NECは4月7日、新たなイノベーション創出拠点となる「NEC Innovation Park(NECイノベーションパーク)」を玉川事業所内に新設したことを発表した。
オープニングセレモニーには、NEC 執行役副社長 兼 COOの吉崎敏文氏、執行役 Corporate EVP 兼 CAIO(チーフAIオフィサー)の山田昭雄氏が登壇。拠点での取り組み内容や特徴を紹介した。
加えて、NEC 取締役 代表執行役社長 兼 CEOの森田隆之氏、川崎市長の福田紀彦氏、東京大学総長の藤井輝夫氏らも駆けつけお祝いのメッセージを送った。
NEC Innovation Parkとは?15年ぶり新拠点の狙いと「4つの新結合」
「NEC Innovation Park」は、最先端技術と新規事業の開発、産学連携の共創パートナーやイノベーターなど、多様な人々との交流を促進する「知の創造の場」とも言えるイノベーション創出拠点としてオープンした。
研究員、エンジニア、デザイナーなど約4000人の従業員が集まるこの拠点は、研究とビジネスをシームレスにつなぐハブ機能を有しており、コンセプトは「新結合を起こし、変革を生み、世界へ広げる」。
「『NEC Innovation Park』は、玉川事業所において15年ぶりの自社ビルとなります。この拠点では『人と人』『人とテクノロジー』『ビジネスと社会』『テクノロジーとビジネス』というイノベーション創出のための4つの新結合を軸に、新たな価値を創出していきます」(吉崎氏)
「環境配慮型設計」を特徴としており、自動調光や高効率の空調システム導入、エネルギーの消費量を50%以上削減する、といったサスティナブルな点で最先端の施設となっている。
AIが人をつなぐ?「AIコミュニティマネージャー」とは何か
NEC Innovation Parkは、高層階に顧客やパートナーとの共創フロア、中層階にオフィスフロア、低層階にはNECの研究者や産学連携による実証実験に最適なラボ機能を設けたフロアという3つの層で構成されている。
5~10階の中層階フロアは、DXの事業開発・推進、研究開発、新規事業開発を担う組織のオフィスエリア。研究者とビジネスサイドのメンバーが物理的にも同じフロアに集結することで、活発な意見交換を促し、新たな視点やアイデアが生まれやすい環境を創出しており、さまざまな取り組みが行われている。
また高層階から中層階にかけて吹き抜け構造と内階段を設置することで、人々の流れを生み、思いがけない交流を誘発するなど、イノベーションを創出しやすい空間づくりを目指して設計されているそうだ。
特に注目したいのは、高層階の11・12階に設置されている、社内外との共創を意識した「Innovation Hub」のフロア。さまざまな大きさの会議室に加えて、マルチディスプレイと165型の大型ディスプレイを備えており、社内外100人規模のイベントを開催できるスペースが設けられている。
どんな仕組み?課題入力で「会うべき人」を見つけるAI
このフロアには、顧客のニーズや課題を入力するとNECグループの関係者とマッチングしてくれる「AIコミュニティマネージャー」が設置されているのもポイント。
「AIコミュニティマネージャー」は、従来のイノベーションプレイスの課題として挙げられていた「期待されているほど人と人がつながれていない」という悩みに対して、人と技術、人と人、人とプロジェクトをつなぐことで解決し、コラボレーションのきっかけを提供するシステム。
技術を軸に自分の活動を推進するための会うべき人の情報を知ることができるシステムで、「AIコミュニティマネージャー」を通して、その人とチャットで気軽に対話が開始できるという特徴も兼ね備えている。
何が変わる?顔認証やAIアロマなど最新オフィスの実験
山田氏によると、NEC Innovation Parkはビル全体がクライアント・ゼロの取り組みを行うリファレンスオフィスとして作られており、データドリブン経営の可視化、IoT技術の集約による環境制御といった取り組みが行われているという。
オフィスはどう変わる?顔認証やIoTによる“シームレス化”
まず、フロアの入退や売店レジに関しては、NECが推進している顔認証技術を用いて、社員証を持ち歩かなくても良いシームレスな体験を設計している。さらに、自社をゼロ番目の顧客とするクライアント・ゼロの取り組みとしてAIカメラの導入を行っている。
さらにIoTを活用した環境制御など、データドリブンなオフィス運用も進められている。
ここまでやる?AIアロマなど“人の状態”まで最適化
また特徴的な取り組みが従業員のパフォーマンス向上を目的とした「AIアロマ」という新しい試み。
これは、出社後にスマートフォンのカメラで自身の顔を撮影すると、AIが脈拍などのバイタル推定情報を非接触で読み取り、カレンダーに登録されているスケジュール表などと統合的に分析して、おすすめの「今日の香り」を提案してくれるというもの。
オフィスに設置されたアロマスポットからおすすめされたアロマを自席に持っていくことができるという実証実験だ。
なぜ今こうした拠点が必要なのか?NECの狙いを読み解く
近年、企業の研究開発拠点は単なる技術開発の場から、社内外の人材が交わる「共創の場」へと変化している。NECが導入したAIコミュニティマネージャーは、その象徴的な取り組みと言える。
人の出会いをAIで支援することで、イノベーション創出の効率化を図る狙いだ。
今後は企業やアカデミア、スタートアップとの連携を強化し、研究開発から事業化までのスピードを高めていく。






