今回から実作業に入っていきます。まずは、頭部から作り始めます。もっと正確に言えば、顔から。大きめに作りたいところですが、作り慣れているスケールが良いだろうと判断して1/7から1/9くらいを想定して造形を開始しました。エポキシパテの塊りを芯にして、2mmのアルミ線を通します
ここで、造形のための参考知識。この連載で、女性の造形は苦手と書いてきましたが、骨格的に見ると男女の差はほとんど無いそうです。頭部で言えば、女性の方が少しおでこが丸い程度だと聞いた事があります。ただ、男性らしさ、女性らしさをテンプレートに当てはめると自ずと差が出てきます。例えば、女性の方は全体的に丸みがあり、柔和な印象があります。デフォルトで、メイクした状態である事。目自体が大きいが、逆に口や鼻や顎は小さいという部分では、キャラ視点で言えば逆説的に骨格に差があることになってしまいます。キャラクターとして見た男女差は、キャラクターの描き方を解説した書籍などに詳しく記載されているので、ここでは省いて立体として攻めて行きます。
一般的に、横顔では女性の方がおでこと口元の距離が離れているようです。その方が、可愛くなると言われています。
同時に、下のラフ画のように、横からの顎のラインも写実っぽいと「a」で、キャラ性が強いと「b」のようになるようです。その辺りを踏まえて、写実とキャラの中間辺りを狙って着地点を探してみます。
いわゆる、リアルCG風の可愛い系がベターでしょうか。テレビ等では、当たり前になった「顔に影をつけないライティング」によって、若さや美しさを強調する手法がキャラものにも当てはめられています。これは、コミック等の描線のみで表現する媒体では、すでに実現済みの手法です。具体的に言うと、面の情報量を描線を限定する事で少なくするということです。順光の場合、線で描かれる部分は、面では凹になり影になるところなので、顔の凹凸をはっきりとさせない事で影の発生を防いでいるとも言えます。
下のラフ画で、示した部分(C)が影の出やすい部分なので、それを(d)のように修正します。谷の部分を埋めて、なだらかにする事で影が発生し難く、表情が和らぎます。これは、凹の部分だけではなく、凸の部分でも言える事です。凹でも、凸でも、とにかくエッジを無くすことが肝心です。
安藤賢司 |
フィギュアは顔が命! 次号も顔の造形を進めていく