あらゆる業務がデジタル化し、企業が膨大なデータを持つようになった昨今のビジネスにおいて、データ活用はもはや必須ともいえる。BIツールなどを導入し、データを可視化している企業も多いが、ツールの管理やデータ加工をIT部門が担っていることが多い。そうしたなかで「見たいデータがあるけどわざわざIT部門へ依頼しなければならない」「リアルタイムなデータを見たいのに更新に時間がかかる……」といった経験をしたことがある人もいるのではないだろうか。データを見る側と可視化する側で部署が違うことによってさまざまな課題が生じる。
本記事では、同様の悩みを抱えるメーカーX社のケースを紹介していく。
登場人物紹介
メーカーX社 営業部 Aさん
メーカーX社 情報システム部 Bさん
メーカーX社の営業部長が直面したデータ活用の壁
X社の営業部長、Aさんが率いる営業部門は最近売上の進捗が芳しくない状況が続いていた。当然のことながら、上からは売上目標達成の至上命題を与えられており、打ち手を模索するため、まずは部全体の売上進捗や過去の傾向を確認してみることにした。
直近の売上データと過去のデータから売上推移鈍化のボトルネックや傾向を読み取ろうとした際に、データが断片的で、見たい軸で見ることができないことが課題となった。各拠点の営業リーダーが提出する売上レポートは、Excelファイルで日ごとに作成されていることから、推移を横断的に捉えにくく、集計しようにも膨大な時間がかかる。加えて、他部門のデータを見られず、商品在庫や生産状況などを把握できないのも戦略を立てる上で障壁となっていた。
そのうえ、Excelの売上レポートに入力されている数字とSFA(営業支援システム)上の数字が合わず、どの数字を信じれば良いのかがわからない状況にあった。というのもExcelの売上レポートの入力ルールが統一されておらず、拠点によっては1,000円単位で丸められるなど数字が加工されていることもあった。また、そもそも入力の負荷が高いことや、営業部員がデータの重要性を理解できていないこともあり、入力の精度もあまり高いとはいえない状況だ。
「商品別・営業担当別に過去の受注確度の推移を見て、他部門の状況も把握できれば、なにか傾向がつかめる気がする。うまくデータ活用ツールを使って、各部門に散らばるデータを繋ぎ、可視化することで、入力するデータの精度も上がるかもしれない」そう考えたAさんは、全社的に導入されているBIツールを管理しているIT部門に相談してみることにした。
データを見られるようになるまでの長い道のり
IT部門に相談したところ、過去と現在の売上と在庫の状況を横断的に確認できるダッシュボードを作成することになった。しかし、IT部門では開発案件が立て込んでいることもあり、ダッシュボード作成に1カ月かかるそうだ。たしかに、営業部のデータは部門独自で導入したSFAシステムにあり、他部門のデータもそれぞれ個別のシステムで管理されているため、部門間のデータ連携にはそれなりの手間を要する。個別システム内のデータはExcelなどで回収する必要があり、回収だけでも時間がかかる。
IT部門は社内のインフラや既存システムの運用、DX推進など多くの業務を抱えているため、今回の営業部の依頼は優先順位を低くせざるを得なかった。
今回相談を受けたIT部門のBさんとしては「現場でダッシュボードを自由に作成できるようになったらどれだけいいか……」というのが本音だ。たしかに、実際にダッシュボードを使う人がほしいデータを集めてダッシュボードを作った方が、話が早いようにも思える。しかしダッシュボードを作成するには専門的なスキルを要するため、現場では作成が難しいこともBさんは理解している。また、データの閲覧権限などガバナンスを効かせるのもIT部門の仕事であり、それをふまえると現場が自由に操作できる環境は実現しづらい。
期末が迫るなか、Aさんは「本当はもっと納期を早めてほしいのに……」と思いながらも、1カ月待つことにした。ところが1カ月後、首を長くして待ち望んだダッシュボードは、過去の受注確度を商品ごとに見られなかったり、売上集計が一部抜けていたり、商品分類が間違っている部分があったりなど、多くの修正を要する状態だ。これは、IT部門のBさんが営業現場の業務を深く理解できていないことや、BIツールの仕組みを知らないAさんの依頼が不十分なことが理由となり、望むものとは違う仕上がりになってしまったのだ。
レビューや修正依頼にも時間と労力を要し、Aさんは途中で挫けそうになりながらも、なんとか完成させることができた。しかしそのときにはすでに期末を迎えており、今回の苦境にデータをもとにした戦略立てができず、営業部の売上予算は未達に終わってしまったのだった。
さらにこのダッシュボードには致命的な欠陥もあった。他部門のデータを集約してくる必要があるため、数値更新にはIT部門への依頼が必要とされたのだ。
多くの企業がデジタルツールを駆使し、めまぐるしいスピードで競争力を高めている昨今だが、製造業も例外ではない。そのスピードについていきながら、データをもとにした戦略立てや業務改善を実現するには、見たいデータをその場ですぐに見られる環境を整える必要がある。今回のようにIT部門に更新を依頼しなければならない状況では、タイミングにマッチした意義あるデータ分析も難しくなるだろう。
スピーディーなデータ活用を実現するDomo
せっかくのデータを活用しようとしても、X社のようにうまく活用できていないケースは実に多い。スピーディーにデータ活用を回していくには、やはり実際にデータを見たい人がデータを自ら加工してすぐに見られる環境が重要である。もちろんデータを現場で扱うには、ガバナンスもしっかり効かせる必要があるだろう。
また、現代のIT部門には、増え続けるシステムの安定運用やDX推進など、多くのことが求められる。とはいえ増員も容易ではなくIT人材不足が社会問題となっており、すぐに採用することも難しい。もはやDXはIT部門だけで担うものではなく、そのなかでもデータ活用はデータを使う事業部門が他部門と連携して主導していくのが理想的だ。もちろん事業部門も本業があり、データに関する専門的なスキルを有しているわけではないので、現場主導のデータ活用の実現は簡単ではない。
そこで力を発揮するのが、ドーモが提供するノーコードデータ活用プラットフォーム「Domo」だ。Domoはノーコードでデータを加工できるのが大きな特長で、データウェアハウス、ETL(データ加工)、ガバナンスなどさまざまな機能を備え、まさにオールインワンのデータ活用プラットフォームと言える。その操作の簡便さから多くの企業の事業部門がDomoを導入しており、現場主導のデータ活用を実現している。
現場主導のデータ活用といっても、せっかくの意義あるデータ活用を部門で閉じてしまうのはもったいない。成功体験を社内に共有し、他の部門にデータ活用を横展開していくキーマン「データアンバサダー」がいると、データ活用が全社的に浸透していくだろう。
データドリブンな営業戦略で売上予算を大幅に達成したAさんのその後
Aさんは、営業部門におけるデータ活用を一度は諦めかけたものの、現場ではデータを見て営業活動に役立てたいとのニーズが根強く聞かれた。そこでAさんはデータドリブンな営業戦略を立てていくために営業現場で直接データを扱おうとデータ活用ツールの導入を検討した。
その際に全社で導入しているBIツールを営業部門で使う選択肢もあったが、操作が煩雑で、スキルのない営業現場で扱うには難しいと判断。現場でも無理なく扱えるツールをさらに探したところ、Domoにたどり着いた。
Domoはマウス操作のみでダッシュボードを作成できるので、専門的なIT知識を持たないAさんも2時間のハンズオントレーニングで簡単に必要なデータを取り込み、加工し、ダッシュボードを作れるようになった。現場の要望を汲み取り、SFAの一部の情報を自動で取り込みながらユーザーファーストな入力環境を作ることで、人件費約1,000万円に相当する入力業務を削減し、データの精度を上げることもできた。さらにコネクターによって他部門のシステムとの連携も容易に行うことができた。また、Domoはアクセス権限や承認機能も備えており、IT部門や経営が懸念するガバナンスも効かせられる。
Aさんはもともとデータ活用に関心を持っていた部員を巻き込み、ときにはIT部門やドーモ社のサポートも受けながら、過去の実績を可視化し、そこから得た傾向をもとに売上予測の精度を向上させることができた。
それをきっかけに、個人の売上実績を見て商品ごとに偏りがあることに気づき、営業活動を改善して個人の売上を伸ばす部員や、データ分析結果をもとに現場の声を広い新商品開発の意見を出してくれる部員も現れ、営業部門全体でデータ活用が活発に行われるようになった。また、生産部門のデータを見られるようになったことで、在庫の状況を確認する際などのコミュニケーションも円滑になったという。
結果としてAさん率いる営業部門は売上予算を大幅に達成し、その成果を社内発表することで、全社的にデータ活用の成功事例として注目を浴びた。データ活用に興味を持つ部門も登場し、社内でデータドリブンの取り組みが着実に進み始めている。Aさんはこの成功を営業部門だけのものにするのはもったいないと感じたため、現在はIT部門と事業部門の間を取り持ちながらデータ活用を推進するデータアンバサダーとなり、データドリブンな文化の全社的展開に取り組んでいる。
* * *
X社のケースからわかるように、専門スキルがなくても見たいデータを手軽に可視化できるDomoは、部門の壁やスキル・ノウハウのハードルを前に諦めていた現場主導のデータ活用を実現できる。さらにはデータアンバサダーとして成功体験を伝え、他部門や上層部を巻き込み、ボトムアップとトップダウンの双方向で広めていくことで、会社全体のデータドリブンな動きにもつながっていく。ぜひDomoを活用して現場主導のデータ活用に挑戦してみてほしい。
[PR]提供:ドーモ