
企業は更なる成長投資が必要だ
─ 株価は好調の一方、世界で先行き不透明感が漂う中ですが、野村ホールディングス会長の永井浩二さん、26年をどう展望しますか。
永井 実体経済は、長年のデフレからなかなか抜け出せなかったところから、「アベノミクス」を経て、ようやく抜け出そうとしています。為替水準の行方によって少し変わるかもしれませんが、企業業績も概ね堅調であり、全体的には非常に良いモメンタムに入っています。
一方、高市政権が経済対策を打とうとしていますが、アベノミクスが始まった13年当時は政策を総動員してデフレから脱却しようとしていたものの、今の経済状況は当時とは異なりますので、財政出動と財政規律のバランスをとった運営が重要とみています。
─ 今の状況下で経営者として意識すべきことは?
永井 過剰流動性で、行き場を失った資金が世界中に溢れていることには注意する必要がありますが、デフレからインフレに変わりつつある中、「賃金と物価の好循環」の流れを実現できれば、非常にいい形になります。
また、15年に東京証券取引所が「コーポレートガバナンス・コード」を公表しましたが、この10年で日本企業の総還元性向は倍以上になっています。ただ、その間、人的投資を含む成長投資がおろそかになった面もありますから、今の企業経営者は成長投資のモメンタムを加速させていく必要があります。
─ 株価の動向をどう見ていますか。
永井 これまで日本株は非常に割安な状態が続いてきましたが、今は日経平均株価のPER(株価収益率)が18倍程度と、フェアバリューに戻って来たという印象です。先程申し上げた成長投資が今後加速していけば、まだ上昇余地はあるでしょう。
─ 政府の「資産運用立国」の政策もあり、多くの人が投資するようになりました。
永井 証券業界に40数年いますが、政権が投資促進にここまで本気になったのは初めてであり、今後もこの流れは続くと思います。新NISAを含め、制度面で改善すべき点はあるのだと思いますが、仕組みができ、資産形成層が投資するようになったのは非常に良いことです。
ただ、日本がやや遅れているのは国民の「金融リテラシー」です。これまで日本は金融教育に関して、あまり積極的ではありませんでしたが、1人ひとりの生活を守るにあたり必要なことです。
ようやく「金融経済教育推進機構」が設立されるなど、政府も本腰を入れています。緒に就いたばかりですが、着実に進める必要があります。