今回もTOEICのスコアと共に、私の英語学習歴を振り返りたい。本棚を探してみたらTOEIC対策として購入したテキストが10冊ほど見つかったので、これらを紹介しようと思う。10年前の古い情報も含まれることはご承知いただきたい。

2000年10月に英語学習を決意したところで前回は終わった。10月にTOEICを受けていたが、当時のスコアは1年前に取得した815点だった。そこで、まずは860点を狙おうと思った。860点とはTOEIC運営委員会によると「Non-Nativeとして十分なコミュニケーションができる」という最高ランクのレベルAに分類される。いきなりここを目指そうという英語学習者は少ないと思うが、やることはそう変わらない。

当時の英語の全般的な学習法は、NHKラジオの『やさしいビジネス英語』『ラジオ英会話』を中心にしつつ、NHK教育テレビの英語番組を流し見ながら、英字新聞の『THE DAILY YOMIURI』をキオスクで買って語彙を増やす、というものであった。

TOEIC対策では『TOEIC最強の学習法』という本が、モチベーションを高める上で非常に役に立った。この中で語彙の覚え方として「スーパーソニック方式」というものが紹介されていた。「lament 悲しむ lament 悲しむ excavate 発掘する excavate 発掘する」という具合に自分で録音して聞きまくるという方法である。私も当時、MD(ミニディスク)に録音して通勤時に聞いていたものである。

MDといえば、当時、英語学習者の中では三種の神器のひとつだった。AB間リピートを簡単にできるのが強力な武器だった。今ではMDはMP3プレーヤに取って代わられた感があるが、iPodではAB間リピートができないので不満のある学習者も多いと思う。

……閑話休題。

「スーパーソニック方式」はいい方式だが、語彙は文脈で覚えるべきという考えがある。そこで編み出されたのが「スーパーリピート方式」だ。「TOEICの英単語〈2〉こうすれば速く覚えられる! 」という本では、日本語の文章の中に英単語が散りばめられており、文脈で英単語を覚えられるようになっている。たとえば以下のような文章である。

13. 離婚

lately、離婚率がincreaseしているが、子供の養育権のこと、compensationのことなど、courtで争うにしても示談で済ますにしても、お互いに理解し、compromiseできるまでにはconsiderableな時間がかかる。精神的に疲弊するのも無理はない。

……ルー語である。

語彙の他の本としては『TOEIC TEST必修1200語―スコア860レベル (4週間単語力強化プログラム (完全攻略編))』は、860点を目指すには、単語が難しすぎるので手が出なかった(注: 現在は新版が出ている→『新TOEIC TEST必修1200語スコア860レベル New Version対応』)。だが『DUO 3.0』は逆に簡単すぎた。本をよく見るとTOEIC 600 - 780が対象とあった。とはいえDUOは評判のよい本なので、レベルの合う人にはお勧めしたい。

そうこうしているうちに、2000年10月に受けたTOEICの結果が返ってきたのだが、それがなんと860点だった。今から目指そうとしていたスコアが実は取れていたとは! 出鼻をくじかれた感がして、ちょっとがっかりしたのが正直なところだったが、目標を900点に再設定し、さらなる高みを目指して登り始めた。

筆者のTOEIC遍歴。最高点955をマークしてからは徐々に下降中…再浮上はなるのか!?

その後はグラフを見るとわかるように、50点ほどガクンと下がるという波が2回ほどありながらも、2003年に900点を突破し、2006年には955点という自己最高点をたたき出したのである。

正直、私はそれほどTOEICに特化した対策をやってはいないが、お勧めしたい文法に関する本が、『TOEIC文法 急所総攻撃』と『TOEIC文法 鉄則大攻略』だ。この2冊は姉妹本なので両方やってほしい。両方で700ページあり、やり終えた充実感はかなりのものだ。

三日坊主で学習が続かないという人は、学習の記録をつけてはどうだろう。『TOEIC TEST英語学習ダイアリー』は毎日の学習の内容と時間を記録する手帳だ。継続は記録することから始まるのではないだろうか。

最近は、TOEICの受験が近づくと即効性のある教材『TOEIC Test 「正解」が見える【増補改訂第2版】』や『新TOEICテスト 直前の技術スコアが上がりやすい順に学ぶ』などで、付け焼刃的にスコアアップを狙っている。そしてテストを受けるたびに、今回は満点か!?と思うのだが……グラフから明らかなように、ここ3年というもの、スコアは下降中である。

これはいかんというわけで、自分がどこを間違っているのかを分析するために、『TOEICテスト新公式問題集〈Vol.3〉』を最近購入した。これはTOEIC運営委員会が出版する公式問題集だ。皆さんも、まずこの公式問題集で自分の弱点を調べることから始めてはどうだろうか。

著者紹介

本多義則 (Yoshinori Honda)

日立製作所勤務のIT系研究者。10年前に趣味と実益を兼ねて英語学習を再開以来、アナログからデジタルまであらゆるツールを駆使して英語学習に励んでいる。職場では「英語ができる男」と見られているが、実はそうでもない真の実力との差を埋めるべく、英語学習をやめられなくなっている。休みの日の朝は英語のメルマガ執筆にいそしむのが習慣。取得した英語関連の資格は、英検1級、TOEIC955(瞬間最大風速)、通訳案内士(英語)。座右の銘は「あきらめない限り必ず伸びる」。著書に『伸ばしたい!英語力―あきらめない限り必ず伸びる