簡単な検索で情報を的確に引き出せるようになれば、情報を整理する手間を大きく減らすことができます。今回はブラウザのブックマーク(お気に入り)とWebサイトの検索を例にとり、効率の良い検索と情報整理のテクニックを考察します。
検索結果が多すぎる
検索機能が極限まで発達し、知りたいことをいわゆる「自然言語」で質問し、それへの答えが的確に出てくるようになれば、オンラインブックマークなど、「情報をとっておく」必要性は、大きく減じられるでしょう。
おそらくそうなったときこそ、「本当に必要な情報だけをとっておく」事ができるようになるので、オンラインブックマークなどのサービスの価値が、むしろ高くなるかもしれません。現状では、あまりに多くの情報をブックマークに投げ込むからこそ、機能不全につながるのです。
ブックマークがあふれかえってしまう最大の要因は、「有用そうだから、とりあえずとっておきたい」という心理的要因です。なぜ、「とりあえずとっておく」かと言えば、「とっておかないと、二度と見つけられなくなりかねないから」です。
しかしどれほど「有用そう」な情報であろうと、「必要なとき」が訪れなければ、ブックマークされていようと、スターがついていようと、情報の海の中に埋没しているのと、違いはありません。
「必要なとき」が訪れたとしても、タグが適切でなかったりすれば、結局は「検索をかける」事になります。検索をかけるということであれば、対象がインターネット全体でも、自分のオンラインブックマークに限定されていても、結果はあまり変わらないかもしれません。少なくとも、検索結果で最上位に上がってくれば、同じ事でしょう。
ただし、きちんと検索語によってヒットさせることができたとしても、検索の10000番目に表示されていたというようであれば、直接Google検索をかけるより、自分の「囲っておいた」対象を検索した方が、はるかに良い結果を生むという可能性はあります。Googleで検索をかけたときにはなかなか見つけられない一方で、オンラインブックマークからなら、1つだけが検索結果として表れる可能性があるからです。
しかし、あらかじめブックマークなどに囲っておく方法より、うまくインターネット全体から、自分の欲しいものをヒットさせる方法こそ、このコラムの目指す方向です。その方法として、andやnotを使う方法が、まず考えつきます。とはいえ、ご存じの通り、andやnotを使って検索結果を絞り込む方法は、労が多い割に、益が少ないとは言いませんが、不十分な場合もあります。結果が不十分でも試すなら、少しでも楽がしたいところです。
ライフハック:Xippeeを使ってみる
ごく普通にマイナスを使って、検索結果を絞り込んでもいいのですが、検索結果を一望し、直感的に絞り込みを行うことができる意味で、xippeeはこれを楽にできる良質のサービスです。
これをブラウザにアドオンすると、単語を反転させただけでプラスまたはマイナスのボタンが現れ、そのプラスやマイナスをクリックしてやれば、サイトを簡単にフィルタリングすることができます。
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「心理学」の検索一覧から、「恋愛」というキーワードを含んだサイトをフィルタリングする |
検索窓にキーワードを打ち込んで結果をざっと見ると、その際にはまったく無関係であるにもかからず、キーワードにきっちり引っかかるサイトがずらっと一覧されてしまう、ということがときどき起こります。
そこで無関係らしきサイトは、直感的に分かりますし、どのような言葉で間引きすればいいのかも、だいたい直感的に分かります。その言葉を選び、ボタンをクリックするだけで、ガクッと検索結果を減らすことができるのは、とても便利なのです。
まとめ
もちろんこれだけでは、「有用そうなサイトをとっておきたくなる」誘因に対抗するには、不十分でしょう。しかし、このように検索のための知識を今からでも少しずつ増やしていったり、補助ツールを組み込むことで、お気に入りをあふれかえらせたり、受信トレイをキャッシュメールだらけにせずに済みます。
とっておくURLが少なくなればなるほど、情報整理のための時間を少なくすることができます。これは実際、バカにならないことのはずです。
佐々木氏がITPro EXPOで講演
本連載の著者で、心理学・脳科学ジャーナリストの佐々木正悟氏が、先週15-17日に東京ビックサイトで開催されたイベント「ITPro EXPO 2008 Autumn」で講演を行った。講演はサイボウズのブースで開催された「ITPro EXPO イチ受けたい授業」の中で行われ、佐々木氏は、3日間にわたり「チームハックス心理学」と題した授業を行った。ITPro EXPO イチ受けたい授業では、佐々木氏のほか 元メジャーリーガーの桑田真澄氏や元プロ野球選手の石毛宏典氏のほか、サイボウズの青野慶久社長も授業を担当した。