【 経済産業省 】過去最大規模の石油備蓄放出 ホルムズ封鎖、供給懸念に対応

経済産業省は3月、石油の国家備蓄と民間備蓄合わせて45日分の放出を開始した。石油備蓄の放出は、ロシアによるウクライナ侵攻後の2022年に実施して以来4年ぶりで、放出規模は過去最大となる。中東情勢の悪化に伴う海上輸送の要衝ホルムズ海峡の事実上の封鎖は、日本の原油調達に大きな影響を与えており、備蓄放出を通じて、ガソリンなど石油製品の安定供給につなげる。

 石油備蓄は1970年代のオイルショックをきっかけに始まった制度で、1月末現在で国家備蓄と民間備蓄、サウジアラビアやアラブ首長国連邦(UAE)など、産油国と連携して日本国内で保管する「産油国共同備蓄」を合わせて248日分ある。

 石油備蓄法では、石油の供給が不足する事態になった時に放出できることを定めており、2011年の東日本大震災時などを含めて過去6回備蓄放出を実施している。

 日本は現在、原油の9割超を中東諸国から輸入しているが、ホルムズ海峡の封鎖で原油タンカーの航行が困難となり、今後輸入量は大幅に減少することが見込まれる。

 政府は今回、民間備蓄15日分の放出を先行して開始し、その後に国家備蓄30日分を放出することを始めた。

 具体的には3月16日に石油元売り会社などに義務付けている備蓄量を70日から55日に引き下げた。26日には菊間国家石油備蓄基地(愛媛県)からの放出を皮切りに、11カ所の基地から順次放出を行う。また、国家備蓄は約850万キロリットルを石油元売り4社に約5400億円で売却する。

 他にも産油国共同備蓄の放出も初めて実施する。約5日分の放出を月内にも始める予定。ただ、イランと米国・イスラエル双方の攻撃の応酬は続いており、事態の解決は見通せない。

 経産省の担当者は追加の備蓄放出について「状況を見極めてやっていく」と話す。また、政府は米国や中南米などを念頭に、代替調達先の確保も急ぐ方針だ。

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