
財政懸念で長期金利上昇
「失われた30年」から脱却した日本経済は、持続的な回復軌道に乗れるかどうかの分岐点にある。カギを握るのは日銀の金融政策。2025年12月の金融政策決定会合では政策金利を年0.75%に引き上げた。1995年以来の水準で、30年越しで「0.5%の壁」を遂に突破した。ただ、行き過ぎた円安の是正とインフレの抑制はなお見通せておらず、金融政策の正常化は道半ばと言える。
総裁の植田和男氏は12月会合後の記者会見で「経済・物価情勢の改善に応じて、引き続き金融緩和の度合いを調整していく」と強調。景気を熱しも冷ましもしない中立金利を念頭に利上げを進める考えを示した。
だが、次の利上げは1%の大台となるだけに経済や市場に与える影響は大きく、国内外の経済動向を注視して慎重にタイミングを探る必要がある。
一方、債券市場では日銀の利上げ継続と、高市政権の政策による財政悪化懸念を材料に国債が売られ、12月22日には長期金利の指標となる10年物新発国債の利回りが2.1%に上昇、約27年ぶりの高水準となった。
GDP(国内総生産)の2倍を超す借金を抱える日本は、長期金利の上昇が続けば、国債の利払い費が膨張し、財政運営が一層圧迫される恐れがある。量的引き締めを進める日銀は、長期金利の動向にも注意を払わざるを得ず、利上げペースを加速できない足かせとなっている。
利上げを急がないハト派姿勢を示せば、円安に歯止めがかからない一方、利上げを急ぐタカ派姿勢を示せば、高市政権の財政運営に対するハレーションを大きくするジレンマがある。
今後の焦点は、日銀がいつ次の利上げに踏み切るか。市場では今年夏場と予想する声が多い。ただ、海外情勢や市場の動向次第ではこのシナリオも根底から揺らぎかねない。
日銀にとって最悪の展開は、利上げ先送りの結果、金融政策が後手に回る「ビハインド・ザ・カーブ」に追い込まれること。
ウクライナ戦争は続き、中東も不安定な中、米政権のベネズエラ攻撃と世界は混沌。そういう中での金融のカジ取りだ。
そうした状況下、26年は最大の使命である経済・物価の安定化に向けた正念場となる