
中長期的にEV需要が高まることは予想されるが…
ソニーグループとホンダが、共同で進めてきた電気自動車(EV)の開発・発売を中止した。世界的にEV市場が減速する中、ホンダが巨額赤字を計上する見通しで、同社の四輪電動化戦略を見直したことに伴う判断だ。
両社は2022年9月に合弁会社「ソニー・ホンダモビリティ」を設立。第1弾モデル『AFEELA1』は年内に北米で納車する予定だった。その第1弾モデルに続き、第2弾モデルのEVについても中止を決めた。
EVを巡っては、昨年のトランプ米政権の発足以降、購入補助金の廃止や環境規制の緩和を受けて、EV需要が低迷。安値攻勢を仕掛ける中国勢との競争激化などもあって、〝脱・ガソリン車〟に注力していたホンダの経営を直撃。26年3月期に最大6900億円の最終赤字を計上する見通しとなった。
日本ではシャープも台湾の親会社・鴻海精密工業の技術協力を得ながら、EV開発を進めている。すでにコンセプトモデル『LDK+』を公開しており、26年度中に事業化するかどうかを判断する予定だ。
同社もEV開発を継続するかが注目される状況だが、新社長の河村哲治氏は3月31日に行われた記者会見で「全世界でEVの普及率は16%だが日本はまだ1%。そうした状況下、今は様々なシミュレーションをしている」と述べるに留めた。
一方、EVの参入が話題となった米アップルはすでに開発中止を決め、ガソリン車やハイブリッド車(HV)への回帰を決めた米ゼネラル・モーターズは昨秋にEV事業で約2400億円の損失を計上済みだ。
カーボンニュートラル(温暖化ガス排出量実質ゼロ)時代を踏まえて、中長期的にはEV需要が高まることは予想されるが、足元では需要が減速。ホンダはEVに振り切ったが、それが仇になった。その間、昨年のEV販売で首位だった米テスラをBYDが抜き、浙江吉利控股集団などの中国勢によるEV開発が急ピッチで進んでいる。
ホンダは5月に新たな中期経営計画を公表するが、HVへの回帰が鮮明となりそうだ。開発継続か、撤退か。今後も各社の判断が分かれることになる。