BEYOND AGE代表取締役・市原大和が語る「ギャップのあるシニア転職 日本の活力を取り戻したい」

シニア層の活用─。人手不足の折、女性活用と並んでこの言葉が使われていますが、特にシニア層のホワイトカラーの転職は決して簡単なものではありません。2022年創業の当社はシニアの転職・独立支援を行っていますが、私の肌感覚としては300社に応募しても面接にさえ進めず、「こんなはずではなかった」と悔やむ方々の姿を何度も見てきました。

 この最大の原因はミスマッチにあります。つまり、大企業で役員を経験したシニアの方々は大企業のときの待遇や仕事の進め方などを前提にしますが、シニア層を雇用しようとする中小企業が求めるのは即戦力です。

 シニア層の培ってきた知見や経験、ノウハウ、人脈を生かしたいと考えるのはもちろんですが、何よりも中小企業の経営者が最も求めるのは売り上げです。「事業計画が甘い」「組織体制が整備されていない」といった机上の空論よりは、会社の製品1つでも売ってくれるという成果を欲しがっているのです。

 企業の雇用延長義務が60歳から65歳となり、21年4月には70歳までに努力義務化。さらに25年4月には65歳までの雇用確保が完全義務化されました。しかしながら、大企業による50代の希望退職の募集など、シニア世代はもちろん、その手前の年齢層の人々に対する余剰感が高まっていることは事実です。同じ1人の人材を雇用するにしても、やはり20~30代の若い人を採用したいと思うのは、どの企業でも同じです。

 さらにこのミスマッチの歪はマッチング後でも顕在化しています。前職の大手企業にはあったマニュアルや手厚いサポート、大企業ならではの地ならしなど、シニア層には当たり前に思っていた仕組みが転職先の中小企業には、そもそもそういった仕組みが存在しておらず、不満を抱えるといったケースです。

 中小企業側もシニア層の持つ人脈などを駆使して自社の製品やサービスを売ってもらえると期待してシニア層を採用したものの、売り上げは1円も立たず、あれこれ薀蓄ばかりを並べる。結果、2~3カ月で辞めてしまうのです。

 私はシニア層側の意識改革が必要だと強く感じています。まずはこれまでの自分の常識は通用しないという強い覚悟が求められます。収入も現役時代の半分以下になるといったことも想定しなければなりません。そして、まずは企業側が求める売り上げを実現させることです。

 当社はこれまで3000人を超えるシニア層の転職を支援してきました。また、顧客企業への顧問紹介やシニアの研修なども行っています。これらの取り組みを通じて感じるのは、常にシニア層にも緊張感が求められるということです。顧問契約も長期間の契約ではなく、6カ月ごとの更新契約が主です。だからこそ、自らの緊張感も醸成され続けるのです。

 しかし、失敗例ばかりではありません。92歳になっても人材サービス会社で働き、年収2000万円を得ている人もいます。人生の最後を迎える直前まで働くことで、自分の生活費を稼ぎ、働くことで健康を保ち、国の税金や医療費に頼らない生活を送るシニアの人もいるのです。

 私は東京海上日動火災保険で15年間働いて独立。19年に社内のビジネスコンテストで優勝したこの事業をローンチさせて22年に起業しました。シニア層の活躍は日本の成長に欠かすことができない要素であることは間違いありません。しかし、そこにはギャップが存在します。このギャップを解消させていくことこそ、我々の使命なのです。

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