ダッソー・システムズとNVIDIAは2月3日(米国時間)、産業横断的でミッションクリティカルなAIの共有型インダストリアルアーキテクチャの構築に向け、長期的な戦略的パートナーシップを結んだことを発表した。
このパートナーシップは、2月1日~4日にかけて米・テキサス州ヒューストンで開催中のダッソー・システムズが主催する年次イベント「3DEXPERIENCE World 2026」にて行われた、ダッソー・システムズのパスカル・ダロズCEOとNVIDIA創業者のジェンスン・フアンCEOによる基調講演内で明かされた。
両社のツールを活かし領域横断的なシナジー創出へ
昨今の産業界において、バーチャルツインと大規模かつスケーラブルなAIインフラを組み合わせた産業用AIアーキテクチャはもはや不可欠なものとなっており、その役割は一時的なソリューションではなく、ミッションクリティカルなシステムとして位置づけられている。
そうした中、ダッソー・システムズが構築しNVIDIAが加速させるとする3DEXPERIENCEプラットフォームでは、生物学・材料科学・工学・製造などさまざまな領域における価値創造に貢献しており、特に近年では“バーチャルコンパニオン”を通じてエンジニアのワークフロー改革を実現している。
そして両社は今般、横断的かつミッションクリティカルなAIの実現に向けた戦略的長期パートナーシップ締結を発表。ダッソー・システムズのバーチャルツイン技術に、NVIDIAが誇るAIインフラやオープンモデル、高速化ソフトウェアライブラリなどを組み合わせることで、3DEXPERIENCEプラットフォームを活用した新たなワークフローを確立するとともに、科学的検証に基づいた産業向け“ワールドモデル”を構築し、利用者にさまざまなメリットを提供するという。
なお具体的には、ダッソー・システムズが同社傘下のクラウドブランド「OUTSCALE」を用いて展開する“AI Factory”について、3大陸にまたがるNVIDIAのAIインフラ活用を加速させ、3DEXPERIENCEプラットフォームにおけるAIモデル運用の機能追加を実施するとのこと。またNVIDIAとしては、AI Factoryの設計においてダッソー・システムズの“Model-Based Systems Engineering”(MBSE)を採用し、NVIDIAが発表した次世代AIプラットフォーム「Rubin」に始まり、大規模化に向けて「NVIDIA Omniverse DSX」への統合を進めるとしている。
生物学や材料研究において期待されるのは、NVIDIA BioNeMoプラットフォームとダッソー・システムズが提供するBIOVIAの融合による、新分子や次世代材料の探索の加速とのこと。またSIMULIAによるAIベースのバーチャルツインシミュレーションには、NVIDIA CUDA-XライブラリおよびAI物理ライブラリを活用して正確かつ即時性の高い結果予測を可能にするといい、グローバル生産システムのDELMIAを通じたバーチャルツインは、NVIDIA Omniverseの物理AIライブラリを統合し、自律的かつソフトウェアドリブンな生産システムの実現を後押しするとした。
またダッソー・システムズは、すでに実装済みの「AURA」に続くバーチャルコンパニオン「LEO」「MARIE」を発表しており、それらをNVIDIA NemotronオープンモデルをはじめとするAI技術と統合させることで、各産業特有の文脈も参照できる信頼性の高いエージェントとして、実用的な知見を提供するなどユーザーを強力に支援するという。
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今回のパートナーシップ締結により、シミュレーション(左上)や生物学的解析(右上)、ファクトリーオートメーション(左下)、そしてデータセンター(右下)などでのAI活用深化が期待される(出所:NVIDIA)
両社は今回の発表に際し、これまで四半世紀ほどにわたって2社間で築かれた協業関係に基づいて、ダッソー・システムズが有するバーチャルツインファクトリーとNVIDIAの全産業向けAI技術という特有の技術を組み合わせることで、インダストリアルAIの在り方についての長期的なビジョンを共有し、協業関係のさらなる強化に繋げていくものとしている。
なお発表が行われた基調講演の中で、NVIDIAのジェンスン・フアンCEOは「水資源・電力などと並んだインターネットのように、AIは現代の産業基盤であり、インフラになっている」と話し、「今後も拡張が予想されるAIインフラを備えるためにはバーチャルツインが不可欠であり、そして高性能コンピューティングも必要となる」としつつ、「ダッソー・システムズのバーチャルツイン技術は、今回の連携によってNVIDIAのコンピューティングインフラを基盤として構築されることとなっていく」と語った。


