今回からOS(Windows Server 2003 R2)の設定作業に入る。本連載では「NEC得選街」で購入したプレインストールモデル「Express5800/110Gd」を使っているため、OSおよび各種デバイスドライバのインストールは完了しているという前提で話を進める。OSのインストール自体はそれほど難易度は高くない。プレインストールモデル以外の場合は、あらかじめOSのインストールを済ませておいてほしい。
本連載で使用するサーバについて
本連載では「NEC得選街」で購入できるタワー型サーバ「Express5800/110Gd」(写真)を例に、サーバのセッティング方法を解説していく。サーバの基本構成は次のとおり。CPU:Celeron D(2.93GHz) / メモリ:1GB / HDD:80GB / OS:Windows Server 2003 R2 Standard Edition。より詳細な構成情報については連載第2回を参照してほしい。
OSのインストールのほかにも、外部へ接続するためのネットワーク回線の敷設や、使用するドメインを確保していることが完了しているものとする(第3回参照、プロバイダによっては、プロバイダが持っているドメインに、サブドメインをつけたものを貸与してくれる場合がある)。
ネットワーク設定
本サーバを構築するにあたり、利用するインターネット回線で注意しなければならないことがある。Webサーバや、メールサーバとして外部に公開するためには、IPアドレスが常に一定のものが割り当てられる環境が必要だ。一般家庭などでよく利用されるインターネット回線であるADSL回線や光回線、CATV回線などはIPアドレスが固定されず、プロバイダより空いている番号を自動的に割り当てられるケースが大半なため、外部へ公開するサーバの構築には向いていない。プロバイダによって対応がまちまちだが、固定IPのサービスはオプション料金を支払って利用するケースが多いようだ。ただし、そもそも固定IPサービスに対応していないプロバイダもあるので注意してほしい。現在利用している回線を使ってサーバを構築する場合は、固定IPで利用できるかプロバイダに問い合わせる必要があるだろう。これから回線を敷設する場合は、契約する前にプロバイダが固定IPサービスを行っているか確認しておく必要がある。
今回、サーバを構築するにあたり、下表の設定で構築を行う。
サーバOS | Windows Server 2003 R2 |
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コンピュータ名 | 110gd |
IPアドレス | 192.168.11.200 |
サブネットマスク | 255.255.255.0 |
デフォルトゲートウェイ | 192.168.11.1 |
優先DNSサーバ | 192.168.11.200 |
ドメイン | sv |
インターネットドメイン | example.co.jp |
OS | Windows XP Professional SP2 |
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コンピュータ名 | pc01 |
IPアドレス | (DHCPにより取得) |
サブネットマスク | (DHCPにより取得) |
デフォルトゲートウェイ | (DHCPにより取得) |
優先DNSサーバ | (DHCPにより取得) |
LAN側IPアドレス | 192.168.11.1 |
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WAN側IPアドレス | (プロバイダより固定IPを取得) |
サブネットマスク | 255.255.255.0 |
備考 | Bフレッツで接続 |
サーバ本体のIPアドレスを指定する
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[スタート]メニューより、[コントローパネル]→[ネットワーク接続]→[Connection]を開き、[全般]タブにある[プロパティ]ボタンをクリックする。さらに、[インターネット プロトコル(TCP/IP)]を選択し、[プロパティ]ボタンをクリックする |
IPアドレス、サブネットマスク、デフォルトゲートウェイ、優先DNSサーバを指定し、[OK]ボタンをクリックする |
サーバの役割管理
ここからはサーバの資産を共有するための設定を紹介する。ここではファイルサーバ、ドメインコントローラ、DNSサーバ、DHCPサーバの構築をしていく。
Active Directoryの設定
Active Directoryとは、「ディレクトリサービス」と呼ばれるネットワークサービスのことで、ネットワーク上にあるオブジェクトの集中管理ができるようになっている。ここでいうオブジェクトとは、ユーザやファイル/フォルダ、アプリケーション、プリンタなどが挙げられる。これらをネットワークリソースによって一元管理することにより、クライアントマシンからログオンするだけで、許可されているリソースを利用することができるようになる。
なお、Windows Server 2003 R2で利用するActive Directoryは、「ドメイン」という単位で管理するシステムになっている。
以下ではポイントとなる設定部分のみを抜粋して紹介しています。
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[スタート]メニューから、[管理ツール]→[サーバーの役割管理]を開く |
[役割を追加または削除する]をクリックすると、[サーバの役割]という一覧が表示される。今回はまず、[ドメインコントローラ(Active Directory)]を追加する |
それぞれの設定が完了して再起動すると、「ドメインコントローラ(Active Directory)」が使用できるようになる。
これでIPアドレスとActive Directoryの設定は完了した。次回は、DNSサーバ、DHCPサーバの設定などを説明する。
文|デジカル/徳永卓司