業務の中で重要な役割を果たしているシステムを、どのタイミングで新たなものに「刷新」するかは、多くのユーザー企業にとって頭の痛い問題だ。

システム稼働後の年数が経過すればするほど、機器が故障したり、不具合が出たりする確率は高くなる。ハードメーカーのサポート期間を過ぎてしまえば、代替のハードは正規のルートで調達できなくなってしまう。しかしながら、新たなシステムを導入するためのコストはおいそれと捻出できない。新しいハードやソフトもさることながら、システムの変更に伴う教育のコスト、新システムの検証のコストなども考えれば、かなりの工数と資金を見積もらなければならない。

システムリンク 代表取締役の菅野浩史氏

「将来的に新しいシステムへの移行を検討しなければならないのは分かっている。しかし、まずは今あるシステム資産を、できる限り長く使い続けることはできないだろうか」というのは、多くのユーザーにとって正直な思いだろう。

自動認識の技術をベースに、幅広い業界へシステムソリューションを提供しているシステムリンクでは、自社で開発したシステムの「延伸」を希望するユーザーに対して、データライブのリユースサーバの提案と導入を行った。

代表取締役の菅野浩史氏は「本来、ユーザーにしてみれば、リユースサーバを購入することにはリスク上の抵抗感があるはずなんです」という。それでもリユースサーバを検討する必要があった経緯と、最終的な導入に至った理由について、菅野氏に話を聞いた。

株式会社システムリンク

システムの設計、企画開発、機器の販売、保守サポートなど事業を展開するSIer 。特に、POSレジやポイントカード、バーコード、RFID、ICカードなどを使ってデータを読み取り、内容を自動的に識別する「自動認識」技術を中心としたシステムにおいて強力なノウハウを保有している。

道の駅をはじめとした小売業、製造業、物流業、医療といった業種業態を問わずさまざまな企業で導入実績がある。

URL:http://www.systemlink-1990.com/index.html

システムリンクが抱えていた課題と、データライブの解決策

課題 解決策
製造業の顧客において、7年前に導入した生産管理用のサーバに障害発生。以前から用意していたバックアップ機に切り替えて運用を継続しているが、同じモデルのサーバは販売/サポートが終了しており、新たなバックアップ機の入手が困難に。 データライブがリユース市場から同等のモデルを調達。メーカーからの購入は不可能な機種だが、同等の機種が入手できたことで、これまでと変わらぬ運用体制を確保できた。
サーバの老朽化を理由に、システムの刷新を検討する顧客が増えているが、仮想化を前提とした昨今のシステムでは自動認識用の端末をつないでも正常に動作するのかわからない。自動認識端末も含めたシステムの全面刷新となると、膨大なコストがかかる。 データライブの調達網を使い、現在使用中のサーバと同等のモデル、あるいはWindows NTも含む古いOSが確実に動作するモデルを入手できる環境を確保。現行の資産をそのまま利用し続けるという新たな選択肢を提示している。
中古サーバやそのパーツを販売する業者がいくつかあるが、いずれもサポートが得られない。購入した機材が動作しなかったときのことを考えると、顧客に提案するのは難しい。 どんな質問にも親身に答えてくれるデータライブのサポート力で不安が払拭され、顧客にも提案できる状況に。特に、EOL/EOSLサポートサービスで知見が豊富な点、実機による検証で技術アドバイスの内容を担保している点を高く評価

自動認識技術を使って中小企業の「不便」を「便利」に

――最初にシステムリンクの事業内容を教えてください。

菅野 : 1990年に創業した会社で、私が2代目の代表取締役になります。創業時から「自動認識」の技術を主軸に、システムの設計、企画開発、機器の販売、保守サポートを主要事業としています。

例を挙げると、POSレジのバーコードシステムやATMの磁気カードのように、機械を使ってモノやヒトを自動的に認識するようなシステムです。製造業における現場の工程管理ですとか、小売業などでの販売管理やポイントシステム、物流分野での入出庫管理など、さまざまな業界で、お客様が「不便」と感じていることを「便利」に変えるための、ソフトウェア、ハードウェアを含むサービスソリューションを提供しています。

――御社で開発されたシステムの運用は、お客様の側で行うケースが多いのでしょうか。

菅野 : ほとんどの場合、お客様のほうで運用される形になります。その後、もしお客様の側でご要望があれば、追加でアフターサポートを行ったり、保守や修理にも対応したりできる体勢を整えています。

――POSというと、SIerを傘下に持つような大手のITメーカーが大規模に手がけるシステムというイメージがありますね。御社にシステム構築を依頼される企業は、どういった点に付加価値を求めていらっしゃるのでしょうか。

菅野 : 大手の量販店やチェーンで大規模に使われているようなPOSシステムは既に完成されている仕組みです。当社が提供するPOSシステムは、お客様が求められる要件や要望にそった機能にカスタマイズするなどの対応をしています。規模の大小にかかわらず小回りのきく点が付加価値としてお客様に受け入れられていると思います。

例えば、当社では「道の駅」様にPOSシステムを納入させていただいた実績があります。「道の駅」様では農産物直売所(以下、直売所)が併設されており、地元農家の生産者様が収穫された農産物を持ち込み出品します。価格は、生産者様が自由に設定することができ、同じ商品でもパックされた商品ごとに異なったりもします。設定した価格に応じたバーコード付値札ラベルの発行ができたり、また、売上に応じて生産者様へ割戻を行う必要があるため直売所特有の集計機能が必要です。こうした個別の状況に、柔軟に対応できるようなシステムを作らせていただきました。

特に「業務の中で不便を感じていて、システム化したいけれども、それほどお金はかけられない」という中小規模の企業様に、当社のシステムを活用していただくことで、業務効率や売上を高めていただきたいと考えています。

稼働中のシステムを簡単に「刷新」できないユーザー事情

――中小規模のお客様が中心で、運用もお客様の側で行われているとなると、一度構築して稼働を続けているシステムを、古くなったからといってすぐ新しいものにリプレースするというわけにはいかないケースも多そうですね。

菅野 : そうですね。システムを新しくするとなると、業務プロセス自体も変わってくる可能性もあります。すると、その移行のためのコストや期間をどうしてもかけられないというお客様も出てきます。

また、当社のお客様の場合「自動認識」のためのシステムを多く活用されているという事情もあります。例えば、システムが稼働し、データを蓄積しているサーバが古くなったので新しいものに変えることを考えるとします。すると、新しいサーバの上で仮想化などの技術を使って、既存のソフトウェアをそのまま動かしたいと考えるわけです。しかし、ソフトは動いたとしても、付帯するハードウェアをそこにつないだときにきちんと動くか、これまでと同様に業務が進められるかという点で不安が残ります。

そうした事情もあり、今回はお客様の既存の資産を保護することを最優先に考え、新たなシステムの導入が進められるようになるまでの「延伸措置」として、データライブが提供しているリユースサーバが検討の候補に挙がったのです。

――今回、リユースサーバを導入したお客様の状況について、詳しく教えてください。

菅野 : 製造業のお客様で、生産管理の現場における検査データを蓄積していくためのデータベースサーバを動かしていました。もとになるシステムは、当社が7年ほど前に納入させていただいたものです。

生産の現場で、24時間フル稼働する必要があるヘビーデューティなシステムでしたので、故障する頻度は他のシステムに比べると多少高かったのですが、これまではバックアップ機を用意しておき、故障時には切り替えて運用をしてきました。

しかしここへ来て、メーカーのサポート切れで同じタイプのサーバマシンが手に入らなくなってしまったのです。お客様の意向としては、今すぐにコストをかけてシステムそのものを刷新することは難しい。また、今から刷新に着手したとしても、検証までを含めて時間的に間に合うか分からないといった不安をお持ちでした。

そこで、データライブのリユースサーバを新たなバックアップ機として調達したという経緯になります。

リユースサーバ導入の決め手は「サポート体制」の充実

――リユースサーバ導入までの検討期間はどのくらいでしたか。また、データライブからの調達を決められた理由は何だったのでしょう。

菅野 : 検討期間は約1週間、導入までは当社の検証を含めて数週間といったところでしょうか。検討を進める中で、他にも安い中古サーバを売っているところはいくらでもありました。ただし、売り切りでその後のサポートがまったくないとなると、お客様に提案することは難しいのです。

データライブの場合は、リユースサーバの個々のパーツについて故障時に代替の部品を用意してくれる「EOSL/EOLハードウェア保守サポート」が提供されている点が決め手になりました。また、こちらが希望する構成や、技術的な疑問点に関しても、相談に乗ってくれた点で、大変心強く感じました。

実は今回も、納入されたサーバでUSB機器を認識しないというトラブルがあったのですが、データライブの技術担当の方に相談したところ、OSのサービスパックの適用でこのトラブルが回避できることが分かりました。その回答も非常に迅速でした。

――データライブの山田社長にお伺いします。こうしたサポート面での対応については、何か社内でプロセスを作っていらっしゃるのでしょうか。

データライブ 代表取締役社長の山田和人氏

山田 : データライブでは今年、品質マネジメントの世界標準であるISO9001を取得しました。お客様へのサポートや、機器検査の品質を高めるために活用したいと思ったのが取得の理由です。われわれの提供するリユースサーバや保守サービスは、業務にとって重要なシステムを稼働させるサーバを中心に展開しています。そこで、他社との差別化となる要因はサポートだと考えています。

1年以上前から、起票のタイミングやお問い合わせに対する回答までの時間を規定するといった形で、カスタマサポートの整備を進めてきました。サポートの品質をしっかりと管理するとともに、インシデントがないかどうかを継続的にチェックする体勢を作っています。技術的なノウハウに関しても、メーカーごと、OSごと、パーツごとのナレッジを今後さらに積み上げていき、お客様が安心してリユースを導入できる環境を確立していきたいと思っています。

また、オンサイト保守やパーツ保守サービスを付帯させることで保全が担保され、お客様にとっては新品とリユース機器の垣根がなくなってくるのです。なぜなら同じサービスレベルで我々が復旧するわけですから。

――調達された側のシステムリンク様としては、こうしたサポートの体制が安心感につながったということでしょうか。

菅野 : むしろ、こうした体勢がなければ、お客様に対してリユースサーバによる延伸措置を提案できなかったと思います。購買の担当者は、中古の機器を購入することには不安を感じています。その不安に対して、データライブの場合は「EOSL/EOL保守」のようなしっかりとしたサポート体制があることを、裏付けとしてきちんと説明することで理解を得られるわけです。

お客様の立場だけでなく、支援する当社の立場としても、こうしたサポートがなければ非常に厳しい状況になっていたと思います。

「リユース」であっても自信を持ってお客様に提案できる

――今後、お客様に対してリユースサーバを提案する機会は増えていくでしょうか。

菅野 : 多くなると思います。まだまだ、Windows NT世代のOSをサーバで動かしながら、日々の業務を行っているお客様は大勢いらっしゃいます。ハードメーカー、OSメーカーからのサポートが得られない中で、今回のような「延伸措置」をとり、既存の資産を最大限に活用しながら、次のステップを目指すことを望まれるお客様に対しては、積極的に勧めていくことができると思います。

「リユースであっても、こうしたサポートが提供できる」と自信を持って提案できる点は、われわれにとっても心強いですね。

――今後のデータライブへの要望などがあればお聞かせください。

菅野 : データライブの保守サポートは、既に製造が終了したパーツを独自の手段で数多く調達しておられるからこそ提供できるものだと思うのですが、最終的に「いつまでなら」自分達が購入したパーツの代替品が入手できるのかといった情報も、何らかの手段で提供してもらえると嬉しいですね。

私どもからお客様への情報提供と合わせて、今後のシステム刷新を検討していただく際の材料のひとつにもできるのではないかと考えています。