
旅行会社が手掛ける通信サービス─。旅行会社であるエイチ・アイ・エス(HIS)グループが通信事業者・日本通信の回線を借りてモバイル通信事業を立ち上げたのが2018年。
当時はまだ契約者情報が記録されたICチップ付きの小型カードを格安で提供する「格安SIM」が一般的ではなかった時代に、HISは日本通信さんからお声がけをいただいて、両社のジョイントベンチャーという形で当社が発足・船出しました。
通信業界では異業種かつ後発組である当社がどのようなサービスを提供できるのか。会社設立から8年弱という年月が経過する中で、当社も試行錯誤を繰り返していきました。その中で導き出した立ち位置は〝通信商社〟。どの通信キャリアにも属さず、常に中立的な立場で様々な通信キャリアのサービスを選りすぐってお客様に提供できるという立ち位置になります。
主力事業は格安SIMの販売になりますが、具体的には現在の事業としては3つあります。
1つ目は国内の個人向けです。この場合、格安SIMの提供だけでなく、スマートフォンやモバイル端末、周辺機器の販売、さらにはイベント時のレンタルといったサービスになります。
2つ目は国内の企業向けです。法人用のSIMプランで通信費の削減の提案をはじめ、パソコンやタブレット端末向けのデータSIMをセットで販売したり、IoTや監視カメラなどセキュリティ関連で使うSIMカードの提供なども行っています。この2つのサービスにおける当社の強みは「価格」です。
HIS自体、日本人にとって価格の面で手の届きにくかった海外旅行で格安という新しい価値を提供して成長しました。この思想を通信サービスにも取り入れており、電話番号付きで高速通信も可能なプランを月額280円から提供しています。
3つ目は旅行者向けです。中でも海外Wifiのレンタルや海外SIMカードの提供、翻訳機など旅行にまつわるモバイル端末のレンタルや販売を手掛けています。これはまさにHISと連携することが可能な領域で、全国のHIS店舗やWebサイトを通じて提供しています。
当社はいわゆる通信回線を保有しないMVNO(仮想移動体通信事業者)です。当社が設立された頃の18年に勃興期があり、一時それが下火になった中で20~23年にかけて大手企業がMVNOとして自社の顧客基盤を活かす新たなサービスに位置付ける動きが盛んになりました。格安SIMという新たな選択肢が再び広がっています。
その点、当社は業界でもいち早く格安SIMに参入し、そのノウハウや知見を蓄えていきました。通信サービスというフックがあれば、事業領域は広がっていくと思っています。
例えば、私は新潟県のふるさと組合の理事を務めていますが、胎内市にある養豚場にスマート畜産を提供する計画もあります。米農家さんにセンサーなどを活用したスマート稲作を提供することも可能になるでしょう。
また、格安SIMのユーザーは海外でそのまま使うことができないといった課題もありますので、注力している「海外ローミングサービス」の提供などを通じて海外旅行者にも利便性の高い通信サービスをワンストップで提供していきたいです。
「心躍る」を解き放つ─。これがHISグループのパーパスです。我々は常に挑戦者という立場で業界に風穴を開け、人々の生活をより豊かにしてきました。この姿勢をブラさず、新たなサービスを今後も提供していきたいと思っています。