あらゆる分野でDXの取り組みが加速し、AIやクラウド、IoTといったテクノロジーを用いてビジネスの拡大を図る企業が多くある。しかし、最新技術を活用するには、パフォーマンスと可用性を兼ね備えたITインフラが不可欠だ。そのため、サーバーやストレージなどITインフラを構成するハードウェア/ソリューションに対する注目度が高まっている。
サーバー製品を中心にエンタープライズ向けの事業を手がけるレノボ・エンタープライズ・ソリューションズ合同会社では、“AI for All”のコンセプトを掲げ、AIの可能性を最大限に活かすためのソリューションを展開している。また、昨今の企業ITインフラにおけるトレンドといえる、“ハイブリッドクラウド”に対応するプラットフォームの機能強化も進めている。本稿では、レノボ・エンタープライズ・ソリューションズ合同会社 ソリューション推進本部 ビジネス開発マネージャーの三原 麻理 氏に、同社が見据えるAI活用のビジョンと、その実現を支えるサーバー/HCIソリューションについて話を聞いた。
グローバルでの実績が豊富なレノボ・エンタープライズ・ソリューションズが目指すAI活用のビジョン
2014年にIBMのx86サーバー事業を継承し、エンタープライズ向けの事業を展開してきたレノボ・エンタープライズ・ソリューションズ。IBM時代を含めれば30年以上にわたりサーバー製品を販売し続けている、実績豊富なITソリューションベンダーだ。実際、スーパーコンピュータのプロバイダとして、HPC分野では世界第1位の供給実績を誇り、その技術力は世界でも高く評価されている。
近年では、AIインフラストラクチャー・ソリューション分野にフォーカスしてビジネスを展開し、“AI for All”というコンセプトを掲げ、企業のAI活用をインフラ面から支援している。同社のソリューション推進本部 ビジネス開発マネージャー 三原 麻理 氏は、「ビジネスや生活に大きな変革をもたらすAIのパワーを、あらゆる企業あるいは個人の方が利用できる世界を作るというコンセプトです」と、“AI for All”に込められたビジョンを解説。具体的な取り組みについて次のように語る。
「当社では、以前よりAIの未来はサーバー、エッジ、クラウドが混在したハイブリッドになると予測しており、その実現に向けて製品・ソリューションのラインナップ拡充を進めてきました。HCI(ハイパー・コンバージド・インフラ)製品である『ThinkAgile』やサーバー製品『ThinkSystem』といった既存製品の強化を図り、AIのパフォーマンスを最大化できる環境の実現を目指しています。また、データが生まれる『現場』に設置し、リアルタイムで処理を行うためのエッジサーバーなど、データの分散処理に対応した製品も扱っています」(三原氏)
こうした“AI for All”の取り組みのなかで、同社が注力しているのがハイブリッドクラウドの実現に資するハードウェア/ソリューションの提供だ。2023年10月にWindows Server 2012/2012 R2がEOS(サポート終了)を迎えたことで、サーバー製品のリプレース需要は一気に加速。これを機に、クラウドへの移行を検討するという企業も少なくなかった。とはいえ、クラウドへの完全移行はハードルが高いのも事実で、オンプレミスとクラウドの2択ではなく、適材適所で使い分けるハイブリッドクラウドに舵を切る企業は増加傾向にあるのだ。
「最新OSでの検証が済んでおらず、塩漬けしたサーバーや管理者が把握していない隠れサーバーなど、移行から取り残されているサーバーが、市場にはまだ十数万台あると考えられています。サポート終了後の脆弱なサーバー製品は、ランサムウェアなどのサイバー攻撃のターゲットになりやすく、故障時のリスクも高まります。こうしたリスクを軽減するため、当社では在庫が多く納期が早いタワー型サーバーなど、お手軽にリプレースできる製品を用意しているほか、ハイブリッドクラウドを実現するAzure Stack HCIソリューションも提供しています」(三原氏)
ビジネスの拡大に伴い分散化したファイルサーバーや仮想環境の統合を図るため、ハイブリッドクラウドに注目している企業は多いと三原氏は言う。そして、「こうしたニーズに応えるため、マイクロソフトと共同開発したのがAzure Stack HCIソリューションになります」と説明する。
ハイブリッドクラウドを実現するHCIソリューションをマイクロソフトと共同で開発
レノボ・エンタープライズ・ソリューションズでは、多様なアプローチでハイブリッドクラウド環境の構築を支援している。単体サーバー+クラウド(Azure)というリーズナブルで導入しやすい方法も提案しているが、現在注力しているのはAzure Stack HCIアプライアンス&認定ノードである「ThinkAgile MX」の導入という選択肢だ。
Azure Stack HCIでは、オンプレミスの仮想環境とクラウド(Azure)の一元管理を実現し、オンプレミスのHCIにAzureの柔軟性や拡張性、セキュリティ機能を付加することが可能。オンプレミス環境にある複数サーバーをThinkAgile MXの仮想環境に集約し、さらにAzureと密接に連携できるなど、ハイブリッドクラウド環境を構築したい企業にとって見逃せないソリューションといえる。Azure Stack HCI OSでは1ノードを最小構成として構築できるため、スモールスタートでWindows ServerのEOS問題に対処することも可能だ。ThinkAgile MXは最新のインテル Xeon スケーラブルプロセッサーにも対応しており、AI活用においても高いパフォーマンスが期待できる。
「ThinkAgile MXは、“Azureをオンプレミス環境で”というコンセプトで開発された製品で、オンプレミスの仮想基盤としてはもちろん、ハイブリッドクラウド環境の実現にも効果的です。堅牢性の高さに加え、“もっともセキュリティに優れたx86サーバーである”という評価を外部機関のレポート(※ITIC 2022 Global Server Hardware, Server OS Reliability Report)で5年連続受賞しているレノボのハードウェアを採用したAzure Stack HCIソリューションであることは、他社製品と比べて大きなメリットと捉えています」(三原氏)
ThinkAgile MXは、業種や規模を問わず、さまざまな企業・団体が採用、もしくは導入を検討している。北海道 旭川市で地域の医療を支える医療法人仁友会 北彩都病院もその1つだ。同病院は、サーバー更新にあたり、電子カルテなどミッションクリティカルな医療システムを支える仮想基盤として「ThinkAgile MX」を導入している。冗長性や可用性、運用性の高さが採用の決め手となり、導入コストを抑えながら病院内のシステム部門主導で既存のHyper-V環境からの移行を完了。運用に関しても、使い勝手はそのままに安定稼働を実現し、日々のメンテナンス、更新プログラムの適用などもシステムを止めることなく実行できるようになったという。実際に病院を訪問したという三原氏は、「24時間365日止めてはならないシステムを、停止させることなくメンテナンスできるようになったことに加え、パフォーマンスも向上したことを高く評価していただきました」と現場からの喜びの声を語る。
さらに近年では、Hyper-Vベースで環境を構築している地方自治体からのリプレース需要も増えてきていると三原氏。部門ごとに運用していたサーバーを統合したい、またはハイブリッドクラウド環境を構築したいといった企業・団体からの引き合いが強い印象だと、現状を分析する。
データが生まれる“現場”に設置し、リアルタイムの分析を行うエッジサーバー製品もリリース
また、AI活用に取り組む企業が増加している現状を受け、レノボ・エンタープライズ・ソリューションズではエッジサーバー製品にも注力しているという。なかでも「ThinkSystem SE350」は、一般的なラックサーバーの1/4程度というコンパクトなボディに高スペックとセキュリティ機能が詰め込まれたエッジサーバーとして注目されている。
「一見するとただの小さな箱ですが、筐体を開けると最新のパーツが詰め込まれているほか、カバーが予期せずに開けられると、自動で暗号化してディスクをロックする盗難対策機能も搭載しています。粉塵対策、温度対策も施されており、工場や店舗など過酷な状況下でも利用することができます。多様な環境に対応できるのは大きなメリットといえます」(三原氏)
近年では在庫のチェックや導線管理などで使われる事例も増えていると語り、“現場”でのAI活用に寄与できていることに対して手応えを口にする。
「単体サーバーとしても使えますが、2台セットにしてAzure Stack HCIソリューションとして利用することも可能です。メモリは最大256GBまで搭載可能で、OSもWindows Server Datacenter エディションが使えるスペックを備えており、コンパクトでありながら、サーバーとして必要な処理能力を揃えています。これだけコンパクトかつ高性能なエッジサーバーは、ほとんどありません」(三原氏)
レノボグループ全体で一気通貫したソリューションを展開、SDGsの取り組みに配慮したサービスも提供
このように、エッジからクラウドまで一気通貫でAIインフラストラクチャー・ソリューションを展開すると同時に、レノボグループ全体としてはPCやタブレットなどのモバイルデバイスも組み合わせて、顧客のニーズに応えるソリューションを提案している。「弊社では『ポケットからクラウドまで』というスローガンを掲げており、グループ全体が一丸となって、お客様に価値を提供していく体制を整えています」と三原氏は説明する。
販売パートナーに対しても、「One Lenovo」で製品窓口を一元化。製品トレーニングや、それに紐付いたコンピテンシープログラムで取得した資格に対してのベネフィットを用意するなど、きめ細かなサポートを展開。各種キャンペーンやオリジナルモデルの提供なども行っているという。
また、HCIなどの主力製品に関しては、日本国内にある米沢工場で初期セットアップや検品を実施しており、安全・安心な“米沢品質”を実現。グローバル企業の強みを活かした調達力で、企業のDX、AI活用に対して、迅速かつ手厚いサポートを提供している。さらに同社では、今後を見据えてサーバー製品の低消費電力化と高性能化の両立にも取り組んでおり、「Neptune」というレノボ独自のサーバー水冷技術をハイスペックな製品に採用。さらに「冷却技術だけでは対応できないCO2問題に関しても、サーバーやPCのCO2排出量を計算し、森林再生、再生可能エネルギー、太陽光発電などのプロジェクトに投資することで埋め合わせるCO2オフセット・サービスも提供しています」と、環境問題への対応、SDGsの取り組みに関しても言及する。
三原氏は、ITインフラの刷新やHCIによる仮想環境の集約、さらにAI活用やハイブリッドクラウド環境の構築を検討している企業に対して次のようなメッセージを送る。
「当社ではお客様のDX推進や、AI活用などの取り組みを支援するため、多様な製品・ソリューションを組み合わせた提案を行っています。価格面でも他社と比べて優位性があり、『コストを抑えて可用性とセキュリティを担保できる製品』という評価をいただいています。秋葉原の当社オフィスにはパートナー様向けの検証センターやサーバー製品の展示コーナーもご用意していますので、機会がありましたらぜひお立ち寄りください」(三原氏)
AI活用も含めたデータドリブンな組織作りを支えるITインフラの構築・運用を全方位から支援するレノボ・エンタープライズ・ソリューションズ。その動向には、今後も注視していく必要がありそうだ。
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