今回は前回行った調査をプロンプトに指示する内容を変更して別の視点から行う方法を取り上げる。Copilot in Edgeの回答はプロンプトの指示に依存しており、どのような内容を指示するかで回答が変わってくる。回答にこだわらずにプロンプトの指定を変えながら異なる回答を得て検討していこう。
連載「Copilot in Windowsを使ってみよう」のこれまでの回はこちらを参照。
探し方で得られる情報は変わる
前回は体脂肪の燃焼を促すために摂取すべき栄養素について関連する学術論文を列挙してほしいといった内容でCopilot in EdgeにWebページの表示を指示した。前回の取り組みでは長くない有酸素運動の前に炭水化物を摂取しないことで体脂肪の燃焼が促される可能性があるという情報がヒットした。
前回の情報は運動することが前提であり、比較的短い有酸素運動の前に取るべき行動についてだったので、個人的には有効活用できるシーンがそれほど多くない。質問の仕方を変えて、別の使えそうな情報を検索してみる。
より活用できそうな情報を探す
今回はまず次のようにCopilot in Edgeに指示を出してWebページの列挙を指示する。
日常的に摂取することで体脂肪の燃焼を促す効果があるとされる栄養素やサプリメントについて教えてください。科学的根拠のあるものを選んでください。
ここでは次のような回答が得られた。
体脂肪の燃焼を促す効果があるとされる栄養素やサプリメントについては、以下のようなものがあります:
- L-カルニチン:L-カルニチンは、脂肪酸を細胞のミトコンドリアへ運ぶ役割があり、そこでエネルギーとして燃焼されます。運動と組み合わせることで、脂肪燃焼効果が高まるとされています
- 茶カテキン:緑茶に含まれるカテキンは、脂肪の分解を促進し、エネルギー消費を高める効果があります
- ビタミンB群:ビタミンB群は、脂質、炭水化物、タンパク質の代謝を助け、エネルギーの生成に関与します
- CoQ-10(コエンザイムQ10):CoQ-10は、エネルギー生成の過程で重要な役割を果たし、脂肪の燃焼を助けます
- α-リポ酸:α-リポ酸は、糖質の代謝を助け、インスリン感受性を改善することで脂肪燃焼を促進します
- アルギニン:アルギニンは一種のアミノ酸で、成長ホルモンの分泌を促進し、脂肪燃焼を助けます
これらの栄養素やサプリメントは、適切な飲み方と適度な運動と組み合わせることで、体脂肪の燃焼を助ける可能性があります。ただし、これらの栄養素やサプリメントだけで痩せるわけではなく、バランスの良い食事と適度な運動が基本となります。また、サプリメントを摂取する際は、信頼性・安全性が高いものを選び、自分の運動量やライフスタイルに合ったものを選ぶことが重要です。健康的な体重管理を目指す際は、医療専門家と相談することをお勧めします。
現在ファットバーナーとして販売されているサプリメントの主成分がひととおり列挙されたような内容になっている。Copilot in EdgeはMicrosoft Bingの検索結果をベースに情報をまとめている可能性が高く、現在販売されているファットバーナーやその解説サイトなどの情報などをとりまとめて上記データが生成された可能性がある。体脂肪燃焼に関してはさらに効果が高いものもあるが、インターネットが普及する前の段階に流行したものや、現在ではその成分の使用がサプリメントで許可されていないものなどは対象になっていないようだ。
根拠となる学術論文を挙げるように指示
最初の結果は妥当なものだと思うので、それぞれ根拠となるような学術論文をいくつか挙げるように指示を出す。
最初に挙げてもらった候補について、それぞれの根拠となる論文を列挙してください。英語の論文に限定してください。
もちろんです。以下に、各栄養素やサプリメントの効果についての科学的な根拠となる論文を列挙します:
- L-カルニチン:L-カルニチンは、脂肪酸を細胞のミトコンドリアに運び、エネルギーとして利用する役割があります 1 2
- 茶カテキン:緑茶に含まれるカテキンは、脂肪の分解と燃焼を促進する効果があります 3 4 5
- ビタミンB群:ビタミンB群は、脂質、炭水化物、タンパク質の代謝を助け、エネルギーの生成を促進します 6 7
- CoQ-10(コエンザイムQ10):CoQ-10は、エネルギー生成の過程で重要な役割を果たし、脂肪の燃焼を助けます 8 9
- α-リポ酸:α-リポ酸は、エネルギー代謝を助け、脂肪燃焼を促進する効果があります 10 11
- アルギニン:アルギニンは、成長ホルモンの分泌を促進し、脂肪の燃焼を助けます 12 13 14
これらの論文は、各栄養素やサプリメントが体脂肪の燃焼をどのように促進するかについての科学的な根拠を提供しています。ただし、これらの結果は個々の研究に基づいており、全ての人に同じ効果があるわけではないことをご理解ください。また、これらのサプリメントを摂取する前には、必ず医師や栄養士と相談してください。
それぞれの栄養素について取り扱った論文へのリンクが掲載されている(数字のリンクが論文へのリンクになっている)。興味がある場合にはそれぞれ各自調べてもらえればと思うが、ここでは日本において日常的に摂取することが簡単だとみられる「お茶」について深堀りしていくことにする。
緑茶カテキンについて情報を深堀りしていく
先ほどのCopilotは緑茶カテキンについて次のリンクを提示している。
- The Power of Antioxidant: Tea Catechin and Body Oxidative Stress | IntechOpen
- IJMS | Free Full-Text | Beneficial Properties of Green Tea Catechins
- How Green Tea Can Help You Lose Weight
それぞれの論文の概要をCopilot in Edgeに指示して表示させると次のようになる。
おおよそ欲しい情報について取り扱っているように見える。
緑茶カテキンの1日の摂取量について調べる
緑茶カテキンは最近のファットバーナーにはよく含まれている成分のひとつだ。当然緑茶を飲めば摂取することができる。そうなると、サプリメントを摂らなくても緑茶を飲めばよいわけで、1日あたりどの程度の量を摂取すればよいのかが気になってくる。
その点についてCopilot in Edgeに次のように指示を出す。
この論文では1日に摂取が推奨される緑茶の量について説明していますか? 説明している場合にはその量を教えてください。
それぞれ次のような回答が生成されている。
The Power of Antioxidant: Tea Catechin and Body Oxidative Stress | IntechOpen
はい、この論文では緑茶の推奨摂取量について説明しています。緑茶のカテキン(特にEGCG)の推奨摂取量は1日あたり約1グラムです。ただし、緑茶の過剰摂取(1日200〜400mg以上、または4〜8杯以上)は頭痛や吐き気などの副作用を引き起こす可能性があるため、適度な摂取が重要です。
IJMS | Free Full-Text | Beneficial Properties of Green Tea Catechins
この論文では、緑茶の摂取量について具体的な推奨は記載されていません。ただし、緑茶のカテキンが健康に与える影響について詳しく述べられています。緑茶のカテキンは抗酸化作用や抗炎症作用があり、特にがん予防に効果があるとされています。
How Green Tea Can Help You Lose Weight
このページには、緑茶の推奨摂取量についての具体的な記載はありません。ただし、緑茶の成分やその健康効果について詳しく説明されています。もし他に知りたいことがあれば教えてくださいね。
「The Power of Antioxidant: Tea Catechin and Body Oxidative Stress | IntechOpen」が緑茶カテキンの摂取量について言及しており、1日あたり約1グラムの緑茶カテキンを推奨している。本文を読んでみると推奨量は別の論文の言及に基づいているが、1日あたり約1グラムという説明が行われている。
緑茶に含まれる緑茶カテキンの量について調べる
1日あたりの緑茶カテキンの推奨摂取量が約1グラムという前提に基づいて、次は緑茶に含まれている緑茶カテキンの量について調べてみる。今度は表示されているWebページの内容に基づくものではなく、Web検索から情報を表示するように選択してからCopilotに次の指示を出す。
ペットボトルで販売されている緑茶500mlに含まれている緑茶カテキン(ECGC)の量を教えてください。
Copilotは次の回答をしている。
ペットボトルの緑茶500mlに含まれるカテキン(ECGC)の量は商品によりますが、一部の商品では以下のような含有量が報告されています:
- 「ヘルシア緑茶」: 500mlあたり約771mg
- 「お~いお茶『濃い茶』」: 500mlあたり約480mg
- 「伊右衛門『濃い味』」: 500mlあたり約270mg
- 「お~いお茶」: 500mlあたり約240mg
- 「伊右衛門プラス『コレステロール対策』」: 500mlあたり約200mg
500mlの緑茶ペットボトル1本で摂取量が過剰になることはなく、ものによっては2L飲んでも過剰になることはないということになる。常識の範囲内で飲む限り過剰な摂取になる可能性は低そうだ。
急須で緑茶を淹れた場合にどの程度の緑茶カテキンが生成されるのかについても聞いてみる。
急須で緑茶を淹れた場合の緑茶カテキン(ECGC)の量を教えてください。
次のような回答が得られている。
急須で淹れた緑茶のカテキン(特にEGCG)の量は、使用する茶葉や淹れ方によりますが、一般的には以下のような含有量が報告されています:
- 一杯(約200ml)あたりの緑茶には、カテキンが約100mg含まれているとされています
- これを基に計算すると、急須で淹れた500mlの緑茶には約250mgのカテキンが含まれると推定されます
ただし、これらの数値はあくまで一般的な参考値であり、具体的な数値は使用する茶葉の種類や品質、淹れ方により異なる可能性があります。また、カテキンの摂取量は適度にすることが推奨されています。過剰な摂取は副作用を引き起こす可能性がありますので、注意が必要です。
こちらもペットボトルの緑茶とそれほど大きな違いはないように見える。調べた情報を簡単にまとめると、常識の範囲内で毎日緑茶を飲むことでちょっとした脂肪燃焼効果が期待できるといった感じになるかと思う。
プロンプトへの指示を変えて多角的にアプローチする
Copilot in Edgeの回答は絶対ではないが時短につながりやすいことは間違いない。プロンプトに指示する内容を変えることで回答が変わるので、異なる視点から指示を出しながら異なる回答を得て、それらを検討していくというのはなかなか悪くないやり方だ。
Copilot in Edgeがどのような学習データに基づいて回答をしているのかユーザーは知ることができないため、回答内容のクオリティーに関しては自分で判断するしかない。しかしながら、同じ操作をCopilotなしで行った場合を考えると大幅な時短が実現できていることは間違い。どうすればCopilot in Edgeを活用して効果的な検索ができるのか、今がちょうどそのスキルを磨くときではないかと思う。
付録: ショートカットキー
ショートカットキー | 内容 |
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「Windows」+「C」 | Copilot in Windowsの表示・非表示を切り替え |
付録: 対応バージョン
OS | バージョン |
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Windows 11 | Windows 11, version 22H2以降 |
Windows 10 | Windows 10, version 22H2以降のProおよびHome |
参考
- Copilot in Windows & Other AI-Powered Features | Microsoft
- Copilot documentation | Microsoft Learn
- Adopt, extend and build Copilot experiences across the Microsoft Cloud | Microsoft Learn
- Bringing the power of AI to Windows 11 - unlocking a new era of productivity for customers and developers with Windows Copilot and Dev Home - Windows Developer Blog