
インバウンドに沸く航空業界。1日に国内外で何千便という航空機が飛び交っていますが、航空機の安全運航を実現するためには、様々な技能や役割を持つ人々の連携が欠かせません。航空業界で働く人の職種には、パイロットや整備士が思い浮かぶ人が多いと思いますが、それだけではありません。
お客様の貨物や手荷物を収納したコンテナを航空機に積み込む搭載スタッフや空港で離着陸する航空機を所定の位置に案内する誘導スタッフ、出発地や到着地の空港でお客様をご案内する旅客スタッフ、空港内の倉庫で航空貨物の授受や積み付けを担当する貨物上屋スタッフなど航空輸送における空港地上支援業務を総称する「グランドハンドリング」(通称グラハン)という職種も決して欠かせません。
グラハンに従事する人は全国に約4万7千人(会員従業員数)いますが、部門によっては、雨の日も雪の日も屋外で業務を遂行し、厳しい環境下で運航を支えています。これらをはじめとする各種課題により、グラハン業界でも人手不足に直面することとなり、現在も地域によって人手不足が続いています。
そこで2022年11月に結成した「グランドハンドリング連絡会」をベースに、会員事業者が連携し、グラハン業界共通の課題の解決を通じて事業者の経営基盤の強化を図ると共に、グラハン業界の持続的発展と日本経済の発展に資することを目的として、23年8月25日に設立されたのが当協会になります。
当協会は空港業務に関する基礎的データの収集・分析をはじめ、資格や車両仕様などにかかる業界ルールの整備、カスタマーハラスメント対策、労使間の対話などを主な取り組みとし、これまで競合関係にあったグラハン事業者同士が連携し、共通の課題に取り組んでいます。
また、航空関連会社の企業内労働組合により組織された航空連合とも課題認識をすり合わせています。今年も1月23日に、3回目となる当協会との産業内労使懇談会を開催。かねてよりグラハン業界は多重下請け構造となっており、適切な賃上げをしにくいとの指摘がある中、国土交通省が25年末に策定した指針をもとに、空港の現場で働く人材の処遇改善で協力することを確認し合いました。
航空連合の小林茜会長からは「適正な取引を推進し、労務費の上昇分を適切に価格に転嫁することで持続可能な産業構造を目指す」という姿勢を示していただくと共に、外国の航空会社への働き掛けが課題であるという認識が一致していることも確認できました。
適正取引がしっかりと守られれば、企業が処遇改善するための原資を確保し、従業員への還元が実現します。もちろん、何よりもまずは我々グラハン事業者自身が環境改善や生産性向上、処遇改善に努力することが必要です。当協会も知恵を絞っていきたいと思っています。
現場の最前線で働くグラハン人材を守らなければ航空産業は持続可能なものにはなりません。そのためにも働く人たちの安全を確保する「目に見えるハード」を整備し、「目に見えないルール」を整備していくことも役割の1つと考えています。前者で言えば、重労働の作業を自動化する装置に置き換えることなどが挙げられますし、後者で言えば空港ごとに業務は同じでも資格が異なるといったルールの平準化などが挙げられます。
飛行機に乗って安全・快適に空を移動する─。その当たり前な世界を維持していくためにも、業界一丸となって課題解決に向かっていきます。