前回は、RPA(Robotics Process Automation)という新たな概念と、その先駆けとなったサービスについてご紹介してきました。さらなる成長を求めつつ、残業時間の削減やリモートワークなど働き方改革を実施する企業を支えているのは、ITを中心とした積極的な設備投資に他なりません。
今回は再び企業のお金に焦点を戻し、決済とその周辺業務の変革にRPAをどのように応用することができるのか、より日本企業の実態に即した最先端のRPA活用方法を深堀していきます。
RPAの導入の壁となる国内決済市場の特異性
ロボティクスを活用した業務効率化と言えば聞こえはいいですが、実際に企業の現場に導入・運用を行うとなった場合、その過程でさまざまな困難が付きまとうことになるでしょう。
企業のお金を扱う業務ともなると、複数の部署を横断したオペレーションが組まれていることが多く、部署・担当者別でブラックボックス化している業務フローを整備するところから始めなければなりません。また、多くの日本企業の場合、国内市場に特有の慣習ともいえるものが障害になっていることがあります。例えば、決済の観点からいうと、クレジットカードがメジャーな決済手段となっているアメリカと比較して、口座振替やコンビニ決済など複数の決済手段が並列的に使われるのが日本独自の商習慣のもとでは、結局複数が並列する決済手段の管理は人間が行わなければならず、RPA導入による業務自動化を推進する上でネックになっています。
2014年度の日米の個人消費に占める決済手段別シェア(クレディセゾンの2015年第2四半期決算発表資料) 経済産業省、ニューペイメントレポート、三菱UFJリサーチ&コンサルティング、各社・各協会公表資料等よりクレディセゾン独自推計を元にCloud Payment作成 |
決済領域におけるRPA活用例~RPAとFinTechの連携による業務改革~
しかし、実際には、日本独自の商習慣を度外視して不利益を被ること覚悟したり、多大な投資によるスクラッチ開発をせずとも、国内市場において業務の完全自動化を実現することは不可能ではありません。RPAと既存のオンライン決済システムを組み合わせることで、その問題をうまく回避することができるでしょう。
決済とその周辺業務の自動化を実現した国内企業の事例に共通してあげられるのは、業務改善の手法として既存システム間を連携させることがポイントであったことだと考えられます。具体的には、これまで各部署に独立して存在していた販売管理システムと会計システムをオンライン決済システム(FinTech)を中心につなぎ、そのシステム間のつなぎ役として適したRPAを選別し、活用するという方法です。
前回ご紹介したマクロ型のRPAの他にも、決済業務に特化したRPA等、RPAの種類は要件に合わせて様々です。RPAの導入を検討する過程を通じて、自社の業務フローでブラックボックス化していた箇所や本質的な課題を改めて見つめ直す機会を得ることができます。
法人向け決済システムの今後と担当者のあるべき姿
いかがでしたでしょうか。RPAに限らず、今後の法人向け決済システムの潮流は、決済に留まらない、それに付随した業務を効率化するサービスをさらに展開し新たな価値提案にシフトしています。
現在でも多くの決済代行企業が差別化を図り、多彩な切り口から新たなサービスを提供し付加価値向上に努めています。これからはバックオフィス部門であっても、自分たちが進むべきビジョンを明確にし、理想に最も近づけるものを選び取っていく必要があり、業務自動化が進む未来ではそうした能力こそ求められていくことでしょう。
Cloud Payment マーケティング部
田端佑也
株式会社Cloud Paymentに新卒で入社後、継続請求管理ロボット「経理のミカタ」のブランディングやコンテンツライティングなど、マーケティング領域を担当する。現在では、経理のミカタに加え、オンライン決済サービスを含めた全社的なマーケティング、広報、経営企画にも携わる。