急速なAIの社会浸透にデータセンターの需要が増加しているが、大規模な土地取得には取得費用や環境規制などコストが増加することがワールドワイドな課題として浮上している。これを大胆な発想で解決しようとする取り組みがスタートした。
3社が合意した世界規模でのデータセンター課題への秘策
商船三井、日立製作所、日立システムズの3社が先月30日に基本締結書の合意を発表した共同開発の取り組みは、中古船を改造して浮体式のデータセンターを開発・運用するもので、世界的にみても大規模な枠組みでの実用例はまだない。AIの躍進とともに増加するデータセンター需要だが、それぞれの国の事情により、多少の差はあっても、土地取得の費用のほかに、電力や冷却水の確保などの課題が世界規模でも生じている。
中古船を改造する"Floating Data Center"であれば、海水や河川からの水を活用した冷却システムや電力供給に着目した移動なども期待でき、初期コストの削減、環境負荷低減など幾重ものメリットを享受できる可能性がある。約54,000平方メートルの床面積を持つ自動車運搬船を活用した場合、日本最大級の陸上データセンターに匹敵する規模になるという。
商船三井が同社の実績をもとに港湾当局との調整や海上運用要件整理、資金調達スキームの検討などを担い、日立製作所と日立システムズは、データセンターの設計・建設・運用の技術検討、ネットワーク・セキュリティ等のITインフラ要件定義など技術的な側面のほか、マレーシアや米国でのデータセンター設備サービス提供の実績をもとに、現地知見の活用、顧客開拓協力など、ワールドワイドな展開も視野に入れる。2027年以降の稼働開始を見据え、基本仕様や運用手順の検討、事業化の検証と進める考えだ。
