デザインの仕事だけではなく、写真やイラストといった視覚に関わるクリエイターの仕事には、必ずといっていいほど色は重要な要素です。目に入り込んで来る光の波長の変化が色を生み出しているわけですが、「色」と一言でいっても奥が深く、例えば「青色」といっても人によって頭に思い浮かべる青の種類そのものが異なる場合もありますし、見ている環境やその人の心理によって同じ青でも微妙に感じ方や受け取り方が変化することもあります。このような誤差をなくし、相手に自分が表現したい色を確実に伝える手段としては、印刷工程で使われるCMYKや光の三原色であるRGBを使って色を数値化するという手段があります。

数値化する以外にも、色名を用いて特定の色を指定することも可能です。例えば「露草色」は明るめだけど派手さを感じない青のことを指し、RGB値は0,123,195になります。日本では「物体色の色名」と呼ばれるJIS規格があり、その一部はJIS慣用色名一覧で見ることができます。馴染みのある色から日本の伝統色まで、色には様々な名称が付いていて、それぞれ特定の色を示しているわけです。

JIS慣用色名一覧の一部。なお、Wikipediaでも似たようなページが公開されています

Wikipediaへアクセスしてみると色名の一覧というページがあり、そこから色名とHTMLで使える16進数値が書かれていますが、英語版ではこれに加えて色相(hue)、彩度(saturation)、明度(value)で色を表示するHSVとRGBが付け加えられたものが表としてまとまっています。日本のWikipediaでも特定の色には詳細が記されたページが用意されており、そちらには16進、RGB、CMYK、HSVだけでなくJISで規定したマンセル値も表記されています。色の歴史や由来を知る上でも参考になるでしょう。

色名を探すのであれば英語版も含めてWikipediaは良い情報ソースになります。色がインデックス化されているだけでなく、同色・混同色も書かれています

色関連で役に立つサイトといえば「原色大辞典」。こちらでは色名と16進数値をカタログ形式で閲覧できるだけでなく、毎日更新される色ランキングといったコンテンツもあります。海外でも似たようなランキングサイトはありますが、色は文化によって捉え方も異なりますし、原色大辞典には日本の伝統色のランキングも用意されているので、こちらのほうが日本人の感覚にあっているかもしれません。このサイトで興味深いのが「成分解析」というちょっと変わった検索。「幸せ」といった感覚的なキーワードを入力するだけで、その言葉に合った色を選出してくれるというもの。色は感情を伝えるひとつの要素になるわけですから、解析結果を使ってデザインやイラストに反映させるのも良いかもしれません。

原色大辞典はWeb上でカタログのように色を観覧するにはうってつけのサイト。ランキングといったコンテンツだけでなく、配色をその場で試すといったようなツールも充実しています

成分解析は和食、原色、洋色と別けて検索が可能。検索結果は内容を自分のサイトに貼付けるためのHTMLソースやリンクを書き出してくれます

色にはそれぞれ色名があるのは分かっていても「Royal Blue」と「Persian Blue」の違いを聞いただけですぐに分かる人は多くはないでしょう。「Name that Color」は色を視覚的に選びながら色名とRGB値を教えてくれる便利なツールです。ブラウザ上で軽快に動くだけでなく、マウスでドラッグするという感覚的な操作で色を選べるので見ているだけでも楽しくなります。

Name that Colorは、ntcと呼ばれる色名を引き出すJavaScriptを組み合わせて作られています。Creative CommonsライセンスなのでJavaScriptの知識がある方は自分なりに改良してみるのも良いでしょう

Name that Colorとほぼ同等の機能だがコンパクトに作り上げた配布用のツール。Windows版Internet Explorer6、7、Firefox、Opera、Mac版Safari、Firefox、Operaで動作します

Name that Colorは確かに便利ですが、毎回ページにアクセスするのは面倒です。そこで、オフラインでもすぐに使えるように筆者が改造したものを公開します。こちらからダウンロードしてフォルダに入っている「index.html」をダブルクリックすればすぐに使えるようになっています。色を選ぶときのちょっとした参考になれば幸いです。