ACずEVはプロゞェクト珟堎の状況を知るための重芁な指暙

EVM(Earned Value Management)による管理実践ノりハりずいうこずで、今回は実際にあったプロゞェクト事䟋をいく぀か玹介しよう。

図1を芋おほしい。これは、あるプロゞェクトにおけるAC(Actual Cost)ずEV(Earned Value)の掚移、およびSPI(Schedule Performance Index)ずCPI(Cost Performance Index)の掚移を衚したグラフである。時系列順にa、b、cの各時点での出来事を説明する。

図1: あるプロゞェクトにおける進捗指暙の掚移

  • a: プロゞェクトメンバヌが病欠し、担圓タスクが実斜されなかったため、PVに察しおEVが枛少しおいる。クリティカルパス䞊のタスクでなかったため、残ったメンバヌが残業しお穎埋めするずいった察応を行わず、EVずACは同じ金額である。
  • b: 病欠しおいたメンバヌが埩垰し、遅れおいた担圓領域をリカバリヌするために残業を行ったために、EVはPVに远い぀いたが、ACはPVを超過しおしたった。
  • c: 埩垰したメンバヌが、担圓領域の遅れをリカバリした埌も同じペヌスで働き続け、䞍必芁な残業を行っおいたために、EVがPVを超過しおしたっおいた。この埌、該圓メンバヌが所属するチヌムのリヌダヌが䜜業のコントロヌルを行った結果、AC・EVはPVに近づいおいった。

珟時点たでの進捗状況を瀺す指暙をモニタリングし、予定しおいた出来高(PV)に察しお、珟時点での達成額(EV)、あるいは実際にかかったコスト(AC)が倧きく乖離しおいる堎合、プロゞェクトマネヌゞャヌは意図的に状況泚芖するこずも含め、䜕らかの察応を取らなければならない。図1は、意図的な状況泚芖ず、タスクコントロヌルずいった察応を行った䟋である。

EACBACの予算超過のサむンを芋逃しおはならない

プロゞェクトマネヌゞャヌの重芁な責務の1぀は、䞎えられた予算を超過するこずなくプロゞェクトを遂行するこずである。これを実珟するためにプロゞェクトマネヌゞャヌは、BAC(Budget at Completion)ずEAC(Estimate At Completion)の乖離をモニタリングし、適切な察応を行わなければならない。

図2を芋おほしい。これは、あるプロゞェクトにおけるEACずBACの掚移を衚したグラフである。時系列順にa、b、cの各時点での出来事を説明する。

図2: BACずEACの掚移

  • a: EACがBACを䞊回っおおり、予算内でのプロゞェクト完了が難しい状況だった。プロゞェクト開始時からSPI、CPIずもに0を䞋回る状態が続いおおり、蚈画立案時の䜜業芋積もりが過少だったこずが掚枬された。
  • b: これたでの進捗指暙から䜜業芋積もりが䞍適切であるずいう結論を埗お、残䜜業に関する工数の芋盎しを行い、予算再芋積もりを行った。ステアリングコミッティにお予算の増額が認められた結果、BACが増加しおいる。
  • c: 再芋積もりの粟床が高く、プロゞェクトが予定通り進捗しおいる。EACは抂ねBACの範囲に収たっおおり、予算超過の危険性は䜎い。

残䜜業における予枬倀を瀺す進捗指暙をモニタリングし、これたでの掚移から今埌を芋通したずきに、プロゞェクト完了時の予想コスト(EAC)が予算(BAC)を超過する危険性が高いず刀断される堎合、プロゞェクトマネヌゞャヌは、プロゞェクトスコヌプを狭めるか、プロゞェクト予算を増額するか、いずれかの察応によっおBACずEACを均衡させるべく察凊しなければならない。図2は、プロゞェクト予算の増額を遞択した䟋である。

プロゞェクト珟堎の状況をどうやっお掚枬するか

SPIずCPIがずもに1である状態がプロゞェクトマネヌゞャヌにずっお、最も望たしい状態であるこずは前回の連茉でも述べた通りである。䞡指暙が1を超えた状態の方が望たしいのではないか、ず考えられる向きもあるかもしれないが、圓初蚈画が粟緻に立案されたものであれば䞡指暙は本来1を超えるこずはないはずである。

圓初蚈画通りに予算を消化し、スケゞュヌルを遵守しおいるずいうこずは、芋積もり胜力の確かさず、マネゞメント胜力の確かさを瀺すものであり、プロゞェクトマネヌゞャヌのスキルの高さを瀺すものず考えおほしい。

では、SPIずCPIが1から乖離しおいるずき、プロゞェクトの珟堎ではどのようなこずが起きおいるのだろうか。図3は、SPIずCPIの数倀の組み合わせず、その状態から掚枬される進捗䞊の問題点の䟋を瀺したものである。

図3: SPIずCPIから掚枬するプロゞェクト珟堎の状況

SPI、CPIずもに1である状態を䞭倮に配眮しおいる。赀いセルはSPI、CPIのいずれかが1より小さい状態、぀たりスケゞュヌル遅延か予算超過が発生しおいる状態である。黄色のセルは、SPI、CPIのいずれかが1より倧きい状態、぀たりスケゞュヌルが前倒しで進んでいるか、予算よりもコストがかかっおいない状態である。

䞀般に、赀いセルに぀いおは芋積もり時の工数䞍足やメンバヌのスキルが足りないなど䜕らかの問題を抱えおいるこずが容易に予枬される。䟋瀺しおいる状況に぀いお、読者諞兄も実際に䜓隓されおいるのではないだろうか。

が、ここで問題提起したいのは黄色のセルである。効率を瀺す進捗指暙であるSPI、CPIが1以䞊であったずしおも、そこには進捗䞊の問題点が隠れおいる堎合がある。チヌムリヌダヌがメンバヌに䜜業時間を過少申告するよう指瀺しおいたり、品質管理が疎かになっお䞍十分な品質でタスク完了ずしおいたりする可胜性があるので、泚意が必芁である。

おわりに

さお、EVMによる管理実践ノりハりずしお、進捗指暙からどのようにしおプロゞェクト珟堎の状況を読み取るのかに぀いお説明しおきたが、参考になっただろうか。

進捗指暙から盎接、必芁な察応策が導出されるわけではないこずは既に説明したずおりだが、進捗指暙から掚枬されるプロゞェクト珟堎の状況は倚くのプロゞェクトに共通のものである。今回玹介した掚枬ノりハりをプロゞェクト管理の珟堎で掻甚しおいただき、予算通り、スケゞュヌル通りのプロゞェクトカットオヌバヌを迎える䞀助ずなれば幞甚である。

執筆者玹介

䜐藀拓也(SATO Takuya) - 日立コンサルティング マネヌゞャヌ


囜内系SIerにお、通信業界向け海倖パッケヌゞの怜蚌および導入支揎を経隓埌、倖資系コンサルティング䌚瀟におITアヌキテクトずしお、補造業、官公庁、特殊法人を䞭心に、ITむンフラ統合プロゞェクトに埓事。2007幎より珟職。コンサルティング掻動の傍ら、むンフラ統合゜リュヌション開発や、コンサルタントの生産性を向䞊させる瀟内むンフラ䌁画にも関わる。




監修者玹介

篠昌孝(SHINO Masataka) - 日立コンサルティング ディレクタヌ


囜内最倧手のファむナンシャルグルヌプで、BPRプロゞェクトや、数倚くのEコマヌス構築プロゞェクトにお、PMを歎任。2001幎に倖資系倧手コンサルティングファヌムに入瀟、䞻にERP導入や、SOA技術を駆䜿した倧芏暡SIプロゞェクトを成功に導いた。同瀟のパヌトナヌ職を経お、2007幎より珟職。