今回はCopilot in Edgeでインターネット検索を行う際に会話が成り立っているようで実は成り立っていないケースについて取り上げる。そんなときはちゃんと質問の意図が伝わるようにプロンプトに質問をし直すことで問題を解決することができる。

連載「Copilot in Windowsを使ってみよう」のこれまでの回はこちらを参照

Copilot in Edgeを使う

Copilot in EdgeはMicrosoft EdgeにCopilotのチャットサービスが統合されたものだが、単なる生成AIチャットというよりもインターネット検索に新しい体験をもたらすものだと言えるだろう。まだ他の主要Webブラウザには実装されていない機能であり、いまのところMicrosoft Edgeの特徴的な機能になっている。

Copilot in Edgeがもたらす新しいインターネット検索の体験はこれまでのインターネット検索とは異なっている。慣れるまで繰り返し試しながら経験を積んでいこう。

夏を乗り切るための質の良い「睡眠」は

前回はこの夏の時期に合わせて「熱中症」について調べた。今回もそれに続いて、この暑い時期を乗り切るための「睡眠」についてCopilot in Edgeに聞いてみる。次の質問をCopilot in Edgeのプロンプトに入力する。

高温多湿な日々が続いており、疲れを感じています。質の良い睡眠を取る必要があります。エアコンの設定など、高温多湿なこの時期に適した睡眠環境の整備について教えてください。

Copilot in Edgeは次のように回答している。

  • 高温多湿な時期の適した睡眠についてのアドバイスを求める

    高温多湿な時期の適した睡眠についてのアドバイスを求める

高温多湿な時期に質の良い睡眠を取るための環境整備について、いくつかのポイントをご紹介します。

エアコンの設定

  • 室温:寝室の温度は28度以下に設定するのが理想的です。エアコンを使って室温を調整し、寝る30~40分前にはエアコンをつけておくと良いでしょう
  • 湿度:湿度は40~60%に保つことが推奨されています。除湿機やエアコンの除湿機能を活用しましょう

快適な寝具

  • 寝具の温度:布団内部の温度は33度前後が理想的です。寝具の厚さや種類を調整して、快適な温度を保ちましょう
  • 冷却グッズ:後頭部を冷やすための氷枕や冷却シートを使うと、体温を下げて快適に眠りやすくなります

その他の対策

  • 水分補給:寝る前にコップ1杯の水を飲むことで、脱水を防ぎ、快適な睡眠をサポートします
  • 入浴:寝る1~2時間前にぬるめのお湯に浸かることで、体温を下げやすくし、入眠を促します
  • 照明:就寝の2時間前から照明の明るさを落とし、スマートフォンやタブレットの使用を控えると、メラトニンの分泌が促進され、スムーズに眠りにつきやすくなります

これらの対策を取り入れて、快適な睡眠環境を整えてみてください。お大事にしてくださいね。

メラトニンとは?

Copilotは適切な温度・湿度を実現するためにエアコン・除湿機・適切な寝具・冷却ツールを使うことを推奨したほか、睡眠前の水分補給、入眠前の適切な入浴、就寝前の照明の明るさを落とすことをアドバイスした。温度や湿度はエアコンの設定で、寝具は夏用寝具を用意することで実現できそうだ。

ここでCopilotの回答にある「スマートフォンやタブレットの使用を控えると、メラトニンの分泌が促進され、スムーズに眠りにつきやすくなります」という文章が気になったとする。Copilot in Edgeでインターネット検索を行う場合は、知りたいことを次々に質問していくというのがひとつの使い方になる。次はプロンプトに次のような質問を入力して会話を続ける。

メラトニンが分泌されると眠くなるのですか?

Copilot in Edgeは次のように回答している。

  • メラトニンが分泌されると眠くなるのかと質問する

    メラトニンが分泌されると眠くなるのかと質問する

はい、メラトニンが分泌されると眠気を感じるようになります。メラトニンは脳の松果体から分泌されるホルモンで、睡眠ホルモンとも呼ばれています。夜になるとメラトニンの分泌が増え、体温や脈拍、血圧が低下し、体が睡眠モードに移行します。これにより、自然な眠気が促されるのです。

メラトニンの分泌を促進するためには、夜間に強い光を避けることや、朝に日光を浴びることが効果的です。質の良い睡眠を取るために、メラトニンの分泌を意識してみてくださいね。

メラトニンの分泌を促す方法

Copilotの説明によれば、睡眠環境を適切なものに整えると同時に睡眠時にメラトニンがちゃんと分泌されるようにすることで入眠がスムーズになることになる。そうなると、どのようにすれば睡眠時にメラトニンが分泌されるのかの方法が知りたくなるので、さらに次のように会話を続ける。このように関連する質問を行っていくところがポイントだ。

夜寝るタイミングでメラトニンの分泌を促すような食品や運動習慣などがあれば教えてください。

Copilot in Edgeは次のように回答している。

  • メラトニンの分泌を促す方法を質問

    メラトニンの分泌を促す方法を質問

メラトニンの分泌を促すためには、以下の食品や運動習慣が効果的です。

食品

  • トリプトファンを含む食品: トリプトファンはメラトニンの前駆体であり、バナナ、卵、魚、大豆製品などに多く含まれています
  • ビタミンB6を含む食品: ビタミンB6はトリプトファンからメラトニンへの変換を助けます。赤身の魚や肉類、ナッツ類、バナナなどが豊富です
  • マグネシウムを含む食品: マグネシウムは体内の酵素の働きをサポートし、睡眠の質を向上させます。ナッツ類や緑色野菜に多く含まれています

運動習慣

  • リズム運動:一定のリズムで行う運動はセロトニンの分泌を促し、結果的にメラトニンの分泌を助けます。ウォーキング、ジョギング、ラジオ体操、ヨガなどが効果的です
  • 朝の散歩:朝日を浴びることでセロトニンの分泌が促進され、夜のメラトニン分泌が増えます。15分程度の散歩が推奨されます

これらの食品や運動習慣を取り入れて、メラトニンの分泌を促し、質の良い睡眠を目指してみてくださいね。

入眠につながりそうな食品を食べるタイミング

メラトニンの生成につながる食品があることが分かった。次はこれを食べるタイミングだ。食事を摂取するとなるとその摂取時間が重要になってくる可能性があるためだ。食事をするなら効果的な時間に食べたいので、その点についてさらに質問してみる。

上記食品は睡眠の何時間前に摂取すればよいですか?

Copilot in Edgeは次のように回答している。

  • メラトニンの生成につながりそうな食品を食べる時間帯について質問

    メラトニンの生成につながりそうな食品を食べる時間帯について質問

ここではスクリーンショットのみにするが、上記スクリーンショットを見てもらうと分かるように、どうも回答の内容が一般的に睡眠の何時間前に食事を済ませるべきかという回答になっており、メラトニンの分泌に関連する質問の答えになっていないように見える。質問の内容がシンプルすぎてコンテキストが伝わっていない可能性がある。

このようにCopilot in Edgeでの会話は会話が成り立っているようで実は成り立っていないということもあるので、回答には常に注意しておく必要がある。回答の内容が意図した方向ではないと感じたら、もう一度細かくプロンプトに指定して質問を行うことが必要だ。

入眠につながりそうな食品を食べるタイミング (再挑戦)

質問の意図が伝わるようにプロンプトに書く内容をちゃんと細かく指定するように変更する。ここでは次の質問をプロンプトに入力した。

先ほどリストアップしてもらった食品を摂取して入眠時のメラトニンの分泌を促すことを目指す場合、入眠の何時間前に先ほどリストアップしてもらった食品を摂取すべきですか?

Copilot in Edgeは次のように回答している。

  • メラトニンの生成につながりそうな食品を食べる時間帯について質問 (より細かく説明したもの)

    メラトニンの生成につながりそうな食品を食べる時間帯について質問(より細かく説明したもの)

メラトニンの分泌を促すために、トリプトファンやビタミンB6を含む食品を摂取する場合、理想的には寝る2~3時間前に摂取するのが良いとされています。これにより、体内でトリプトファンがセロトニンに変換され、その後メラトニンに変わるプロセスがスムーズに進行します。

また、消化の良い食品を選ぶことで、胃腸への負担を軽減し、リラックスした状態で眠りにつくことができます。例えば、バナナやナッツ類などは消化が比較的早いので、遅い時間に摂取する場合でも適しています。

質の良い睡眠を取るために、食事のタイミングや内容にも気を配ってみてくださいね。

Copilot in Edgeはメラトニンの分泌を促すことを目的とする場合には、トリプトファンやビタミンB6を含む食品を入眠の2~3時間前に摂取するのが良いと回答している。

消化吸収の複雑さやトリプトファンがメラトニンに変換されるまでのプロセスの複雑さ、個人差などを考えるとシンプルに入眠の何時間前が最適だということは難しいものの、摂取後のメラトニン分泌という観点から見ると先ほどのアドバイスはそれなりに説得力のあるものになっている。ただ、これら食品を習慣的に朝に食べてトリプトファンを安定的に供給し、体内のセロトニンレベルを維持することも長期的に見るとセロトニンおよびメラトニンのバランスを整えるために有益だと考えられてるので朝に食べてもまったく無駄というわけでもないと言われている。興味がある場合には自分でさらに詳しく調べるとともに、自分の身体の反応を記録しながら食事の調整をしてもらえればと思う。

質問を続けるスタイルに慣れる

Copilot in Edgeを使ってインターネット検索を行う場合には知りたいことについて続けて質問を行っていくというのがひとつのスタイルになる。Copilot in Edgeはコンテキストを加味してプロンプトの内容を理解し、それに対する回答を行うように努めてくれる。

ただし、それは常にパーフェクトというわけではない。会話が続いているように見えるものの、今回の例のように実際には質問の意図が伝わっておらず、異なる質問として理解して回答が表示されることもある。こういった会話意図の欠落は新しい大規模言語モデル(LLM:Large Language Model)を使うことで減っていくものと見られるが、原理的に発生するものであることは把握しておきたい。

それは人との会話を考えればよく分かる。一見すると会話が成り立っているように思える場合でも、お互いに思い違いをしていたということは日常的に起こっていることだ。これは生成AIチャットとのやりとりにおいても発生する。意図が伝わるように質問することを意識してCopilot in Edgeを使っていこう。

付録: ショートカットキー

ショートカットキー 内容
「Windows」+「C」 Copilot in Windowsの表示・非表示を切り替え
「Ctrl」+「Shift」+「.」(Microsoft Edge) Copilotパネルの表示・非表示を切り替え

付録: 対応バージョン

OS バージョン
Windows 11 Windows 11, version 22H2以降
Windows 10 Windows 10, version 22H2以降のProおよびHome

参考