Red Hatは2026年3月23日(米国時間)、「Red Hat OpenShift 4.21: Smarter scaling, faster migration, and AI-powered efficiency」において、オープンソースアプリケーションプラットフォームの最新バージョン「Red Hat OpenShift 4.21」の概要を解説した。
2月3日に一般公開された本製品は、AIトレーニングジョブ、コンテナ化されたマイクロサービス、仮想化アプリケーションの実行に重点を置いている。既存のITインフラを近代化し、コスト効率の高い単一プラットフォーム上でAIイノベーションを加速する特徴があるという。
AIトレーニングと分散処理を強化、GPUリソースを動的制御
今回のアップデートでは、運用側と開発側の双方に向けた機能が幅広く盛り込まれた。運用向けでは、分散処理を扱うJobSetオペレーターが導入され、既存のGitOpsワークフローとロールベースアクセス制御(RBAC: Role-Based Access Control)ポリシーを組み合わせた分散ワークフローのオーケストレーションに対応。AIトレーニングには新しい動的リソース割り当て(DRA: Dynamic Resource Allocation)が導入され、利用状況に応じたGPU割り当ての自動調整機能が提供されている。
AI関連機能としてはKubeFlow Trainer v2をサポートしたRed Hat Kueue 1.2を含む複数の新機能を導入。Red Hat OpenShiftインテリジェントアシスタントを使用すれば、仮想マシンのトラブルシューティングにAIを活用した洞察を得ることができる。
開発基盤も強化、AI資産とアプリを統合管理
開発向けには、Developer Hubのアップデートを提供。モデルコンテキストプロトコル(MCP: Model Context Protocol)とOpenShift AIコネクターの導入により、AI資産とソフトウェアカタログを統合的に扱える。この他にはローカライズ機能の搭載、ユーザーごとにカスタマイズ可能なホームページ、新しいクイックスタートオプション、インポート機能のGitLabサポートなどが追加された。
開発環境のDev Spacesでは、クラウド開発者向けに入れ子構造のコンテナをサポートし、従来必要だった代替手段を使わずに作業できるようになった。さらに、シンクライアントにローカルのVSCodeを使用し、処理をOpenShift側で実行する構成が可能となり、開発環境の柔軟性が増している。
サプライチェーン保護ではTrusted Artifact Signerが利用可能となり、改ざん防止や検証を行えるようになった。開発工程内のすべてのコンポーネントに対して正当性を確認することができる。また、Advanced Developer Suiteの一部であるSoftware supply chain 1.8が安全な開発環境の構築を支援する。
VM移行を高速化、既存環境からOpenShiftへスムーズに移行
今回のアップデートには、AI処理、開発基盤の強化、サプライチェーン保護、運用の自動化、外部環境との連携など、多方面にわたる改善が含まれている。今回紹介した内容以外にも多数の機能が搭載されており、アップデートの全リストは「Release notes | OpenShift Container Platform | 4.21 | Red Hat Documentation」から確認できる。
OpenShift 4.21への移行を望む企業には、VM移行の手順をステップバイステップで解説した「Migrate your VMs faster with the migration toolkit for virtualization 2.11」を参考に計画することが推奨されている。日立が実施した内部テストによると、Red Hatの仮想化移行ツールキットを使用することで、従来のネットワーク移行よりも最大で10倍高速に移行可能とされる(参考:「Replatform Faster: OpenShift + VSP One Storage Offload | Hitachi Vantara」)。
OpenShiftの不具合などは、「Issues · openshift/openshift-docs · GitHub」から報告することができる。Red Hatは今後もOpenShiftの改善を続け、エンタープライズ企業の取り組みを支えて行く方針だ。
