スクラッチ3.0とマイクロビット

 今回は1月2日に正式版が登場したスクラッチ3.0からマイクロビットを使う方法について説明します。

スクラッチ3.0(Scratch 3.0)公式サイト
https://scratch.mit.edu/(MIT公式サイト内)
  • 【図1】スクラッチ3.0の画面

 スクラッチからマイクロビットを使う場合は注意が必要です。マイクロビットもスクラッチと同じブロックを使ってプログラムを作ることができますが、スクラッチを使ってマイクロビットのプログラムを作ることはできません。スクラッチからマイクロビットを扱う場合、外部デバイスとして認識、処理されます。ゲームのコントローラー的な使い方に近いでしょう。

 スクラッチではマイクロビットを外部デバイスとして扱う際、通信にBluetoothを使います。この通信処理などを行うため、あらかじめ用意されているマイクロビットのプログラムをマイクロビット本体に転送しておく必要があります。また、スクラッチを作る側のコンピューターはBluetooth 4に対応していないとマイクロビットが認識されません。この場合、プログラムを作成するためのブロックは利用できますが、マイクロビットとの送受信はできません。

マイクロビットを使う前準備(パソコン側の設定)

 スクラッチ3.0でマイクロビットを使う手順について説明します。具体的な手順は公式サイトにも掲載されています。

また、スクラッチの画面左下にあるボタンをクリックして上記ページに移動することもできます。

  • 【図3】左下のボタンをクリック

  • 【図4】micro:bit「プロジェクトを現実の世界と接続する」をクリック

  • 【図5】「(?)ヘルプ」のボタンをクリック

マイクロビットを使うには以下の条件を満たしたコンピューターとアプリケーションが必要になります。

・Windows 10 version 1709以上
・macOS 10.13 (High Sierra)以上
・Bluetooth 4.0
・Scracth Link

 Bluetooth 4.0に対応していないコンピューターの場合は以下のようなBluetooth 4に対応したアダプターを装着します。なお、以下の製品をMac Pro (2012)に差し込んで見ましたが、特にソフトウェアを入れることもなく使用できています。人によって環境が異なるので確実に動作するという保証はありませんが、参考までに。また、さらに古いMac Pro (OSは10.6.8)に差し込んで仮想環境上のWindows 10で動作するか試してみましたが、こちらはうまくいきませんでした。

・LBT-UAN05C2/N(エレコム)
https://www2.elecom.co.jp/products/LBT-UAN05C2N.html

 次にScratch Linkをインストールします。これはWindows 10用とmacOS用があります。自動的に使用しているOSに対応した画面になりますので、それぞれのストアからインストールするか、直接ダウンロードして解凍後にインストールします。

Macの場合

  • 【図6】macOSの場合。ダウンロードしたmac.zipファイルをダブルクリック

  • 【図7】scratch-link-1.1.11.pkgというアプリケーションをダブルクリックして起動

  • 【図8】インストーラーが起動するので手順に従ってインストールする

  • 【図9】インストールが完了

  • 【図10】Scratch Link.appがアプリケーションフォルダに入るのでダブルクリックして起動

  • 【図11】メニューバーにScratch Linkが表示されれば準備完了

Windowsの場合

  • 【図12】Windows 10の場合。ダウンロードしたwindows.zipファイルを展開する。ScratchLinkSetup.msiをダブルクリックして起動

  • 【図13】インストーラーが起動するので手順に従ってインストールする

  • 【図14】インストールが完了。Launch Scratch Linkにチェックを入れてからFinishボタンをクリック

  • 【図15】警告が出たら「アクセスを許可する」ボタンをクリック

  • 【図16】タスクバーにScratch Linkのアイコンが表示されれば準備完了

マイクロビットを使う前準備(マイクロビット側の設定)

 次にマイクロビットのプログラムをダウンロードします。ダウンロードしたHEXファイルをマイクロビットに転送します。

  • 【図17】「Scratch micro:bit HEXファイルをダウンロードします。」の文字をクリックしてファイルをダウンロード

  • 【図18】ZIPファイルなので展開する

  • 【図19】scratch-microbit-1.1.0.hexファイルをマイクロビットに転送

ファイルを転送するとマイクロビットのLEDに文字が流れてきます。これはBluetoothでマイクロビットを認識する時の名前になります。マイクロビットごとに異なっています。この名前はマイクロビットのアプリケーションとリンクする際に使用する文字と同じです。

  • 【図20】マイクロビットのLEDに文字が流れる

LED上に文字が流れてこない場合は再度ファイルを転送してみてください。

マイクロビットを使う前準備(スクラッチ側の設定)

 パソコンとマイクロビットの前準備が終わっても、それだけでは使えません。最後にスクラッチとマイクロビットをリンクする必要があります。 スクラッチ画面の左下にあるボタンをクリックします。

  • 【図21】矢印で示すボタンをクリック

拡張機能を選ぶ画面になります。micro:bitを選択します。

  • 【図22】micro:bit「プロジェクトを現実の世界と接続する」を選択

マイクロビットが認識されると図のような表示になります。接続するマイクロビットを選択します。なお、この画面の時に他のマイクロビットを接続すると自動的に認識されリストに追加されます。

  • 【図23】接続するマイクロビットが1つの場合

  • 【図24】接続するマイクロビットが複数ある場合。スクラッチ3.0では同時に使うことができるマイクロビットは1つだけになっている

正常に接続されると図のような画面になります。「エディターへ行く」ボタンをクリックします。

  • 【図25】正常に接続された場合

何らかの原因でマイクロビットとの通信(接続)が途切れてしまうと図のようなメッセージがエディター画面に表示されます。再接続ボタンを押すと、マイクロビットを接続する選択画面になります。そこで再度接続するマイクロビットを選択してください。

  • 【図26】マイクロビットとの通信が切れてしまうと、このようなメッセージが表示される

マイクロビットが見つからない場合は図のような画面になります。Bluetoothの通信範囲は狭いのでなるべくパソコンに近いところに置いてください。1階と2階をまたいで通信するようなことは、ほとんどの場合無理です。同じ階でパソコンとマイクロビットの通信を遮る壁などがない状態で接続してください。

  • 【図27】マイクロビットがあるか確認している状態

  • 【図28】マイクロビットが見つからない場合

スクラッチからマイクロビットを使う

 準備ができたらスクラッチからマイクロビットにメッセージを流してみましょう。カテゴリにmicro:bitが追加されているのでクリックします。すると図のようなブロックが表示されます。

  • 【図29】使用できるブロック

マイクロビットにメッセージを流すには「(Hello!)を表示する」ブロックを使います。ブロックをドラッグしてクリックするだけでマイクロビットの画面に文字が表示されます。

  • 【図30】「(Hello!)を表示する」ブロックを使ってマイクロビットにメッセージを表示する

  • 【図31】マイクロビットにHello!の文字が表示される

それでは次にマイクロビットのボタンA(左ボタン)が押されたらOKの文字を、ボタンB(右ボタン)が押されたらNGの文字を表示してみます。図のようにブロックを組み上げます。

  • 【図32】ブロックを配置する

ブロックを配置したらマイクロビットのボタンを押してください。押したボタンに応じて表示されるメッセージが変わります。

最後にマイクロビットをコントローラーがわりにして猫を左右に動かしてみましょう。ボタンAが押されたら猫を左に移動させ、ボタンBが押されたら猫を右に移動させます。ブロックは図のように組み上げます。

  • ブロックを配置する

ブロックを組み上げたらマイクロビットのボタンを押してください。押した方向に猫が動けばバッチリです。傾き検知のブロックもあるので、ゲームの入力デバイス(コントローラー)としては便利です。

スクラッチではマイクロビットからの入力に応じて処理を分けることができます。外部デバイスとしてのマイクロビットと組み合わせればアイデア次第で面白いことができるでしょう。

著者 古籏一浩
プログラミングをベースにして面白そうなものはとりあえずやってみるというスタンス。複雑なものよりシンプルで楽しめるものが好み。最近は30年前に移植したゲーム(mz-700版 SPACE HARRIER)の話などを書いたりしています。
著者サイト:http://www.openspc2.org/