Malwarebytesは3月17日(米国時間)、「90% of people don’t trust AI with their data|Malwarebytes」において、同社が2026年初めに実施したAIツールに対するプライバシー意識調査の分析結果を公表した。AIの利便性とプライバシーリスクの間で、ユーザーの葛藤が浮き彫りになった。
この調査は2026年1月26日から2月3日までの約1週間、同社のニュースレター読者を対象にパルスサーベイ方式で実施された。72の国と地域、合計1235人から回答を得ている。回答は米国、英国、カナダ、オーストラリアのユーザーが多く、サンプリングの偏りに留意することが望まれる。
AIは広がる一方で「企業不信」は根強い
AIは緩やかに、しかし確実に日常生活のあらゆる場面に現れ始めている。さまざまな製品にAIが組み込まれ、企業は業務効率の向上に利用し、一般ユーザーはチャットボットとの対話、音声入力、Web検索、画像生成など幅広いシーンで活用している。
AIの利用頻度は上昇を続けている。その一方で今回の調査から、多くのユーザーがAIを信用していない実態が明らかになった。報告によると、回答者の約90%が同意のない個人データのAI利用に懸念を示したという。AIの普及は急速に進んでいるが、ユーザーの望まない形で導入が進んでいる可能性がある。
利用方法の調査では、回答者の多くがプライベートな情報の入力を避けることがわかった。さらにChatGPTやGeminiといった主要サービスの利用を停止した人も4割以上に達し、ユーザーの間で不信感が高まりつつある。この理由として入力内容の取り扱いの不透明さを訴える回答者が多く、企業の信用度の低さを物語っている。
不信の根底には、AI普及以前から行われているトラッキングや、データブローカーの暗躍、サイバー攻撃による個人情報の流出などがある。調査では回答者の49%が自身または家族に対する詐欺で個人情報が悪用されたと報告しており、実体験を通じて企業に不信感を抱いている状況が明らかになった。
4割が利用停止、ユーザーの“防衛行動”が拡大
流出した個人データを取り戻すことはできない。これは情報管理を許可していない組織などが保管するデータを消去する方法がないという現実的な問題だが、諦めているユーザーは減少傾向にあることがわかった。
調査によると、2025年は74%の回答者が諦めていると回答したが、今年は63%に減少したという。これは抵抗の意思を示したユーザーの増加を意味しており、何かしらの行動を起こしたとみられる。
その証拠として、SNSやAIツールの利用中止、または利用回数を減らしたと報告したユーザーが4割前後に達したことが報告された。一般的にアカウントを削除してもデータは消去されないが、この結果を期待した可能性がある。他にも個人情報の入力頻度の減少、オンラインで機微に触れる情報を避ける傾向も報告されている。
また、VPNや広告ブロッカーの利用増加、プライバシー保護ツールの利用の増加も報告され、情報の露出を抑える取り組みが進んでいる。これらは個人データを取り戻す取り組みではないが、新たな情報漏洩を防止するもので、プライバシーへの関心が高まった結果とみられる。
9割が規制支持、それでも解決しない理由
ユーザーの意識改革が進むにつれ、企業は法規制という課題に直面することになる。同調査で回答者の91%が法規制を支持していることが明らかになった。欧州ではすでに規制強化の流れが生まれ、米国でもガイダンスや警告が発出されたという。包括的な法制度は整っていないが、ユーザーは明確で実効性のある枠組みを求めている。
しかしながら法規制は実効性を伴わない場合や、即効性に欠ける可能性がある。そこでMalwarebytesは法規制にすべてを委ねるのではなく、ユーザーの意識的な防衛策の実施も必要と訴えている。
AIの進展と普及は今後も続くとみられているが、利用者の信頼が伴うかどうかは企業の姿勢に左右される。Malwarebytesは、個人データの保護とセキュリティは切り離せないと述べ、企業に透明性のある行動を求めている。
