テナントのメールフローは最優先
当連載の第28回から、ユーザー毎のメールフローのルールの作成、ユーザー毎の個人用連絡先の作成について紹介しました。メールフローとは、送受信するメールをどうするか…メールを処理するルールを意味します。たとえば、受信メールを条件によって、自動削除する、自動返信する、特定のフォルダに仕分ける、などの処理が一般的です。
Office 365では、テナント管理者が設定するテナント全体に対するルール、各ユーザーが自分で好きな様に設定するユーザーの個人用ルールの2つのレベルで、メールフローを設定できます。連載第28回~31回では、各ユーザーが設定できる個人用のルールの設定を紹介しました。今回は、テナント管理者だけが設定できるテナント全体に対するルール作成を紹介します。
テナントのルールは個人のルールに優先します。たとえば、あるドメインからのメールをテナントのメールフローで削除する様に設定している時、個人のルールにかかわらず、そのサイトからのメールは削除されます。各ユーザーがそのメールを処理することはできません。
なお、Office 365のプランのうち、Small Businessファミリーのプラン…つまり、Small Business、Small Business Premiumについては、テナントのメールフローの機能を使用できません。Small Businessファミリープランについては当記事末尾のコラムをご覧ください。
Exchange管理センターを開く
特定のキーワードを含むメールを、他のメールアドレスに転送する設定を例に、メールフローのルールの作成を紹介します。Office 365のExchange Onlineではさまざまなルールを作成できますが、基本的には同じ手順になります。
作成にはExchange管理センターを使用します。Office 365に管理者権限を持つユーザーでサインインしたら、「管理者」をクリックし、Office 365管理センターを開いてください。 メールフローのルール作成画面を開くには2つの方法があります。
(1)Office 365管理センターの左サイドメニューで「管理者」→「Exchange」をクリックしてください。左サイドメニューの下の方にあります。
(2)Exchange管理センターの左サイドメニューで、「メールフロー」をクリックします。
もう一つの方法は、次の手順です。
(3)Office 365管理センターの左サイドメニューで、「サービス設定」→「メール」をクリックします。
(4)「カスタムのメールルール」をクリックします。
メールフローのルール作成
(5)Exchange管理センターの左サイドメニュー「メールフロー」をクリックし、上部メニューの「ルール」をクリック、そして、「+」(新規作成)ボタンをクリックします。ここではメニューの「新しいルールを作成する」をクリックします。
複数のメニューが表示されますが、基本は、汎用的な「新しいルールを作成する」メニューです。それ以外のメニューは「新しいルールを作成する」メニューに、それぞれの目的に合わせて、典型的な設定を自動的に設定してくれるに過ぎません。同じ機能で、既定値が異なるだけです。
たとえば、200KBより大きなサイズのメールの受信を拒否したいとき、「新しいルールを作成する」メニューをクリックすると、条件の選択肢から自分で「メッセージのサイズが次の値以上である」を選択します。しかし、「サイズによってメッセージをフィルタリングする」メニューをクリックすると、最初から「メッセージのサイズが次の値以上である」を条件設定した状態で、ルールの設定画面を開きます。
<ルール作成のメニューの一覧>
・新しいルールを作成する
・メッセージに権利保護を適用する
・免責事項を適用する
・スパム対策フィルターをバイパスする
・サイズによってメッセージをフィルタリングする
・機密情報が検出された場合に、インシデントレポートを作成する
・メッセージを変更する
・上司とその直属の部下に制限する
・モデレーターにメッセージを送信する
・メッセージを送信して確認用にコピーを保存する
(6)「ルールの新規作成」ウインドウが開いたら、「名前」に作成するルールの名称を入力し、「このルールを適用する条件」のドロップダウンリストをクリックして、「件名または本文に次の語句が含まれる」をクリックします。
(7)「単語または語句の指定」ウインドウが開いたら、メールの仕分けに利用する文字列を入力し、「+」をクリックして登録します。複数の文字列を追加登録できます。
(8)文字列の登録が完了したら「OK」をクリックします。
(9)条件に当てはまるメールをどうするかを設定します。「実行する処理」ドロップダウンリストをクリックし、「メッセージをリダイレクトする」を選択します。ここでのリダイレクトとは転送を意味します。
(10)誰にリダイレクト(転送)するのか、連絡先をクリックして選択し、「追加」をクリックします。複数の連絡先を追加登録できます。連絡先の追加ができたら「OK」をクリックします。
ここで利用できる連絡先は、テナントの共有連絡先です。ユーザーごとに作成できる個人用連絡先ではありません。(当連載の第32回、第33回参照)
Office 365では、メールフローのルールを作成する際、メールアドレスを直接入力することはできません。必ず、連絡先に登録してから利用します。一見面倒なようですが、メールアドレスを連絡先として管理することで、メールアドレスの誤入力による設定ミスなどを防止できます。
(11)設定を確認し、「保存」をクリックします。
なお、この画面で「その他のオプション…」をクリックすると、さらに詳細な設定を可能です。条件を追加したり、条件の例外設定をしたり、あるいは、ルールの適用を開始する日時を設定したりできます。
(12)ルールの作成が完了すると、リストに作成したルールが表示されます。作成済みのルールの変更(ペンボタン)、コピー(コピー紙ボタン)、削除(ゴミ箱ボタン)、優先順位の変更(↑↓ボタン)などは、対象となるルールをクリックしてから、それぞれのボタンをクリックして操作します。
以上で、ルールの作成は終了です。
メールフローを利用できないプラン
残念ながら、Office 365のプランのうち、Small Businessファミリーのプラン…つまり、Small Business、Small Business Premiumについては、テナントのメールフローの機能を使用できません。メニューにはメールフローが表示されるのですが、メニューをクリックしてもエラーが表示されるだけですので注意してください。
Small Businessファミリーのプラン、Midsize Businessプランはすでに新規契約を停止しており、後継プランとしてBusiness Essentials、Business Premiumという新Businessファミリープランが登場しています。Small Businessプランを新Businessプランにプラン変更することで、メールフローの機能を利用できるようになります。ただし、旧プランと新プランでは、機能や利用料金に違いがありますので、プランを切り替えることでどのような影響があるか、十分に検討してからプラン変更してください。旧プランに対して全機能・サービスの上位互換性があるわけではありません。
詳細は、以下のURLを参照してください。
http://community.office365.com/ja-jp/b/office_365_buzz/archive/2014/06/04/whats-new-may-2014.aspx
プランを変更するには、Office 365管理センターの左サイドメニューから、「課金」→「サブスクリプション」メニューをクリックします。