
日本のエンタメの強さは ゼロから1を生む力!
─ セガサミーホールディングス社長の里見治紀さん、エンタテインメント産業の役割とは何ですか。
里見 私は平和産業という言い方をしています。東日本大震災やコロナ禍のような緊急時には、エンタテインメントは「不要不急産業」と言われかねないビジネスです。
東日本大震災で停電になったとき、電気がないので当社のエンタメを提供することはほとんどできなくなりました。当時は、「こんな大変な時にゲームセンターを開けるのか?」などと言われたこともありました。
しかし当時社長だった父(里見治氏=現会長)は、こういうときこそ、心の安らぎを提供するのがエンタメなんだと。こういうときだからこそ、逆に我々のビジネスを止めないで、お客様にエンタテインメントを提供するんだという話をしていました。
私は「平和だからこそ、皆がエンタテインメントを享受できているんだ」と言っています。極端なことを言うと、エンタメを楽しみたいから戦争を起こさない。その意味では、エンタメには戦争を止められるぐらいのパワーがあるのではないかと思っています。
─ そういう意味では、自分たちの存在意義とは何かを考えさせられる話ですね。
里見 ええ。当社には「Mission / Purpose」がありまして、日本語で存在意義と言っています。それは「感動体験を創造し続ける」ことであり、当社の役割として定めています。これができれば、お客様から「世の中にあっていい会社だね」と思っていただくことができると信じています。
─ 日本のアニメやエンタメは世界的評価も高いですが、改めて、日本の強さはどんなところにあると考えますか。
里見 世界で言われている日本の強さは、ゼロから1を生む力です。漫画はあらゆるエンタメの起点となっています。またゲームもオリジナル作品をゼロからつくるなど、創造性に富んだ作品が多くあります。
ハリウッドは今、ゼロから1をつくるのにすごく苦労していて、ゲームやアニメを原作にした、原作ありきのコンテンツが増えています。世界中にあるマスコットを想像してもらえれば分かると思いますが、動物など実在するものを擬人化したものが多いですよね。
しかし、『ミャクミャク』(大阪・関西万博の公式キャラクター)が良い例で、日本のキャラクターは何かをモチーフにしたものではなく、ゼロから生み出したものです。それが世界で評価されているということです。これからも当社は「感動体験を創造し続ける」ということにこだわってビジネスしていきます。