本連載は、簡単かつ即効性のある、ITを用いてビジネスの効率を上げるための方法を紹介している。今回のテーマは、前回に引き続き文書作成のキモである「タッチタイピング」だ。一般に、タッチタイピングは「キー配列を覚えなければマスターできない」とされているが、筆者はそうではないと考える。

前回、業務の効率を向上するために、タッチタイピングは必須と説明した。筆者はタッチタイピングを習得するために、キーボードのキー配列を覚える必要がないと思っている。以下、キーボードのキー配列を覚えることなく、タッチタイピングができるようになるための秘訣をお伝えしよう。

秘訣1:指の動く文字を増やすこと

文字を入力していると、頻繁に押すキーがあることに気が付くはずだ。ローマ字入力なら、「A」、「I」、「U」、「E」、「O」の母音のキーだ。これらのキーの位置を打つ感覚を指が覚えれば、相当に速く文字が打てるようになる。あとは、子音の文字位置を1文字ずつ覚えればいい。「K」の位置を指が覚えれば、「あいうえお」と「かきくけこ」は見ないで入力できるようになるはずだ。

かな入力の場合でも、よく使う文字があるはずだ。さらに「は」を「ば」にするための濁点の入力、小さい「っ」など、かな入力に特有のキーがあるので、それらを打つ感覚を初めに覚えて、見ないで打てる文字数を増やしていくとよいだろう。

実際には、こんな簡単な話ではないはずだが、いくつかの文字をキーボードを見ないで入力できるようになるだけでも、かなり文字入力は高速化する。見ないで入力できる文字を徐々に増やしていけば、やがてタッチタイピングができるようになる。

秘訣2:ホームポジションの体得

キーボードには「F」と「J」のキーに突起や窪みがあり、指で触ってわかるようになっている。この「F」に左手の人差し指、「J」に右手の人差し指を置き、その他の指をそれぞれ隣のキーの上に置く状態をホームポジションという。文字入力の基本姿勢だ。この状態から、5本の指を使って文字入力するとされている。

左手の人差し指、右手の人差し指をそれぞれキーボードのホームポジションに置いている状態

基本は大事だが、慣れはもっと大事

しかし、文字の入力に基本も正統派もない。頭で思ったことが入力できさえすればよいのだ。もちろん、5本の指を全部使う必要もない。知り合いのエンジニアに、親指・人差し指・中指の3本の指で文字入力する人がいるが、そのスピードは5本指で打つ人と変わらない。欧米人にも"3本指利用者"は多いらしい。

筆者が考えるタッチタイピングのメリットは、思考を中断しないで入力することだ。この場合、どんな場所に指を置こうが、何本指を使おうが関係ないので、自分が一番入力しやすいしっくりする方法で、ストレスなく入力できる方法を見つけてほしい。

"速く"よりも"正確に"が大切

文字入力でもう1つ大切なのは、速くキーを押すことよりも、正確に押すことだ。

仕事柄、筆者の文字入力のスピードはかなり速い。しかし実は、文字入力のために押した回数と同じぐらいBackSpaceキーを押して間違えて入力した文字を消している。相当な時間のロスをしているのだ。

これは、入力した文字を誤って日本語変換をしているのにEnterキーを押して確定してしまうことが原因であり、指の動きがそういう癖になってしまっている。

どんなに速くキーを押しても、間違えて消すのでは本末転倒だ。少しぐらい遅くてもかまわないので、正確なタイピングを習得していただきたい。

以上、2回にわたり、タッチタイピングについて説明した。ほんの少しのやる気があれば、タッチタイピングは簡単に始められる。習得までにはちょっと時間が必要だが、ぜひ挑戦して欲しい。ゲーム形式のタイピング練習ソフトやタイピング練習用のWebサイトなどもあるので、それらを利用してもよいだろう。