Android端末で動作するテキストエディタ
スマートフォンは従来の携帯電話の枠を超え、汎用的な情報端末として活用されている。さらに最近では、タブレット端末の普及やハードウェアの高性能化によって、いままでPC上で行なっていた作業の多くをモバイルデバイス上で行うことが可能になってきている。
現にAndroidでは、キーボードドックを持ちノートPCのように利用できる端末なども登場してきており、一部ではもはやノートPCとスマートフォン/タブレットの境界も曖昧になってきている。スマートフォン/タブレットはノートPCと比べ一般的にバッテリ駆動時間が長く、サイズや重量的に気軽に持ち歩くことができるというメリットもある。
モバイルデバイスがPCに近づいているとなると、当然これまでPCで行っていたプログラミングをスマートフォンやタブレットでできないものだろうか? と考えてしまうのがプログラマの性というもの。そしてプログラミングに必要なものといえば何はなくともテキストエディタだ。
そんなわけで今回は、Android上で動作するテキストエディタや、テキストエディタと組み合わせてプログラミングに活用できるツールを紹介する。
高機能テキストエディタ「Jota+」
まず紹介したいのがJota+だ。いわゆる一般的なテキストエディタで、特にこれといった特徴はないものの、それが逆に使いやすい。
キーボードショートカットなどもWindows上で動作するエディタと概ね同じものが利用でき、キーボードドックを持つ端末やBluetoothキーボードなどのハードウェアキーボードと組み合わせることで、PC上で動作するテキストエディタと同じ感覚で利用することができる。また、特殊なキーバインドによる操作がないため、ソフトウェアキーボードでも操作が容易という点も大きなメリットといえる。
行番号が表示できたり、様々なプログラミング言語のシンタックスハイライトに対応しているなど、ソースコードの参照や編集に便利な機能も備えている。また複数のファイルを同時に開き、タブで切り替えながら編集することもできる。ただし、無償版は同時に開けるファイルが2つまでという制限がある。
簡単なメモからプログラミングまで、幅広い用途に利用できる万人向けのエディタといえるだろう。
Android版vim「VimTouch」
VimTouchは、その名の通りAndroid上で動作するvimだ。ハードウェアキーボードでの使用感はまさにvimそのものだ。シェルを起動したり、外部コマンドを実行したりすることもできる。
さらにハードウェアキーボードがない場合でも操作が行いやすいように、ジェスチャーによる操作や、タップするだけでコマンドを実行可能なツールバーなどが用意されている。このツールバーには任意のコマンドを割り当てることができるので、よく使うコマンドを登録しておくといいだろう。
ただし、VimTouchは日本語の入力に難があるほか、カーソル位置の文字が見えにくいため編集時に困るといった実用上の問題があり、常用するエディタとしてはやや厳しいと言わざるを得ない。完成度は非常に高いので、今後の改善に期待したいところだ。
Android端末内のファイルを検索する「aGrep」
aGrepは、Android端末内のファイルを横断検索するためのアプリだ。ソースファイル群から目的のファイルを探し出したり、クラスやメソッドの利用箇所を特定する際に利用することができる。正規表現での検索も可能だ。
検索結果をタップすると、ヒット箇所がハイライトされた状態で、該当のファイルの内容が表示される。ここからインテント経由で別のテキストエディタアプリでファイルを開くこともできる。
まとめ
Androidにはこのほかにもプログラミング言語の処理系を内蔵したエディタや開発向けのツール、さらには本格的なIDEに近いアプリ(たとえば本連載で以前紹介したAIDEなど)やWebベースの開発環境も様々なものが存在する。
Android端末は一般的なノートPCと比べて、軽量で持ち運びしやすくバッテリー駆動時間も長いというメリットがある。多少の工夫は必要だが、これらのツールを活用することで、Android上でも快適にモバイルプログラミング環境を構築できるようになるかもしれない。