今回も引き続きCopilot in Edgeを使って生成AIを使ったインターネット検索を体験していこう。Copilot in Edgeを使ったインターネット検索を行う場合にはプロンプトの向こうに問い合わせ窓口の担当者がいるような感じで明確な質問を出していくというのがひとつのポイントであり、引用元ページへのアクセスも簡単にできるところもポイントになっている。
連載「Copilot in Windowsを使ってみよう」のこれまでの回はこちらを参照。
食中毒にならない方法を尋ねる
Copilot in Edgeを使った新しいインターネット検索を活用するには、とにかくこの方法で操作してみて慣れることが大切だ。今回も前回に引き続き、この猛暑に関連した内容で検索をして、その使用例を取り上げていく。
今回は暑さに伴う食中毒に焦点を当てて、次のような質問をしてみる。
暑い日が続いており、食中毒が心配になってきました。食中毒にならないようにするために気をつけるべきことや、食中毒が発生する条件、食中毒の原因などについて説明してください。
Copilotは次のように回答している。
食中毒は、食品に付着した細菌やウイルスが体内に侵入することによって発生します。食中毒を防ぐためには以下の3つの原則が重要です。
- つけない:食品や調理器具に細菌やウイルスをつけないように、衛生管理が大切です。具体的には、手洗いを徹底することが重要です。調理前や食事前は必ず手洗いをしましょう
- 増やさない:食品についた細菌が増えないように、迅速な調理と冷却が必要です。食品を購入後、できるだけ早く冷蔵庫に入れましょう
- やっつける:食品や調理器具に付着した細菌をやっつけるために、食品は中心部が75℃で1分間以上加熱することが推奨されています
食中毒が発生する条件は、細菌が増殖するための以下の3つの条件がそろい、時間が経つと、細菌が増殖し、食中毒が発生する可能性が高くなります。
- 栄養:ヒトにとって栄養となる食品は、細菌にとっても栄養源となります
- 水分:細菌は食品中の水分を利用して増殖するため、適量の水分の存在が不可欠です
- 温度:ほとんどの細菌は、10~60℃程度で増殖し、36℃前後で最もよく発育します
食中毒の原因は大きく4つに分けられます
- 微生物性:食品中に付着又は増殖した細菌やウイルスが作り出す毒素が原因で食中毒になります。具体的にはサルモネラ菌、黄色ブドウ球菌、腸炎ビブリオ、ウェルシュ菌などがあります
- 化学性:化学物質が食品の外部から混入、または生成することで食中毒が発症します。具体的には食品添加物など不適切な使用、環境汚染による食品の汚染、器具や容器包装使用における有害物質の溶出などがあります
- 自然毒:植物や動物が保有または食物連鎖により体内に蓄積された有毒成分を含む食品を食べることによって食中毒になることがあります。具体的には毒キノコや魚のフグなどがあります
- 寄生虫:食品や水に付着した寄生虫が原因で食中毒になる場合があります。具体的にはアニサキス、肺吸虫などがあります
以上の情報を参考に、食中毒予防に努めてください。また、食中毒の疑いがある場合はすぐに医療機関に相談してください。
Copilotは食中毒に関して一般的な内容を分かりやすくまとめている。忘れないようにときどきこうやって内容を再確認するのは大切なことだ。特に「ほとんどの細菌は、10~60℃程度で増殖し、36℃前後で最もよく発育します」は確認しておきたい。エアコンのかかっていない室内に食料を置いておくと細菌が増殖する可能性があることになり、再度気をつけようという気になってくる。
微生物性の食中毒についてさらに質問
魚や肉を加熱料理するとタンパク質は変性し、そして脱水によって身は固くなる。これを避けるためには火入れの温度を下げて変性や脱水のレベルを下げるのがひとつの調理方法となるのだが、それには食中毒というリスクが伴う。生食用の魚や肉であれば問題ないのだが、そうでない場合にはリスクが伴うだろう。
リスクを下げつつ適切に調理するには細菌増殖と温度の関係についてちゃんと把握しておく必要がある。そんなわけでCopilot in Edgeに続けて次の質問を行う。
具体的に細菌ごとにもっとも増殖する温度帯と死滅する温度を教えてください。
Copilotは次のように回答している。
細菌の増殖に適した温度帯(発育至適温度帯)は、一般に10℃~60℃とされています。特に、35℃前後が最も増殖しやすい温度帯とされています。また、細菌は大きく分けて、低温菌(最適増殖温度:12~18℃、0℃で増殖可能)、中温菌(最適増殖温度:30~38℃)、高温菌(最適増殖温度:55~65℃、一部の菌は95℃でも生育可能)の3群に分類されます。
細菌の死滅温度は、細菌の種類により異なります。以下に、いくつかの代表的な細菌の死滅温度と時間を示します:
- サルモネラ:加熱温度62℃を30分で死滅
- 腸炎ビブリオ:加熱温度60℃を10分で死滅
- 黄色ブドウ球菌:加熱温度80℃を30分で死滅
- O-157・その他の病原大腸菌:加熱温度75℃を1分で死滅
- カンピロバクター:加熱温度60℃を30分で死滅
- ボツリヌス菌:加熱温度120℃を4分で死滅
- 赤痢:加熱温度80℃を25分で死滅
ただし、これらの条件は菌の抵抗性を示す目安となるものであり、食品によって殺菌条件が異なる可能性があります。したがって、食品を安全に摂取するためには、十分な加熱が必要となります。また、食品を加熱した後は、細菌が増殖しない温度まで素早く冷却することが重要です。具体的な温度管理方法については、専門書などのデータに基づく必要があります。食中毒の予防には、適切な温度管理が非常に重要です。
全てのリスクを考慮すると120℃まで加熱することになり現実的ではなくなるので、上記の細菌に関して食中毒の原因になることが多い順に並べるように追加で質問を行う。
挙げてくれた上記細菌を食中毒の原因になることが多い順に並べてください。
Copilotは次のように回答している。
食中毒の原因となる細菌の発生頻度は、その地域や環境、季節などにより異なります。また、具体的な頻度については、定期的な監視や報告が必要です。
しかしながら、一般的に以下のような順序で食中毒の原因となることが多いとされています:
- 腸炎ビブリオ
- サルモネラ
- 病原性大腸菌(O-157など)
- カンピロバクター
- ウェルシュ菌
- 黄色ブドウ球菌
これらの細菌は、食品の取り扱いや保存方法、調理方法などにより、食中毒の発生頻度が変わる可能性があります。したがって、食品の安全な取り扱いと適切な調理が重要となります。また、食中毒の疑いがある場合は、すぐに医療機関に相談してください。
どこまでをリスクと捉えるかは人によって異なるのでなんとも言えないが、上記結果を参考にするとどの程度の温度でどのくらい火が通っていればそれなりに細菌の死滅が期待できるかが見えてくる。
調べた内容についてさらに気になる点を質問する
Copilot in Edgeのような生成AIチャットを使ったインターネット検索ではある程度はコンテキストが加味されるので、そのまま関連する気になる点について質問を行っていくことで比較的知りたいことが得やすいといったところがある。
先ほどの結果を得て、温度を上げればもっと短い調理時間でもよいのか気になったとする。そうしたらプロンプトにそのまま気になった点を質問する。
腸炎ビブリオは加熱温度60℃を10分で死滅するとありますが、これはたとえば調理温度を80度にあげた場合、もっと短い時間で死滅することを意味していますか?
Copilotは次のように回答している。
はい、その通りです。細菌の死滅は温度と時間の関係によって決まります。一般的に、温度が高くなると細菌の死滅に必要な時間は短くなります。したがって、腸炎ビブリオについて言えば、60℃で10分間加熱すると死滅しますが、80℃で加熱すると、それよりも短い時間で死滅する可能性があります。
ただし、食品の種類や形状、厚さなどによって、内部まで十分に温度が伝わるまでの時間が異なるため、必ずしも加熱時間が短くなるとは限りません。また、食品の加熱は細菌を死滅させるだけでなく、食品の風味や食感、栄養素を保つためにも重要です。そのため、適切な加熱時間と温度を選ぶことが大切です。
生成AIチャットを使わないインターネット検索の場合、欲しい回答のみに目がいって不都合な情報には目をつぶりがちだが、生成AIチャットを使う場合には上記結果のようにリスクなどについてもまとめてくれることが多い。何を以てフェアな検索と考えるかは難しいところだが、判断基準に自分以外の第三者(ここでは生成AI)が加わることで情報獲得と選定の視点が広がると言えるだろう。
どんどん質問してみよう
ともかく生成AIチャットを使ったインターネット検索は気になった点を質問するというスタイルなので、その使い方に慣れることが大切だ。先ほどまでの流れで、今度は次のように別の視点で気になった点を聞いてみる。
鮮魚を購入してきて捌き刺し身にすることが多いのですが、こうも暑い日が続くと食中毒が心配になってきます。刺し身は火を通しませんので加熱による殺菌はできません。この暑い時期に刺し身を捌くときの注意点などを教えてください。
Copilotは次のように回答している。
この暑い時期に刺し身を捌く際には、以下の注意点を心掛けてください
- 衛生管理:手洗いを徹底し、調理器具は清潔に保つことが重要です。また、魚を扱う際には、口やゼイゴ、鱗などで手を傷つけないように注意してください
- 鮮度管理:魚は新鮮な状態であることが最も重要です。購入後はすぐに冷蔵庫で保管し、調理は可能な限り早めに行ってください
- 水分管理:魚に水分がたくさんついていると、臭いの元になります。また、ぬめりやすくなるので手元が滑りやすくなるので注意が必要です。水を使うのは最低限にし、必要ならキッチンペーパーや晒しで水分をふき取るようにしましょう
- 内臓周辺の身は切り落とす:内臓周辺の身はガッツリと切り落とすことをおすすめします。ちょうど三枚におろしたときの「腹骨周り」の身なんですが、黒のような緑のような色になっている場合は臭みが移っていることが多いです
- アニサキス対策:特に生食する場合、寄生虫のアニサキスに注意が必要です。アニサキスは魚の内臓や肉に寄生しており、人間が感染するとアニサキス症を引き起こします。アニサキスは加熱や冷凍により死滅しますが、刺し身ではその処理ができません。そのため、刺し身にする魚は信頼できる業者から購入し、可能であればアニサキス対策を施したものを選ぶことが重要です
以上の注意点を守りつつ、新鮮な魚を楽しんでください。また、何か異常を感じた場合はすぐに医療機関に相談してください。
今度は仮に食中毒にかかってしまったことを想定して、その場合にはどうすればよいか質問してみる。
食中毒にかかったときの症状について教えてください。また、その場合にどのような対処を取るべきか教えてください。
Copilotは次のように回答している。
食中毒の症状は原因となる細菌、ウイルス、寄生虫の種類や数、さらにかかった人の免疫能力によって違ってきます。基本的には「下痢」「嘔吐」「吐き気」が症状の中心となり、症状が軽いときは風邪やウイルス性胃腸炎になったのではないかと勘違いするケースも少なくありません。その他の食中毒の症状として、以下のようなものもあります。
- 腹部の膨張、痛み、痙攣
- 発熱
- 筋肉痛
- 衰弱
特にボツリヌス菌による食中毒は稀ではありますが、最悪の場合死に至る危険があるので注意が必要です。ボツリヌス菌による食中毒の症状として以下のようなものが挙げられます。
- ろれつがまわらない、視界がぼやける
- 筋肉の衰弱
- ものをうまく飲み込めない
- 口が渇く
- 首から下の筋肉麻痺
- 嘔吐
- 呼吸困難
食中毒になった場合の対処法は以下の通りです。
- 水分補給:下痢や嘔吐により体内の水分が大量に排出されるため、ゆっくり少しずつ水分を補給することが重要です。水分が足りているかどうかは尿の色で判別できます。いつもより濃い色であれば、まだ水分が足りていないことになります
- 安静にする:体力を消耗しないように、安静にすることが大切です
- 医療機関を受診する:症状が重い場合や、数日以内に改善しない場合は、医療機関を受診することが必要です。特に、妊婦・乳幼児・高齢者・基礎疾患のある人は重症化のリスクがあるため、軽症でも早めの受診が必要です
以上の対処法を参考に、食中毒の疑いがある場合はすぐに医療機関に相談してください。
生成AIチャットを使ったインターネット検索はこれまでのインターネット検索と異なりすぐに回答が生成された情報として提示される点が特に大きく異なる。便利なサービスであり何度も使って日常的に使えるようにしていきたい。
気になったらリンク先を確認する
Copilot in Edgeが生成する回答の特徴として、ベースとしたWebページへのURLが含まれている点を挙げることができる。執筆時点ではほかの生成AIチャットサービスはベースとなった情報源を隠蔽していることが多く、ベースとなっている情報を提供したWebページへのURLが提供されていないものが多い。
しかしCopilot in Edgeはこの点が大きく異なっており、ベースとして使用したWebページのURLが細かく掲載されており、気になる場合にはそのWebページを簡単に確認できるようになっている。より詳しい情報が知りたいと思った場合にはプロンプトに次の質問を書き込むのではなく、提供されているリンクをクリックして元となったWebページの内容を読むのもひとつの手だ。
付録: ショートカットキー
ショートカットキー | 内容 |
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「Windows」+「C」 | Copilot in Windowsの表示・非表示を切り替え |
「Ctrl」+「Shift」+「.」(Microsoft Edge) | Copilotパネルの表示・非表示を切り替え |
付録: 対応バージョン
OS | バージョン |
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Windows 11 | Windows 11, version 22H2以降 |
Windows 10 | Windows 10, version 22H2以降のProおよびHome |
参考
- Copilot in Windows & Other AI-Powered Features | Microsoft
- Copilot documentation | Microsoft Learn
- Adopt, extend and build Copilot experiences across the Microsoft Cloud | Microsoft Learn
- Bringing the power of AI to Windows 11 - unlocking a new era of productivity for customers and developers with Windows Copilot and Dev Home - Windows Developer Blog