元お笑い芸人というユニークな経歴を生かし、元芸人の転職サポートや、ビジネスコミュニケーションに「笑い」の構造を活用した「コメディケーション」研修など、”お笑い”をキーワードにした事業を展開する株式会社俺 代表 中北朋宏氏。初の著書『「ウケる」は最強のビジネススキルである。』(発行:日本経済新聞出版社)は、発売3週間を待たずに3刷の増刷が決定するなど、注目を集めている。
同氏がコミュニケーションにおいて重要視するものの1つが、「自己紹介」だ。面接や営業活動、新規プロジェクトの立ち上げ時など、初対面の相手にどのような印象を与えるかによって、その後の話の進めやすさも変わってくるだろう。
自己紹介は「無難に済ませればよい挨拶」ではなく、重要な「自己プロデュース」の第一歩なのだ。
11月18日に開催された第133回IT Search+スペシャルセミナー「自分の第一印象は自分でつくる! 最強の自己プロデューステクニック」では、この中北氏が登壇。適切なコミュニケーションで相手の感情を誘導し、思い通りの印象を与えるテクニックについて解説を繰り広げた。
自己紹介は第一印象をつくる”チャンス”
そもそも、「自己紹介について深く考えたことがある」という人は少ないだろう。とりあえず名前と所属、趣味くらいを言ってその場をしのげればよい……と思っている方もいるかもしれない。しかし、自己紹介は初対面の相手に、明示的に自分の第一印象を与えるチャンスだ。かのピーター・ドラッカーも「何によって憶えられたいか、その問いかけが人生を変える」という言葉を残しているように、自己紹介がその後の関係性を構築する土台となる重要な要素であることは間違いない。
中北氏は自己紹介のポイントについて「どんな目的でするのか」「自己紹介を通してどんな印象を相手に与えたいと思うのか」という2点を考えることが大切だと説明する。それらの目的が達成されて初めて、「自己プロデュースの第一歩が成功した」と言えるわけだ。
中北氏は、今回のセミナーのゴールを「自己プロデュースの重要性を理解し、自分が何で憶えられたいかを考える」と設定。自己分析から自己紹介を考えるまでの流れを、次の3つのセクションに分けて説明していった。
- 自分から見た自分
- 周囲から見た自分
- 印象に残る自己紹介
米国の心理学者アルバート・メラビアンの実験結果に基づいてまとめられた「メラビアンの法則」によると、人が人を判断するとき最も重要視するのは「視覚」からの情報だという。続いて「聴覚」、そして「言語」が判断材料となる。
「ということは、つまり見た目や表情といった視覚情報、声の質や話す速さといった聴覚情報、そして話の内容(言語情報)などを意図的に自分で演出すると、思い通りの印象を与えることができるのです」