高品質なイヤホンやマイクを中心としたプロ向けオーディオ製品を展開し、世界中のアーティストやクリエイターから高い支持を受けるドイツの音響メーカー、ゼンハイザー(Sennheiser)。そんな同社が、会議室やセミナールーム、イベントホールといったビジネス現場の「音」を手がけたら、一体どんな革新が起こるのか。ゼンハイザーは近年、その回答となる新製品を次々と投入し、会議中の「音」に悩む企業担当者から熱い注目を集めている。同社が提供する「手元にマイクがないのに皆の声がよく聞こえる会議室」は、ビジネスや学びの場にどのような価値をもたらすのだろうか。

  • (写真)ゼンハイザージャパン 川北氏、鎌田氏、山口氏

    ビジネスコミュニケーション領域で導入の提案・サポートを行う、(左から)川北氏、鎌田氏、山口氏

会議室での「音」のトラブルがビジネスコミュニケーションの妨げに

会議における「音」の重要性に、あなたは気づいているだろうか。Microsoft TeamsやZoomといったWeb会議システムの利用が一般化したことで、多くの人がスムーズな会議の進行には音がきわめて重要だと認識するようになった。同じように、リアルな会議の場でも、各人の声の大きさやトーン、周囲の雑音が会議の進行にもたらす影響は決して小さいものではない。

そんななか、会議室で生まれる音を「未来に向けて再設計」しようとしているのがゼンハイザーだ。高品質なイヤホンやマイクを中心としたプロ向けオーディオで知られる同社だが、近年は会議室やセミナールームなどで利用するビジネス向けの会議ソリューションを次々と展開し、注目を集めている。ゼンハイザージャパン セールスディレクター 川北敏樹氏は、こう説明する。

「いまビジネスの現場で行われる会議の多くは、マイクがあることが前提です。議事録を作成するために録音したり、リモートから会議に参加する人向けにカメラやマイクを用意したりすることはもはや当たり前となりました。ただ、マイクがあることでビジネスコミュニケーションが妨げられるシーンも多くあります。リモート会議でもリアルな会議の場でもマイクトラブルによってフラストレーションを感じるケースが増えているのです」(川北氏)

  • (写真)ゼンハイザージャパン 川北氏

    ゼンハイザージャパン セールスディレクター 川北敏樹氏

特に問題になっているのは、マイクのトラブルが意思決定の遅れやビジネス機会の損失につながってしまうケースだ。

「よく相談を受けるのが役員室での会議です。役員会議では、スムーズな議事進行のためにマイクを用いることが多いのですが、調整がうまくいかなかったり、マイクを発話者に手渡すのが手間になったりしてストレスを生んでいます。『会議の音をなんとかしてほしい』という声を世界中の企業からいただいていました」(川北氏)

そこで開発したのが「手元にマイクがないのに皆の声がよく聞こえる会議室」だ。

「手元にマイクがないのに皆の声がよく聞こえる会議室」とは

ゼンハイザーが提供する会議室は、高性能な天井マイクとスピーカーで構成される、これまでにない音環境だ。ハンドマイクやピンマイク、卓上マイクなどが手元になくても、発話者の声を自動で拾い、スピーカーで拡声して、会議室にいる参加者全員に聞きやすい音として届けることができる。

「会議では、話す人の声の大きさやトーンによって聞きとりやすさが変わります。小さすぎる声は自動で大きくし、大きすぎる声は自動で抑えて、参加者全員が聞き取りやすい環境をつくります。さらに机を叩く音や服がこすれる音、咳払いなど、発言したい内容以外の音をノイズキャンセリングすることもできます。発話者はマイクを気にすることなく自然な声で話すことができますし、身振り手振りを交えたコミュニケーションも可能です。マイクが自動で集音位置を調整するので、会議の運営担当者がマイクを切り替えたり、事前に集音位置をチューニングする作業も不要です。広い会議室であれば、天井マイクとスピーカーは複数台で構成しますが、ハウリングも起きないように調整されます」(川北氏)

まさにゼンハイザーがプロオーディオ製品で培ってきた技術を駆使して、話しやすく聞き取りやすい会議室をつくりあげているのだ。川北氏は、コロナ禍を経てビジネスコミュニケーションにおける音の重要性はより高まったと指摘する。

「コロナ禍がもたらした変革の1つにリモート会議があります。打ち合わせや会議で良い音を実現すればビジネスコミュニケーションがスムーズに進行することや、リモートでも発言者の”熱”を伝えることが大切なことだと、弊社では肌で理解しました。こうしたビジネス環境の変化にともなって、”新しい会議室”を作り直そうという機運が高まっています」(川北氏)

天井マイクとスピーカーで「コミュニケーションに最適な空間」を実現

ゼンハイザーが提供する新しい会議室は、高機能な天井マイク「TeamConnect Ceiling」、カメラとマイクを備えたスピーカー「TC Bar」などで構成するソリューションだ。

会議室やセミナーホールの広さ、天井高、用途など環境に合わせて複数の製品を組み合わせて提供するもので、一般的な会議室なら、天井マイクのハイエンドモデル「TeamConnect Ceiling 2」やミドルクラスモデル「TeamConnect Ceiling Medium」1〜2台を既存のスピーカーと組み合わせることで実現できる。

  • (写真)TeamConnect Ceiling 2とTeamConnect Ceiling Medium

    (左)TeamConnect Ceiling 2、(右)TeamConnect Ceiling Medium

ソリューションの特徴的な機能の1つが「ボイスリフト」だ。テクニカルアプリケーションエンジニアの山口真宏氏はこう解説する。

「天井マイクが発話者を自動で検知し、その声をスピーカーで拡声して、会議室の参加者全員に聞き取りやすく音を届けます。ダイナミックビームフォーミングという特許取得技術により発話者を自動追尾することができるのは、ゼンハイザーが誇る唯一無二の技術といえるでしょう。事前の設定が不要なため、参加者が会議室に入るだけで、ビジネスコミュニケーションに最適な空間を提供できます。また、会議室だけでなく、大ホールで講演を行なう際に壇上で話しながら動き回っても、常に一定の声を聴衆に届けることができます」(山口氏)

もう1つ特徴的な機能に「リモート会議の際の画面分割と音声認識」がある。

「リモート会議では、誰が話したか分からなくなりやすいのですが、TC Barを使えばTeamsやZoomなどのWeb会議システムと連携しながら、参加者を自動で認識し、会議システムの画面を分割表示して、誰が発言したかを分かるようにできます」(山口氏)

  • (写真)TC Barと画面分割機能

    TC Barと画面分割機能

このほかにも、IPネットワークでオーディオネットワークを構成できるDante規格への対応や除外/優先ゾーン設定、TC Bar SはPoE+での駆動も可能、TC Bar MはPoE給電対応など、会議室を効率的に運営するための技術や仕組みに対応する。これまではコストをかけてまで会議室の音を改善する必要性を感じていなかった企業も多かったそうだが、リモート会議にも対応できるメリットが理解されるにつれ、問い合わせが急増している状況だという。

国内でもホールでの定例ミーティングや教育機関での講義向けに採用が進む

主力製品であるTeamConnect Ceiling 2の提供がはじまったのは2019年からだが、欧州や北米ではすでに多くの採用実績がある。「ゼンハイザーが手がけるビジネス会議の音」は世界中から熱い視線が注がれているのだ。

国内企業でも着実に採用実績が積み上がってきた。山口氏は、ある国内企業の活用事例について、こう話す。

「とある企業では、マネジメント層を含めた数十人がホールに集まって議論を交わす会議を定期的に行なっていました。ハンドマイクを回すために時間がロスすることを大きな課題と捉え、天井マイクの設置も検討したのですが、天井高が4メートルあり難しい状況だったといいます。そこで私どもに相談があり、コンサルティングを行って、TeamConnect Ceiling 2でハンズフリーを実現しながら、ホールのどこからでも声が聞こえる環境をつくりました。4メートルを超える高さでもボイスリフトや自動追尾が適切に機能するのを体験され、非常に驚かれていらっしゃいました」(山口氏)

  • (写真)ゼンハイザージャパン 山口氏

    ゼンハイザージャパン テクニカルアプリケーションエンジニア 山口真宏氏

企業のみならず、教育機関での採用実績も多い。特に海外では、多くの学生の前で講義する大学で採用が進んでいる。

「声を拡声することはもちろん、壇上を歩き回って講義しても声が適切に届くこと、その際に靴音などのノイズを拾わない機能を使えることが高く評価されています。ハンドマイクで手をふさぐこともなく、プレゼンや講義の自由度が増すため、先生方のほうから採用を望むケースもあるそうです。授業のたびにマイク設定をチューニングしなくてもいい点は、運営側からも評価されています」(川北氏)

提供するのが音ということで、言葉では十分に伝わらない面も多い。そこでゼンハイザージャパンでは「新しい会議室」を体験できるエクスペリエンスルームを東京・南青山に開設している。

「実際の現場で体験してみたいという要望に対しては、現地に訪問してコンサルティングを行っています。また、全国各地で音を体験できるイベントも開催しています。音に絶対の自信があるからこそ、体験してもらうことが一番だと考えているのです」(川北氏)

実際、記者らもボイスリフトやリモート会議でも画面分割を体験したが、その効果に驚かされた。ぜひ自身で体験して、音によるビジネスコミュニケーションの変化を実感していただきたい。

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