5月24日から26日にかけて東京ビッグサイトで開催された「自治体総合フェア 2017」。24日に「健康指導をもっと身近に、わかりやすく! ―Apple WatchとiPhoneを活用した関市の新しい健康指導活用術―」と題する講演を行ったのは、関市 市長公室 秘書広報課 経営戦略室の課長補佐 加藤 直之氏だ。本稿では、同講演の模様をレポートする。

「過疎化・少子化・高齢化」の三重苦に直面する行政

岐阜県関市は日本のほぼ中央に位置する中山間地域であり、日本の「人口重心地」「東と西の境」とも言われ、刃物の出荷額は日本一を誇る。同市は2005年2月に旧武儀郡町村と合併したことで市域がV字状に伸びたが、これは日本でも非常に珍しいかたちだ。

加藤氏は、「自治体にとっては各種行政サービスを行う上で非常に非効率なかたちです」とコメントする。

関市 市長公室 秘書広報課 経営戦略室の課長補佐 加藤 直之氏

市全体の高齢化率は28.0%となっており、過疎化が進む限界集落である市内板取地区では高齢化率48.7%、上之保地域は高齢化率47.2%にも達する。合併以来、少子高齢化と人口流出が進み、高齢化率は上がる一方で、2025年の高齢化率は31.3%に上ると予想されている。

こうした市が抱える課題は、地域医療の現状にも大きな影響を与えている。まず、市町村合併により特異な市域となったことで、最僻地から市内総合病院までの異動には車で1時間から1時間40分も要してしまう。また過疎地域において急激な人口減少と高齢化が進んでいることにより、そうした地域では、若者1人で高齢者1人を支えきれない現状にある。 「高齢者が高齢者を支えなければいけないという、完全に危機的な状況にある」と加藤氏は説明する。医療施設に関しては、国保診療所が2カ所にあるものの、医師不足などによる地域医療体制も課題となっている。

「今直面する課題にどう立ち向かうのか。行政としては、何が何でもやらねばならないという意識で取り組んでいます」(加藤氏)