今回は、昨年12月に開催した勉強会の様子をお伝えします。
12月は、ハイブリッドクラウド環境下での統合管理を実現する「Azure Arc」、そしてクラウドシフト後の運用において重要な更新管理機能を提供する「Azure Update Management」にフォーカスしました。
Azure Arc対応データサービスとは
最初のセッションには、日本ビジネスシステムズ コーポレート戦略本部 コーポレート戦略企画部 CoE 胡田昌彦氏が登壇。昨秋開催された「Microsoft Ignite」から以下のセッションの内容をベースに、Azure Arcおよび「Azure Arc対応データサービス(Azure Arc enabled data services)」について解説しました。
- Building a Hybrid data platform with Azure Arc enabled data services (microsoft.com)
- Extend Azure management and data services anywhere with Azure Arc (microsoft.com)
- Ask the Expert: Building a Hybrid data platform with Azure Arc enabled data services (microsoft.com)
- Anywhere management & infrastructure with Azure Arc and Azure Stack (microsoft.com)
Azure Arcは、「Azure Arc対応サーバ(Azure Arc enabled Servers)」をはじめ、あらゆる環境のKubernetesクラスタ管理や、データサービス管理の領域を含めたハイブリッドな統合管理を可能にするツールとして進化しました。
データサービス管理の領域では、現在、以下のサービスがプレビュー版として提供されています。
- Azure SQL Managed Instance
- Azure SQL Azure Database for HyperScale PostgreSQL
これらのAzure Arc対応データサービスは、Azure Arcが管理するKubernetesクラスタ上に展開可能です。
また、Azure Arc対応データサービスは、以下のコンセプトを掲げています。
- Always current(常に最新)
- Elastic scale(柔軟な拡張性)
- Unified management(統合された管理)
- Unmatched security(比類ないセキュリティ)
- Cloud billing(クラウド課金)
上記に加えて、顧客のさまざまなシナリオに対応するためCI/CDを意識したセルフサービスプロビジョニング機能や、Azureへの直接接続、切断されたシナリオにも対応する間接接続など、異なるモードを柔軟に選択できます。
胡田氏は、クロスプラットフォームに対応したデータベースツール「Azure Data Studio」を使い、プレビュー機能である「セルフサービスプロビジョニング」について、デモを交えて紹介しました。
Azure Arcによってあるゆる場所に存在するサーバ、Kubernetes、データサービスを統合的に管理可能となる未来がまた一歩近づいたと言えるでしょう。
Azure Update Managementとは
クラウドに展開された仮想マシン管理やセキュリティの担保は、システムを運用管理していく上で非常に重要な要素です。
続くセッションでは、デル・テクノロジーズ プロフェッショナルサービス事業本部 コンサルティング・サービス本部 テクノロジー・コンサルティング部 指崎則夫氏が登壇し、Azure Update Managementの機能概要、そして展開方法について解説しました。
Azure Update Managementは、ログ収集/分析サービス「Azure Log Analytics」とクラウドオートメーションサービス「Azure Automation」を組み合わせた仮想マシンの更新管理機能です。
Azure Log Analyticsでは、エージェントを利用して仮想マシン内のログやインベントリといった情報を取得します。Log Analyticsで収集された情報を基に仮想マシンの状態を評価し、「Azure Automation Hybrid Runbook Worker」という仕組みを利用して更新プログラム適用を行います。
セッションでは、指崎氏が前提となる「Log Analyticsエージェント」の展開方法から、Update Managementの展開スケジュール構成に至るまでの一連のステップを説明。さらに、Log Analyticsエージェントを多数の仮想マシンに展開する際の便利なTipsなども紹介されました。
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クラウド移行におけるAzure VMware Solution、Azure Stack HCIの進化。そして、あらゆる場所のインフラ管理の実現を目指すAzure Arc、IaaS更新管理のAzure Update Management。これらのサービスに共通するのは、ハイブリッドクラウド/マルチクラウドの双方をAzureによって完結できる点です。
今回分も含め、実際の勉強会の様子はYoutubeのハイブリッドクラウド研究会のチャンネルで公開されています。ぜひご覧になってみてください。
次回勉強会について
次回、第17回勉強会は2月12日(金)に開催します。業界初のクラウドネイティブ専用ベアメタルコンテナプラットフォーム「DIAMANTI(ディアマンティ)」を取り上げる予定です。ライトニングトーク枠も準備中ですので、「我こそは! 」という方はぜひ手を挙げてください。
著者紹介
株式会社ネットワールドMicrosoft ソリューション プリセールスエンジニア
津久井 智浩(つくい ともひろ)
ソリューションディストリビューターであるネットワールドの一員として、お客様に付加価値を提供するというミッションの下、Microsoft製品を中心にオンプレミスからクラウドまで幅広く提案~導入を担当。
趣味はバイク。昼散歩が日課。最近は自分よりもカミさんの働き方改革を何とかしたいと苦悩し、マインクラフトを通して子供と一緒にプログラミングを学びたいと願う40代。3児(2女、1男)の父。