PowerToysにはキーボード入力でさまざまなアクションを行うためのクイックランチャー「PowerToys Run」がある。これはWindowsの操作効率を引き上げる上で欠かせない機能だ。今回はこのPowerToys Runを紹介する。

連載「PowerToysでWindowsをパワーアップ!」のこれまでの回はこちらを参照

PowerToys Run

PowerToysをインストールすると「PowerToys Run」という機能が有効になる。この機能は「Alt」+「Space」で表示させることができる。

  • Windows 11 - 「Alt」+「Space」を押す

    Windows 11 - 「Alt」+「Space」を押す

  • 表示されたPowerToys Run

    表示されたPowerToys Run

PowerToys Runは上記スクリーンショットのように命令を入力するダイアログで構成されている。ここに入力した命令に従ってWindowsの操作が行われる。

PowerToysではこの機能をクイックランチャーに分類しているが、一般的には「コマンドパレット」と呼ばれる。コマンドパレットは統合開発環境やテキストエディタなどに搭載されている機能で、キーボードからアプリケーションのさまざまな機能へのアクセスを提供する。

  • PowerToys Runの入力部分

    PowerToys Runの入力部分

マウスを使った操作は学習しやすいが、効率的なUI操作には向いていない。コマンドパレットを使えば、使いたい機能を直接指定できる。

コマンドパレットでは最初に入力する文字が命令の切り分けになっている。PowerToys Runの場合、次のように文字列で命令を指定する。

アクティブ化文字 機能
= 計算ツール。数式を計算。
C:\ C:\ドライブへ移動。
~ ユーザーホームフォルダーへ移動。
!! 履歴機能。以前に選択した結果にアクセス。
? ファイルやフォルダーを検索。
@ PowerToysユーティリティと設定を開く。
. プログラムの検索と実行。
: レジストリプラグインを起動。
! Windowsサービスを管理。
> シェルコマンドを実行。
%% 単位変換。
// URLおよびUNCネットワーク共有を開く。
# ハッシュを計算して値を生成。
?? 規定の検索エンジンでWebを検索。
$ Windowsの設定を検索。
< 開いているウィンドウを切り替える。

PowerToys Runで使える機能はプラグイン形式で追加されており、オン・オフの切り替えができる。必要なければ無効化して無駄な表示を減らそう。

PowerToys Runの設定

PowerToys Runの設定は設定画面から行う。ショートカットキーがほかのアプリケーションと衝突している場合はこのページでショートカットキーを別のショートカットキーに割り当てよう。

  • PowerToysの設定ページ

    PowerToysの設定ページ

PowerToys Runの設定では、複数のディスプレーを使っている場合にどこに入力ダイアログを表示するかや、使用するテーマの切り替え、テキストサイズの変更などを行える。

  • PowerToys Runの位置と外観の変更

    PowerToys Runの位置と外観の変更

また、次のスクリーンショットのように不要な機能をオフにすることもできる。

  • PowerToys Runで使う機能のオン・オフの切り替え

    PowerToys Runで使う機能のオン・オフの切り替え

筆者としては、PowerToys Runは基本的にデフォルトの設定のまま、可能な限りたくさんの機能をオンにしておいて問題はないと思っているが、この辺りは実際に使っていきながら調整していただきたい。

PowerToys Runの実行サンプル

以降にPowerToys Runの実行サンプルを示す。PowerToys Runを使わない場合は個別にアプリケーションを開いて操作する必要があるが、PowerToys Runだと「Alt」+「Space」のキーボード入力で操作が完了する。慣れれば数秒で操作できる上級者向けの機能だ。

次のスクリーンショットは数値計算をしている場面だ。簡単な計算ならこれで事足りる。

  • 「=」から数値計算

    「=」から数値計算

なお、数値計算の場合には「=」がトグルになるわけだが、この文字は次のスクリーンショットのように先ほどの設定ページから変更できる。使いにくければ自分の都合の良い文字に変更して使ってみよう。

  • 最初の文字は設定で変更することが可能

    最初の文字は設定で変更することが可能

PowerToys Runでは「~」でユーザーホームフォルダ、「C:\」でCドライブをファイルエクスプローラーで開ける。「~」や「C:\」を入力し表示される候補を選んで「Space」キーを押すことでダイアログ内のパスを辿っていくこともできる。また、「Enter」キーを押すとそのパスでファイルエクスプローラーが開く。ファイルエクスプローラーの初期操作に便利だ。

  • 「~」でユーザーホームフォルダーをファイルエクスプローラーで開く

    「~」でユーザーホームフォルダをファイルエクスプローラーで開く

  • 「C:\」でユーザーホームフォルダーをファイルエクスプローラーで開く

    「C:\」でユーザーホームフォルダをファイルエクスプローラーで開く

「?」でファイルやフォルダの検索を行える。それほど強力な検索機能ではないが、ちょっとした検索ならここからの操作で良い。

  • 「?」でファイルやフォルダーの検索

    「?」でファイルやフォルダの検索

「>」でコマンドシェルを使ったコマンドの実行となる。Windows Terminalやコマンドプロンプトを起動する必要はなく、簡単なコマンドであればここで事足りる。

  • 「>」でコマンドシェルでコマンドを実行

    「>」でコマンドシェルでコマンドを実行

「%%」では単位の変換を行える。次のスクリーンショットはポンドをkgに変換する例を示している。

  • 「%%」で単位を変換

    「%%」で単位を変換

「.」はアプリケーションを起動する。

  • 「.」でアプリケーションを起動

    「.」でアプリケーションを起動

アプリケーションの起動は「>」でも行えるが、「.」の方は補完表示や候補表示が行われるので、アプリケーションの起動という用途では「.」の方が便利だ。

PowerToys RunでWindowsの操作を効率化しよう

コマンドパレットはソフトウェア開発者や多機能エディタなどを使うアドバンスドユーザーにとっては必須とも言える機能だ。こうしたアプリケーションでは、マウスを使った操作の効率化には限界があるため、どうしてもキーボードを活用することになる。そこで作業効率の向上をサポートしてくれるのがコマンドパレットなのだ。

Windows用のコマンドパレットであるPowerToys Runでは、従来、マウスを使ってアプリケーションを起動して行っていたような初動操作を、キーボードで完結できるようになる。使えば使うほど便利さが分かる機能なので、ぜひトライしていただければと思う。

付録: ショートカットキー

ショートカットキー 内容
「Ctrl」「Ctrl」 マウスカーソルをスポットライト表示。
「Windows」+「Ctrl」+「Alt」+「V」 クリップボードの内容をプレーンテキストとして貼り付け。
「Windows」+「Ctrl」+「T」 ウィンドウをピン留めする。
「Windows」+「Shift」+「/」 ショートカットガイドを表示。
「Alt」+「Space」 クイック起動ツールを表示。

参考