
中国向けに輸出された日本産食品などの通関手続きに遅れが生じている。台湾有事を巡る高市首相の国会答弁の対抗措置とみられ、日本への経済的威圧は強まる一方だ。
関係者によると、日本酒や食品などの通関手続きの際、これまで不要だった書類の提出が求められたり、一部を対象としていた手続きが商品全般に拡大されたりしているという。
「我が国の農林水産物・食品の海外輸出が円滑に行われることが何よりも重要だ。状況を注視しつつ、必要な対応を行っていきたい」
鈴木憲和農林水産相は、1月9日の記者会見でこう述べるとともに、中国当局とは普段から必要なやりとりを行っていると強調した。
鈴木憲和・農林水産相
中国では日本産食品の人気が高い。中国向けの農林水産物・食品の輸出額は、ピーク時の2022年に2782億円(前年比25.1%増)となり、10年前に比べて6.8倍に拡大。21年から3年続けて世界トップに立った。
しかし、23年8月に東京電力福島第一原子力発電所の処理水が海洋放出されると、中国政府は反発して日本産水産物の輸入停止に踏み切った。ホタテが中国向けの主な輸出品だったこともあり、24年の輸出額は米国、香港、台湾に次いで4位に後退した。
日中両政府はその後協議を重ね、25年11月にホタテの輸出再開にこぎつけたものの、直後の衆院予算委で高市首相の台湾有事を巡る国会答弁に中国政府が反発し、水産物輸出は再び暗礁に乗り上げている。
日中関係の悪化は深刻化しており、12月には、中国の戦闘機が日本の航空自衛隊機にレーダー照射を断続的に行う事案が発生した。
年明け以降も、中国は日本に対する軍民両用製品の輸出管理を強化することを明らかにした他、携帯電話やパソコン、電気自動車(EV)などのハイテク製品の製造に不可欠なレアアース(希土類)を対象に加えたとの一部報道もあり、幅広い業種に影響が広がる可能性もある。
