平山美聡・NOMAL ART COMPANY代表の 「人生の転機」【アートが生活に溶け込む サンフランシスコでの経験】

当社はオフィスや駅構内でアーティストが壁画を描く壁画事業と、通販事業、アート思考を学ぶワークショップ事業などのサービスを展開しています。

「アーティストとビジネスマンの距離をもっと縮めたい」─。この思いから、6年勤めた資生堂を辞め、友人の松本祥太郎と起業したことがまさに人生の転機でした。

 起業の原体験は、サンフランシスコで過ごした時間にあります。街中にはたくさんの壁画アートがあり、洋服店の中で絵や置物のアートが売られていて、アートが自然と生活の中に溶け込む風景を目にしました。

 ある日サンフランシスコの街を散歩中、偶然入った洋服店で、あなたもアート描いてみる? と突然店員さんに声をかけられました。

「え? 一般人のわたしが描いてもいいの?」と驚きつつ描かせてもらい、すごく緊張しながら絵を描いたのでした。

 滞在中、目に映るものすべてにアートが散りばめられていることに気づき、アメリカというのは、人が表現することに対して寛容な国なんだと。日本にもこういったアートが日常に溢れる風景をつくりたいと思い、帰国後すぐにアートの通販事業に取り掛かりました。

 コロナ禍以降、人の価値観が変わり、オフィスの在り方も大きく変わりました。オフィスが変化する中で、社内にアートを取り入れようという動きも加速しており、壁画事業が伸びています。

 仕事において、優秀な人が論理を突き詰めると行きつく先はみな同じ結論です。そこで最後に差別化できるのは、人ならではのユニークさ。そうした流れから、今はエリートビジネスマンこそ、アートに興味関心を持つようになってきていると感じます。

 最近では大企業からのワークショップの依頼も多く、NEC、パナソニック、明治、JR東……本当に多くの企業さんから依頼をいただくようになりました。どの企業も共通して「ルーティンワークで枠に収まっている人たちの発想力を伸ばしたい」といった経営課題を抱えています。

 サービスの1つとして提供しているアートシンキングワークショップは、アーティストの思考回路を学び体感することで、自分の枠を超えたクリエイティブな発想を掘り起こすというものです。

 アーティストが作ったアートに触れたり、アーティストと話したりすることで、イノベーティブなビジネスへのヒントになります。いろいろな産業とコラボレーションしてビジネスマンに新たな発想を持ってもらい、少しずつ社会に変革を起こしたい。当社が、アーティストとビジネスマンをつなぐ架け橋になっていければと思います。

実際にそのお店で描いた絵(写真左が本人)