RFPによる調達とは、複数の企業から提案を募り、その中から取引先を選定する方法です。その時、特に候補企業を選定せず、自社のWebサイトや広告などによって広く提案企業を募る公開入札という方法と、一定数の企業を指名して、その調達に対する取引を希望する企業から提案を募る指名入札という方法があります。

公開入札は相手先を選定せずに、提案内容・金額によって取引先を決定するので、公平性や客観性において優れています。しかしその反面、取引実績のない企業には信用調査を実施し、自社の現状や調達の経緯などを逐一説明しなければならず、効率面においてデメリットがあります。

また、指名入札はあらかじめ提案企業を絞り込むため、最初から見込みのある企業や取引実績のある企業と交渉できるという長所がある反面、絞り込んだ企業の妥当性を説明する責任を負います。

次に、RFPによる調達方法を選択する際の要件について説明します。というのも、RFPによる調達は他の方法よりもはるかに時間と工数を要するため、それに見合うだけの理由付けが必要だからだ。まずは、RFPによる調達に適さない案件の条件から、紹介しましょう。

1.規模が小さい

どのような物品/サービスを調達するにせよ、規模の小さい調達は、時間も金額も比例して少ないものです。例えば、PCを数台調達する場合や2、3人月程度で終わる開発などは、期待する成果に対してかかる時間と工数が大きすぎるため適しません。

2.決定条件が少ない

PCやプリンタなど、調達対象に優劣の差がさほどなく、価格や保守金額、契約条件などで調達方法を決められる場合には、RFPによる調達を実施する必要がない。一般に、物品を調達する場合に多いです。

3.調達先が限定されている

RFPによる調達は、最低でも3社~5社以上の選択肢があることが前提となります。欲しい物品/サービスを提供できる企業が極めて少ない場合、RFPによる調達は適しません。

逆に、RFPによる調達を適用すべき案件の条件は以下の表にまとめたので、参考にしてください。

RFPによる調達を適用すべき案件の条件の例

分類

チェック項目

難易度、

重要度

調達金額が概算で1億円以上である

基幹業務のやり方が、大幅に変更になる

事業方針に直接的に影響を及ぼす

実現方法

実現技術領域に不慣れまたは社内実績がない

実現方法のバリエーションが多い

評価方法

利害関係の異なる複数の組織が評価する

相反する複数の評価項目が存在する

執筆者プロフィール

石森敦子(Atsuko Ishimori)
株式会社プライド システム・コンサルタント

『出典:システム開発ジャーナル Vol.1(2007年11月発刊)
本稿は原稿執筆時点での内容に基づいているため、現在の状況とは異なる場合があります。ご了承ください。