Windows Centralは3月15日(米国時間)、「Microsoft scales back Copilot plans on Windows 11|Windows Central」において、Microsoftが2024年に発表したWindows 11へのCopilotブランド統合計画を無期限に延期したと報じた。

設定アプリ、通知、ファイルエクスプローラーなど、複数の標準アプリへのCopilot統合は、2024年後半に行われる予定だったとされる。しかしながら、その後も登場はおろかプレビュー版の発表もない状態が続いている。

Windows Centralはこの状況について、ある情報筋から得たという真偽不明の情報を伝えている。この情報によれば、MicrosoftはWindows Recallのリリース延期後まもなくCopilotブランドの統合計画を無期限延期とし、開発中だった他のAI機能の開発も中断したという。

  • Windows 11へのCopilotブランド統合計画の雲行きが怪しい 出典:Microsoft

    Windows 11へのCopilotブランド統合計画の雲行きが怪しい 出典:Microsoft

問題の発端となったAI機能「Recall」とは

RecallはCopilot+ PCの看板商品として発表された強力なAI機能だ。過去のユーザー操作および画面を記録し、AIによる操作記録の検索機能を提供する。Webブラウザーの閲覧情報の記録にも対応し、画面上のテキストや画像を認識可能とされる。

過去の出来事をふと思い出そうとしたときに役立つ機能だが、プレビューテストの段階でセキュリティがほぼ考慮されていないことが判明。プライバシー面での懸念が指摘され、Microsoftは対応に追われた。

Copilot統合延期の背景に「Recall」への反発か

こうした問題が、Windows全体のAI戦略にも影響を与えた可能性がある。

Windows Centralは、MicrosoftがRecallのリリース延期後まもなく、Windows 11へのCopilotブランド統合計画を無期限延期したとする情報筋の話を伝えている。さらに、開発中だった複数のAI機能についても一時的に開発が中断された可能性があるという。

これらの情報は公式に確認されたものではないが、これまで予定されていた機能の多くが実装されていない現状と整合しており、一定の説得力を持つとみられる。いう。

AIは“統合”から“分散”へ Microsoftの方針転換

Microsoftは、Windows 11におけるAIの提供方法を見直しつつあるようだ。これまで同社は「Copilot」というブランドのもとでAI機能をOS全体に統合する構想を掲げていたが、現在はその方針から距離を置き、機能単位での実装へと軸足を移しつつあるとみられる。

その変化はすでにいくつかの点に表れている。例えば、設定アプリに導入された自然言語による検索機能は、Copilotの名称を前面に出す形ではなく、個別のAI機能として提供されている。また、エクスプローラーについても、当初検討されていた常駐型のAI統合ではなく、外部アプリと連携する「AIアクション」メニューのような仕組みへと設計が見直されたとされる。

さらに、基盤技術の名称変更も象徴的な動きといえる。従来「Windows Copilot Runtime」と呼ばれていた仕組みは「Windows AI APIs」へと改称されており、Copilotという単一ブランドに依存しない形へと再編が進んでいる可能性がある。

こうした一連の動きからは、AIをOS全体に一体化させるのではなく、必要な機能を必要な場所に配置する「分散型」のアプローチへと転換しつつある姿が浮かび上がる。結果として、ユーザーはCopilotという存在を強く意識することなく、各機能の中で自然にAIを利用する形へと変わっていく可能性がある。

Microsoft、AI肥大化を見直しへ、Windows 11の評価改善狙う

この主張について、Windows CentralはMicrosoftに問い合わせを行い、次の回答を得たという。

「当社の製品開発のアプローチは、お客様にご体験して頂き、そのフィードバックに基づいて進化させることです。一部の機能は限定されたプレビューを行い、広く展開する前にアップデートを行う場合があります。また、Windows Insider Program参加者からのフィードバックを基に、公の場でプレビューと改善を繰り返す場合もあります。いずれの場合も、お客様からの意見を収集する過程で、機能の変更、削除、または置き換える可能性があります」

つまり、機能の提供は利用者の反応を踏まえて調整しており、テスト段階で変更や取り下げが行われることは珍しくないとの説明だ。とある情報筋の主張について否定せず、内容も矛盾しておらず、方針転換を暗に認めたと評価できる。

Windows Centralによると、同社はWindows 11に対する利用者の不満を重く受け止め、AI肥大化を抑制し、CopilotブランドやAI機能の表示について慎重に見直す方針へ移行したという。この取り組みはAI機能を排除するものではないが、有用な場所に限定したAIの導入と、オプション化を進めるとみられている。

基本ソフトウェアであるOSには、高い安定性や応答性、安全性が求められる。Microsoftがこれらの要件を優先しつつAI機能をどのように組み込んでいくのか、そのバランスが今後の評価を左右することになりそうだ。