これまでのガジェット歴を振り返ると、ウエアラブルと呼べる製品を少なからず試してきました。でも、今でも使い続けているのはiPodに組み込まれているNike+と、ノートに書いたものが自動的にEvernoteに保存されるスマートペンLivescribeだけです。どちらも(特にLivescribeは)ウエアラブルというより、周辺機器に含めるべきような製品なのですが、走った距離とペース、日々頭をよぎっていく情報やアイディアをきちんと記録してくれます。ものぐさな性格なので、努めて装着し続けなければならないもの……例えばフィットネスバンドなどは全く長続きせず、気づいたら電池切れのまま放置というパターンでした。

そんなウエアラブル歴なので、Google Glassも開発発表時点で「自分向きではない……」とあまり惹かれませんでした。ところがある日、下の動画を見てから俄然試してみたくなりました。子供と遊びながらシャッターチャンスを逃さすことなく、自然に動画や写真を撮影できる。これは「GoPro for the Rest of Us」のように使えるのではないかと思って、Google GlassのExplorerプログラムに申し込み、現在に至ります。

Google Glassをはめているとよく話しかけらます。最もよく聞かれる質問は「それで何ができるの?」です。そう聞かれても、使っている人たちも暗中模索です。Explorerプログラムが始まった頃のGlassはいかにもプロトタイプ然としていて、ボールと棒を渡されて「これで何か遊んでみろ」と言われているような感じでした。その頃に公開されたファーストインプレッション記事の多くが歯切れの悪い内容だったのは、Glassがプロトタイプすぎて、記者やライターも判断に迷ったためではないでしょうか。

でも、この半年で少しずつソフトウエアと対応サービスが成長し、12月のアップデート(XE12)では製品版の片鱗が見えてきました。もちろん、まだ製品版と見なして評価するわけにはいきません。そこで、みなさんにもGoogle Glassがどのようなデバイスで、何に活用できるようになるのかを想像していただけるように、製品版の登場まで私の使用体験を披露していこうと思います。しばらくの間、お付き合い下さい。第1回はGlassのハードウエアの紹介です。

○2.4メートルの距離で25インチスクリーン相当

現在提供されているGoogle GlassはExplorer版の第2世代です。外観は変わっていませんが、周辺機器による拡張性を考慮したデザインに改良され、モノラルイヤホンが付属します。ちなみにGoogleは初代Explorer版ユーザーに対して、無料で第2世代への交換に応じています。

ストレージは16GB(ユーザー領域: 12GB)、ワイアレス機能はWi-Fi (802.11 b/g)とBluetooth。カメラ機能で、5メガピクセルの写真と720pの動画を撮影できます。充電や周辺機器接続用のインターフェイスはMicro USB。

右側面がタッチパッドになっています。タップ、左右と下のスワイプが可能。タッチパッドの上にあるボタンはカメラ機能用のシャッターです。

ストレージは16GB(ユーザー領域: 12GB)、ワイアレス機能はWi-Fi (802.11 b/g)とBluetooth。カメラ機能で、5メガピクセルの写真と720pの動画を撮影できます。充電や周辺機器接続用のインターフェイスはMicro USB。

ツルの右端部分がバッテリー。装着すると目立つので髪の色に近い本体カラーを選ぶのがおすすめ。

骨伝導スピーカーに不満を訴えるユーザーが多く、Explorer版の第2世代でモノラルイヤホンが付属するようになりました。Micro USBで本体と接続。個人的には音楽などを聴かない限り、骨伝導スピーカーで十分だと思っています。

全てのコンピュータパーツが右側に集中しているためバランスはよくありませんが、全体的にとても軽量で、かけていて右耳が痛くなるようなことはありません。

Google Glassのフレームは程よく柔軟に曲がり、頭の形・サイズに幅広くフィットしてくれます。透明のガラスのようなディスプレイ(Prismプロジェクタ)は左右に動かして表示位置を調節できますが、上下には動きません。そのためフレームが眉毛の高さぐらいになるように装着しなければなりません。それよりも上下にずれると画面の上か下が切れてしまいます。鼻あてのブリッジを曲げて、少し高めに安定するように調節します。この高さが表示に影響するのが、Glassの度付きメガネ・モデルの開発を難しくしています。メガネは少し下向き、Glassは少し上向きと装着の角度が異なるため、2つの機能を1組のツルとブリッジにまとめるのに苦労しているようです。

フレームは適度に柔軟で、頭にフィットするけど締め付けられるような感じにはなりません。

鼻あてのブリッジを指で曲げ伸ばしして、装着した時の高さを調節します。

よく「メガネの上から使用できるのか?」と聞かれます。鼻の高い人なら、鼻あてのブリッジを上手く調節したら、フレームの幅の狭い小さめのメガネに重ねてかけられます。実際そうしているアメリカ人はいますし、メガネ越しにちゃんとディスプレイが見えます。ただ、一般的な日本人の鼻の大きさと彫りの深さではちょっと難しい荒技です。

ディスプレイの表示は、8フィート(2.4メートル)の距離から25インチスクリーンを見る感覚です。目の近くで投影されるものの、実際に裸眼で2.4メートル先のスクリーンがぼやけて見えるなら、Glassの表示も読みにくいものになります。近視でメガネをかけている人はコンタクトが必要になる可能性が高いです。

ディスプレイ全体が見える高さに調節すると、少し上向きになるため、普段Prismディスプレイに視界が遮られたりはしません。

アクティブシェードを装着したところ。鼻あてのブリッジにひっかけて固定します。

ディスプレイは視界の右上のあたりに浮かんでいるように見えます。実際に2.4メートルの距離で25インチディスプレイを見ていただくと分かりますが、視野に占めるディスプレイの割合はそれほど大きくはありません。右上のディスプレイを凝視している時は、デジタルカメラの高精細なEVF(電子ビューファインダー)を覗いているような感じです。

今回はここまで。次回はユーザーインターフェイスと操作方法を紹介します。