JavaアプリケーションのHello World
第7回は、Javaで書いたHello Worldです。Javaのプログラムは、JavaアプリケーションとJavaアプレットに分けて考えることができます。JavaアプレットはWebブラウザ上で実行されるプログラムですが、JavaアプリケーションはOS上からコマンドとして起動されるプログラムです。
JavaアプリケーションのHello Worldは、リスト1のように、print()メソッドを使って文字列を出力すればOKです。このように、Javaアプリケーションはmain()メソッドから実行が開始されます。System.outは標準出力を意味します。なお、print()では改行コードは付加されないため、文字列の終端に"\n"を付けておきます。
リスト1 printを使う方法(JavaApplicationPrint.java)
public class JavaApplicationPrint { ← クラスの定義を開始
public static void main(String[] args) { ← main()メソッド開始
System.out.print("Hello World\n"); ← print()でメッセージ出力
}
}
リスト2のように、print()の代わりにprintln()メソッドを使えば改行コードが付加されるため、文字列に"\n"を付ける必要はありません。
リスト2 printlnを使う方法(JavaApplicationPrintln.java)
public class JavaApplicationPrintln {
public static void main(String[] args) {
System.out.println("Hello World"); ← println()なら改行コードは不要
}
}
Javaのプログラムは、実行例1のようにjavacコマンドを使ってコンパイルします。コンパイルに成功すると、「拡張子.class」のクラスファイルが作成されます。Javaアプリケーションの実行にはjavaコマンドを使い、引数にクラス名(拡張子.classは付けない)を指定します。
実行例1 Javaのプログラムのコンパイルと実行
$ javac JavaApplicationPrint.java ← javacで、Javaのソースをコンパイル
$ ls *.class ← 拡張子.classのファイルを確認
JavaApplicationPrint.class ← 確かにコンパイルされている
$ java JavaApplicationPrint ← javaコマンドを使ってクラスファイルを実行
Hello World ← 確かにHello Worldが表示される
$ ← シェルのプロンプトに戻る
GUIのJavaアプリケーション
Javaアプリケーションは、テキストベースでの動作だけでなく、ウィンドウベース(GUI)でも動作します。リスト3はGUIのJavaアプリケーションです。このプログラムをjavacでコンパイルし、javaコマンドでクラスファイルを実行すると、図1のようなウィンドウが立ち上がるはずです。メッセージはウィンドウの中に表示されます。ウインドウタイトル部分に表示されているHello Worldは、フレームのタイトル文字列です。
なお、このプログラムには終了のためのコードがないため、コマンドラインに[Ctrl]+[C]を入力するなどして終了してください。
リスト3 GUIのJavaアプリケーション(JavaGuiHello.java)
import java.awt.*; ← GUIを使うために必要
public class JavaGuiHello {
public static void main(String[] args) {
Frame f = new Frame("Hello World"); ← フレームを作成(タイトル付き)
f.setLayout(new FlowLayout(FlowLayout.CENTER, 0, 30)); ← ほぼ中央に配置
f.setSize(200, 100); ← フレームのサイズを指定
f.add(new Label("Hello World")); ← ラベルでメッセージを貼り付ける
f.setVisible(true); ← フレームを可視状態にする
}
}
図1 GUIのJavaアプリケーション |
Javaアプレットの場合
JavaアプレットのHello Worldはリスト4のとおりです。このように、Javaアプレットのプログラムにはmain()がありません。メッセージは、paint()メソッドの中でdrawString()を使って描画します。
リスト4 Javaアプレットの場合(JavaAppletHello.java)
import java.applet.*; ← アプレットを使うために必要
import java.awt.*; ← GUIを使うために必要
public class JavaAppletHello extends Applet { ← Appletクラスを継承
public void paint(Graphics g) { ← paint()メソッド開始
g.drawString("Hello World", 60, 50); ← メッセージを描画(座標も指定)
}
}
Javaアプレットを実行するためには、HTMLファイルが必要です。最低限の記述を行ったHTMLファイルはリスト5のとおりです。このように<applet>タグを使い、その属性値でクラスファイルと表示サイズを指定します。
リスト5 JavaアプレットのためのHTMLファイル(JavaAppletHello.html)
<applet ← <applet>タグ開始
code="JavaAppletHello.class" ← code属性でクラスファイルを指定
width=200 height=100> ← width/height属性で表示サイズを指定
</applet> ← <applet>タグ終了
このHTMLファイルを、Webブラウザまたはappletviewerコマンド(実行例2)で開けば Javaアプレットが実行されます(図2)。
実行例2 appletviewerでJavaアプレットを実行
$ appletviewer JavaAppletHello.html ← コマンドラインからappletviewerを実行
図2 appletviewerによるJavaアプレットの表示 |
Javaアプリケーション兼アプレット
プログラムを工夫することにより、JavaアプリケーションとしてもJavaアプレットとしても動作するようにすることができます(リスト6)。このプログラムは、Javaアプレットとして起動された場合はpaint()メソッドのみが実行され、通常のJavaアプレットとして動作します。Javaアプリケーションとして起動された場合は、まずmain()メソッドが実行され、この中で自分でアプレットを作成し、サイズを指定して画面表示を行っています。
なお、Javaアプレットとして起動する場合は、通常のJavaアプレットと同様にHTMLファイルが必要です。
リスト6 Javaアプリケーション兼アプレット(JavaGuiApplet.java)
import java.applet.*;
import java.awt.*;
public class JavaGuiApplet extends Applet {
public void paint(Graphics g) { ← Javaアプレットのpaint()
g.drawString("Hello World", 60, 50); ← メッセージを描画
}
public static void main(String[] args) { ← Javaアプリケーション用main()
Frame f = new Frame("Hello World"); ← フレームを作成
Applet a = new JavaGuiApplet(); ← 自分でアプレットを作成
f.setSize(200, 100); ← フレームのサイズを指定
f.add(a); ← フレームにアプレットを貼る
f.setVisible(true); ← フレームを可視状態にする
}
}