくは導入を検討している企業は増加傾向にある。同社のNAS製品を運用している企業が、ONTAPによる一元管理を実現するために導入を検討するケースはもちろん、昨今では初のNetApp製品としてSAN専用ストレージを採用する企業も増えてきていると近藤氏は語る。

「最近の事例としては、多くのヒット商品を世に送り出している食品メーカーさんがユニファイドストレージではなく、初のONTAP搭載製品としてSAN専用ストレージを導入されました。この企業では、事業の多角化を進めるなかで、データ集計のバッチ処理にかかる時間が増え、受注から生産に至る業務サイクルの停滞を招いていました。これを解消するため、基幹システムの仮想化基盤刷新に着手。弊社のSAN専用ストレージを採用することで、これまで最大2時間かかっていたバッチ処理を約1/4の30分にまで短縮しただけでなく、重複排除・圧縮機能によりデータ容量を約40%削減することに成功しています。さらにHDDを採用した従来のストレージと比べて、設置スペースが1/10以下になり、ハードウェア的な障害も激減するなど多くの成果を得られています」(近藤氏)

この事例の導入効果からもわかるように、オールフラッシュストレージの導入は、ラックスペースや消費電力の低減といった、サステナビリティを向上させる効果も期待できる。近藤氏は、導入を阻む要因となっていたコストや実効容量の問題もASA Cシリーズでは解消できていると語り、データ利活用に関わる幅広い領域で同社のSAN専用ストレージ製品を活用してもらいたいと期待を口にする。

「ブロックベースのSANストレージは、今後もさまざまな領域で使われていくはずです。コストが高いと思い込み、オールフラッシュ製品の導入をためらっている企業も多いかもしれませんが、例えば弊社のASA Cシリーズならば、1万回転のSAS HDDを採用した同容量のストレージとほぼ同じコストで運用できます。仮想化製品のハイパーバイザーとの相性も良く、企業のデータインフラ全体のコスト効率化も強力に支援します。高い信頼と実績を誇るONTAPを実装したNetApp ASAシリーズは、ブロックストレージ市場に対する弊社の“本気”を示す製品です」(近藤氏)

データドリブンな体制の構築に向け、データインフラの改善・刷新を図りたい企業にとって、NetAppのSAN専用オールフラッシュストレージは見逃せない選択肢となるはずだ。

  • (写真)近藤信一氏

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