富士通Japanと帝京大学医学部附属病院は3月16日、地域医療連携のさらなる強化に向け、入院や手術を必要とする重症患者をかかりつけ医から速やかに受け入れる前方連携や、入院・手術を終え退院する患者をかかりつけ医へ戻す後方連携において、医事システムおよび電子カルテデータを活用した情報分析や患者管理の仕組みの構築を目指す実証実験を開始することを発表した。
今回の実証実験では、帝京大学医学部附属病院の紹介患者受付や退院調整業務をデジタル化し、患者フローに沿って受け入れ状況を前方連携から後方連携までワークフローで一元管理する仕組みを構築する。
また、富士通Japanが提供する、病院経営の課題解決を支援するサービス群「HealthCare Management Platform」を活用することで、病院の経営状況や紹介患者の動向を可視化・分析し、地域連携における患者の受入予約や分析業務の効率化とデータドリブンな集患による受け入れ患者の増大を推進する。
HealthCare Management Platformは、富士通の社会課題を起点とする事業モデル「Uvance」のオファリングから提供する。
これにより、帝京大学医学部附属病院において地域連携業務を担う医療連携室の事務業務を従来の30%削減を目指すとともに、患者に対して適切なタイミングで質の高い医療の提供と医療資源の最適化に貢献するとのことだ。
実証の背景
日本の医療は少子高齢化により医療従事者が厳しい労働環境にさらされ、物価高騰の影響も受けて経営環境が厳しくなる一方、医療の高度化により医療ニーズは複雑性を増している。
持続可能な医療の提供に向けては、かかりつけ医と専門医の役割分担と連携強化を図り、適切なタイミングで患者を紹介し、高度な治療を提供後に再びかかりつけ医へ逆紹介を行い患者ケアを実施するという、地域での医療連携が不可欠となる。
国としても、医療DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進や地域での機能分化と連携を推進するため、2026年度診療報酬改定において評価や加算を設けている。
帝京大学医学部附属病院では地域(板橋区)の特定機能病院として年間3万人を超える紹介患者を受け入れており、また、継続的に講演会や医療機関訪問などを実施し、地域連携を推進してきた。
紹介患者の受け入れについては、患者や医療機関から毎日約200件の入電があり、FAXも含め最大8回線を活用しているが、特に他の医療機関からの緊急受診や転院依頼では、医師との相談など受付スタッフによる紹介患者の受入調整に時間と負荷がかかっており、外来や入院までに待ち時間が発生する課題があった。
実証実験の概要
本実証実験では、帝京大学附属病院の地域医療連携における業務について、「紹介患者の受け入れから退院調整におよぶ患者ワークフローのデジタル化による業務効率化」と「集患に向けてデータに基づく戦略的な施策の実行を目指した、HealthCare Management Platformの有用性の検証」を実施する。
紹介患者の受け入れから退院調整におよぶ患者ワークフローのデジタル化による業務効率化では、紹介受付や退院調整業務において、AI-OCR、電子ペーパーの導入により院外からの情報をデジタル化し、電子カルテや地域医療連携情報システムとシームレスに連携することで二重入力の解消をはじめとする業務効率化を目指す。
集患に向けてデータに基づく戦略的な施策の実行を目指した、HealthCare Management Platformの有用性の検証では、医事システムおよび電子カルテのデータを基に、HealthCare Management Platformにより紹介患者や連携施設の動向をタイムリーに可視化し、連携強化すべき施設を分析するとともに実際に施設を訪問することで、地域連携の強化を目指す。
訪問記録や結果は、SalesforceのAgentforce 360 Platformに登録・蓄積することで、連携施設のニーズを網羅した紹介実績の動向分析と施策立案への活用を目指す。
