年内には、最初のAndroid端末ラッシュの時にスマートフォンデビューしたユーザーの携帯電話キャリアによる「2年縛り」が解ける。よって、新端末の購入や機種変更をそろそろ考え始める人が出てくる頃だろう。また、「家族がスマートフォンを持っているから、そろそろ自分も」と考える人も増えてきているはずだ。今回は、そうしたこれから端末選びをする人に向け、Androidのバージョンについて紹介しよう。

Androidはバージョンごとにどれくらい違いがある?

そもそも、AndroidとはOSの名前だ。「Windows」と同じジャンルの言葉ととらえてもらいたい。つまり、「Android 2.3」は「Windows Vista」と同じような感覚で、OSの世代を表している。

ここまでくれば、PCをある程度使っているユーザーにはわかるだろう。バージョンが上がれば使える機能は増えるし、セキュリティは強化されるし、さまざまな処理がうまくいくようになる。

例えば、2010年末から日本で次々発売された端末の多くは「Android 2.0」もしくは「Android 2.1」を搭載していた。これらのバージョンの特徴は細かな部分における機能強化に加え、いろいろな画面サイズと解像度をサポートするようになったことだ。この機能のおかげで、スマートフォンにタブレットと、さまざまなサイズのAndroid端末が登場した。

また、2.2、2.3と進むと、メモリの使い方が上手になったため、ユーザーがこまめにアプリを終了させずに済むようになったし、複数カメラに対応したのでインカメラを搭載した端末も増えた。ただ、この辺りは同じ2.x系のマイナーバージョンアップだから、見た目にはあまり違いがない。大きく変わってくるのは次のバージョンだ。

Android 4.xってどんなOS?

2.x系はAndroid 2.3で打ち止めだ。スマートフォンなら、次のバージョンはいきなりAndroid 4.xになる。では、Android 3.xはどこへいってしまったのかと言うと、タブレットで使われている。

Android 2.x系を搭載したタブレットは、基本的にスマートフォンと同じことが大画面でできる端末だ。単純に拡大表示されているだけという部分も多い。これに対し、大画面を生かしたタブレット専用に開発されたのがAndroid 3.x系だ。だから、Android 3.x系を搭載したスマートフォンは基本的に存在しない。

そして、Android 4.xではまたタブレットとスマートフォンが融合する。このバージョンでは基本的にハードウェアキーが不要になり、ホームボタンやリターンボタンが画面内に表示されるバーチャルキーになる。もちろん、なかにはあえてハードウェアキーを搭載する端末も出てくるだろうから、ハードウェアキー派も期待しよう。

Android 4.xでも新たな機能が多々搭載されると言われているが、ごく小さな機能としては、スクリーンショットが標準でとれるようになる。これまで、一部の端末を除いて面倒な作業をしなければ、スクリーンショットはとれなかったが、4.xを搭載した端末では標準機能だけで簡単にとれるようになる。大きな機能としては、Bluetoothのプロファイルとして医療機器やセンサーと接続できる「HDP」や高音質オーディオデバイスと接続する「HDP」などがサポートされることが挙げられる。

画面構成やユーザーインタフェースも大きく変化する。もしかしたら、Android 2.xの知識だけでは戸惑う人も出るだろう。もしも今、まだスマートフォンを持っていないけれどそろそろ買ってみようかと考えているならば、少し待ったほうがよいかもしれない。すでにAndroid 4.0を搭載した1号機である「GALAXY NEXUS SC-04D」が登場しているが、世界的にも春以降に登場するハイスペック端末と夏以降の端末ではAndroid 4.0搭載モデルが主流になるだろう。どうせ買うなら最新のものがいいという人は、夏まで待ったほうが楽しめそうだ。

Android 4.0搭載の第1号機種はサムスンのGALAXY NEXUS

Androidをアップデートする方法は?

Android 4.xを搭載したスマートフォンを使う方法は、新しい端末の購入だけではない。手持ちのスマートフォンがバージョンアップできる可能性は十分にある。Googleからは、現在2.3が問題なく動いている端末ならば4.0も動くだろうというコメントが出ているのだ。

とはいっても、2.3が動いている全端末がAndroid 4.0にアップグレードできるわけではない。ハードウェアのスペック上もう限界という可能性もあるし、細かなカスタマイズが新OSではうまく動かないために簡単にはアップデートできないという可能性もある。

特にワンセグやおサイフケータイといった日本独自の機能を盛り込んでいるスマートフォンは、簡単にはアップグレードできない端末の代表だ。アップグレードできるとしても、十分な作り込みをしなければならないから、新OSの提供開始には少し時間がかかると考えられる。

ポイントは、アップグレードするための新OSはショップで売っているのではなく、端末メーカーが提供するということだ。よって、PCのように、「もしかしてムリかもしれないけど、とりあえず買って試してみる」といったことはできない。今後、自分の端末のAndroidがアップデートされるかどうかは、メーカーのサイトやニュースサイトで確認しよう。特に、海外メーカーはアップデートの予定があるかどうかを比較的早めに発表する。

さて、アップデートの具体的な方法も紹介しておこう。まず、端末の「この携帯電話について」や「端末情報」といった項目を探してみよう。さらに、これらの項目に含まれる「ソフトウェアアップデート」や「メジャーアップデート」という項目からアップデートを行うことができる。ちなみに、「ソフトウェア情報」や「ファームウェアバージョン」と書かれている項目に書かれているのが現在のバージョンだ。

大抵はOSがアップデートできるようになると、キャリアからお知らせのメールが届く。メールに具体的な手法も書いてあるはずなので、見逃さないようにしよう。また、アップデートできるからといって、必ずしもアップデート後も快適に使えるわけではないことに注意しよう。「一応アップデートはできるけれど、前のバージョンのほうが使いやすかった」ということもあるから、新しいモノ好きな人以外は、コミュニティサイトなどで同じ機種を使っているユーザーのクチコミを見てから決めるのもよいだろう。

「ソフトウェアアップデート」では定期的な自動チェックと手動チェックの両方が行える(Softbank 001HTの場合)

Androidの現在の情報は「ソフトウェア情報」の中で表示されている(Softbank 001HTの場合)